ベンチマークを測定する
前述したとおり、SoCの性能はパフォーマンス一辺倒で測ることはナンセンスで、消費電力の大きさやグラフィック性能など多面的に検証しなければならない。しかもiPhone 5の場合、液晶画面のサイズが拡大しLTE対応を果たしたこともあり、iPhone 4/4Sとの単純な比較は難しくなっている。
とはいえ、クロック数の増加やメモリサイズの拡大は、アプリのパフォーマンスという形でユーザの体感するところとなる。そこで、ベンチマークアプリ「Geekbench 2」を使い、同じiOS 6にアップデートしたiPhone 4とiPhone 4Sとで演算性能を測定してみた。
なお、GeekbenchではCPU情報も検出されるが、そこには「ARMv7 921MHz」と表示されていた。これはアプリ内のデータベースに照合した結果であり、アプリがiPhone 5の発売以前に公開されていたことからしても、正しい情報とはいえない。
■表1:iPhone 4/4S/5のスペック比較(データはGeekbench v2.3.4に表示されたものを使用)
iPhone 4 | iPhone 4S | iPhone 5 | |
---|---|---|---|
Model ID | iPhone3,1 | iPhone4,1 | iPhone5,2 |
Processor | A4 800MHz | A5 800MHz | ARMv7 921MHz? |
L1 Cache | 32KB | 32KB | 32KB |
L1D Cache | 32KB | 32KB | 32KB |
L2 Cache | 512KB | 1MB | 1MB |
Memory | 505MB | 505MB | 1016MB |
その結果だが、まさに「2x faster CPU」という結果となった(表2)。整数演算と浮動小数演算のパフォーマンスはほぼ2倍となり、メモリアクセス速度も2倍近いスコアを記録した。整数演算と浮動小数点演算のカテゴリでは、1つのテストをシングルスレッド/マルチスレッドそれぞれで試すが、パフォーマンスの向上率に大きな差は見られなかった。
このパフォーマンスの改善は、CPUのクロックアップによるところも大きいが、キャッシュに格納するデータ単位の大きさ(キャッシュライン)が増えたことによる効果もある。iPhone 4Sのキャッシュラインは32だったところが、iPhone 5では倍の64となり、物理メモリとの間の転送回数が減少した結果パフォーマンスが向上したものと考えられる。……続きを読む
■表2:Geekbench 2(v2.3.4)のスコア
iPhone 4 | iPhone 4S | iPhone 5 | |
---|---|---|---|
Integer | 293 | 551 | 1269 |
Floating Point | 361 | 737 | 1483 |
Memory | 629 | 729 | 1433 |
Stream | 300 | 295 | 792 |
TOTAL | 384 | 626 | 1328 |