先日掲載したレポート『中小企業オフィスでの利用に最適なシュナイダーエレクトリック「Smart-UPS」』において、中小企業やSOHOであってもUPSを用いた電源障害への対策が必要であること、そしてシュナイダーエレクトリックのUPS「Smart-UPS」シリーズであれば電源障害対策はもちろんのこと、電力コストの削減をはじめとした電源管理の効率化までも実現できることを説明した。

その内容を踏まえ今回は、実際に筆者のオフィスにSmart-UPS SMT/SMXシリーズのUPSを導入し、その設定方法や電源イベント発生時の動作などについてレポートすることにしよう。

今回はSmart-UPS SMTシリーズの「Smart-UPS 1000 LCD」(右)を導入。Windows 7を搭載した自作PCに接続して試している。

設定から運用まで管理ソフトで楽々かつ確実に

このレポートを書くにあたって筆者が使用したのは、Smart-UPS SMTシリーズの「Smart-UPS 1000 LCD」という製品だ。製品名からもおわかりのように、1000VA/670Wの最大出力容量を備えるUPSである。

給電方式は、通常運転時はサージ抑制器、フィルター、インバーターを介して接続機器に電力を供給し、電源障害時やフィルターで除去できない電圧波形が侵入した場合にバッテリー運転へと切り替えるラインインタラクティブ方式となっている。これらの性能は、中小企業やSOHOでのバックアップを目的とした導入には最適なものと言えるだろう。ちなみに筆者はこれまで直接UPSを操作した経験はないということも付け加えておく。

まずはUPSを適当な場所に設置する。この時、UPSには自動車やバイクなどで幅広く使われている鉛蓄電池が備えられているため、見た目よりもかなり重量がある点にご注意いただきたい。

次に、筆者のPCとUPSを専用のUSBケーブルで接続する。RS-232Cシリアルケーブルでの接続も可能だ。そしてUPSの電源投入後、管理ソフトウェア「PowerChute Business Edition(以下、PowerChute)」のインストールへと移る。

画面1 : PowerChuteの初期画面

このPowerChuteは、次のような3つのコンポーネントで構成されており、それぞれごとにインストールすることとなる。

  1. エージェント: UPSと接続するPCやサーバにインストールし、UPSステータス監視機能や、電源障害時にコンピュータのシステムをシャットダウンする機能を提供する。
  2. 集約サーバ : エージェントの情報集約機能を提供。最大25台のエージェントの情報が集約される。
  3. コンソール : 集約サーバのインタフェースとして、各エージェントの設定、監視、管理機能を提供する。集約サーバと別のマシンにインストールすることで、遠隔操作も可能になる。

これらの3つのコンポーネントが連携することで、管理者が効率的に複数のUPSを一元管理することが可能となるわけだ。今回は、1台のUPSに1台のPCを接続するだけなので、3つのコンポーネントを同じPCにインストールした。

インストール時には、監視対象システムに電源イベントが発生した場合に電子メールで通知するための設定や、ランタイム重視か安全性重視かといった電源保護方針について聞かれるので自分の使用目的に応じて記入・選択していく。ちなみにここでは安全性重視の設定を選択した。これらの設定は、インストール後でも行うことができる。

こうしてコンソールが起動し、サーバにログインするとステータス画面が表示される。この時点ではコンセントグループが設定されていないという警告が出るので、「コンセントの設定」という項目から電源障害等発生時の動作設定を行う。Smart-UPS 1000では、4つのコンセントを1つのグループとして2つのコンセントグループに分けることができる。そのため、それぞれのコンセントグループごとに異なるアクションを設定できるのである(画面2)。

画面2 : コンセントグループの設定画面

次に、コンセントの遅延の設定等、電源障害発生時の動作についての設定を行う。コンセントの遅延とは、電源障害などの電源イベント発生時にOSのシャットダウンに要する時間と他のアプリケーションがシャットダウンするまでの時間を、そのコンセントに対しUPSが給電を止めるまでの待機時間とするものだ。ここではデフォルトの設定に従いOSシャットダウンに要する時間を180秒、他のアプリケーションがシャットダウンする時間を60秒の計240秒で設定を行った(画面3)。電源回復後にUPSのコンセントをオンにするまでの時間の設定もここで行える。

画面3 : コンセントの遅延の設定画面

他にも、Microsoft ExchangeやIIS、SQL、Lotus Notesなどのサーバアプリケーションを連携してシャットダウンするための設定なども行えるが、筆者の環境ではいずれのアプリも使用していないため何もしていない。また、OSの動作ではシャットダウンだけでなくシャットダウン+電源オフや休止といった選択肢もある。