2005年に発表された第1世代から数えて、7世代目の製品となる新しい「iPod nano」が、9月12日のスペシャルイベントで発表された。その後約1カ月たって店頭に並んだ、この製品のインプレッションをお届けしよう。
iPod nanoは"もっとも変化の大きいiPod"
はじめに、「iPod nano」は、他の"iPod"シリーズと比べ、形状や使い勝手が大幅に変わる製品であることを覚えておきたい。例えば、「iPod shuffle」は、その名の通り"シャッフルして聴く音楽プレイヤー"というのがシリーズの明確なコンセプト。また「iPod touch」は、たんなる音楽プレイヤーというよりもiOSを搭載してApp Storeからさまざまなアプリを導入可能、カメラや無線LANも装備したマルチユースの端末だ。
では、「iPod nano」の立場はどうなのだろうか。iOSは搭載していないから、App Storeからアプリを入れることはできない。また、iPod shuffleほど軽くはない。そんなiPod nanoが目指すのは、"メディアプレイヤー"としての進化だ。
これまでのiPod nanoに求められてきたのは、iPod shuffleよりも自在に音楽を楽しめて、音楽に特化したぶんiPod touchよりシンプル――ということだったといえるだろう。だからこそ、iPodの他のラインナップの変化を受けて、そのスタイルや機能が世代ごとに大きく変わることにもなった。
iPod nanoの特徴を世代を追って見てみると、第4世代で動画の撮影に対応、第5世代で動画専用のカメラを搭載、第6世代はタッチパネルの採用に伴うデザインの大幅変更(スクエア形状、クリックホイールとカメラの排除)、そして第7世代で再びのデザインの変更(縦長形状への回帰、物理ボタンの復活)と変化を続けている。iPodファミリーの中でもっとも世代を重ねている製品であるといっても、その機能やコンセプトは毎回少しずつ修正されている。共通しているのは、"手軽に音楽を持ち出せるプレイヤー"という1点であり、iPod classicに新しいモデルが登場しなくなった2010年以降は、Appleの音楽プレイヤーの中核製品としての役割も担うようになっている。
縦長ボディとビデオ再生機能が復活、コネクタはLightningに
ではここで、第7世代iPod nanoのスペックをおさらいしておこう。まず、容量は16GBモデルのみで、カラーは7色(Apple Store限定カラー「(PRODUCT) RED」を含めると8色)。サイズは、W39.6×D5.4×H76.5mmで重量が31gとなる。左側面に音量調節と再生・停止の物理ボタンを備えているので、画面を見ないでも最小限の操作はできるようになった。
ディスプレイには、対角2.5インチ(240×432ピクセル、202ppi)のマルチタッチディスプレイを採用。この変更と合わせて、第6世代モデルでは省略されていたビデオ再生機能が復活しており、メディアプレイヤーとしての価値も向上している。ただし同じく第6世代モデルで省略されたカメラ機能については搭載されておらず、第7世代モデルの"プレイヤー"としての性格付けを感じさせる。
また、同時発表されたiPhone 5や第5世代iPod touchと同様に、通信・充電用のコネクタが、従来の30ピンDockコネクタからLightningコネクタへと変更された。Dockコネクタ-Lightningの変換ケーブルが2種類(変換コネクタタイプと変換ケーブルタイプ)用意されており、それらを利用すれば従来の周辺機器を利用できるようになるとはいうものの、ダイレクトに接続できなくなるのは、正直痛いところだ。
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