スポーツに限らず、あらゆる競技の会場、文化・芸術の発信基地として利用されてきた国立競技場が、2018年度に新たなデザインで建て替えられる。日本スポーツ振興センターはそのデザイン案を世界中のクリエイターから募集し、応募作品46点の中から最終審査に残った11点を公開した。

来たる11月15日にこれらの作品の中から採用作品が発表されるわけだが、発表を目前にした今、ノミネート作品についておさらいしてみよう。

女性建築家が生み出した斬新な"かたち"

イギリスの建築設計事務所 ザハ・ハディド アーキテクトのザハ・ハディド氏の作品は、見事な曲線美の屋根と、空が突き抜けるように映える天窓が印象的だ。右側の画像は、SANAA事務所+日建設計の妹島和世氏の作品で、波打つ屋根が晴天を美しく切り取る構造となっている。ちなみに両名ともに女性で、かつ建築界のノーベル賞と呼ばれる「プリツカー賞」を受賞した経歴を持っている。

ザハ・ハディド アーキテクト
ザハ・ハディド氏の作品

SANAA事務所+日建設計
妹島和世氏の作品

日本の建築家たちのノミネート作品

日本人建築家のデザイン案は、上述した妹島氏の作品を含めて4案がノミネートされている。一番左の画像は、「せんだいメディアテーク」の設計などで知られる伊東豊雄建築設計事務所・伊東豊雄氏の作品で、天井が鏡面になっており、青空が映り込んでいる。周辺には所々に芝生エリアがあり、全体としてエコな印象を受けるデザインだ。

また、中央の画像は環境デザイン研究所 仙田順子氏の案で、上空から見るとまるで花びらのように見える屋根部分が印象的なデザインとなっている。その隣、一番右の画像にある梓設計 杉谷文彦氏の作品はシースルーのドームになっており、SFで描かれるような"未来"を感じさせる。

伊東豊雄建築設計事務所
伊東豊雄氏の作品

環境デザイン研究所
仙田順子氏の作品

梓設計
杉谷文彦氏の作品

世界各地の建築家が発想する競技場

そのほか、フランスやイギリス、ドイツ、オーストラリアなど、さまざまな国に籍を置く建築事務所からも、さまざまなデザイン案が寄せられた。

ドレル・ゴットメ・タネ/アーシテクト&アー+アーシテクチゥール
ツヨシ タネ氏(フランス)の作品

コックス・アーキテクチャー ピーティーワイ エルティディ
アラステル・レイ・リチャードソン氏(オーストラリア)の作品

ポピュラス
ロッド・シアード氏(イギリス)の作品

ユーエヌスタジオ/ヤマシタセッケイ
ユーエヌスタジオ・ヴァン・バーケル・エン・バース・ユー・エヌ・スタジオ・ビー・ビー(オランダ)の作品

タバンオールー・アーキッテクトス・コンサルタンシー・リミッティド/カンパニー
イフサン・ムラト・タバンオールー氏(トルコ)の作品

ゲーエムペー・インターナツィオナル・ゲーエムベーハー
フーベルト・ニーンホフ氏(ドイツ)の作品

なお、同コンペティションの審査委員長は、表参道ヒルズなど数多くの建築を手がけてきた安藤忠雄氏が務めている。11月15日、どの作品が採用されるのか非常に楽しみだ。