【レポート】
ロボット同士のバトルを描いたSFアクション映画『リアル・スティール』では、映像表現として、CG以外にアニマトロニクスの技術が用いられている。CGが主流ともいえる映画業界で、アニマトロニクスを利用する意図とは? 本作でVFX監督を担当したジョン・ローゼングラント氏に話を聞いた。
――映画『リアル・スティール』では、CG以外にもアニマトロニクスの技術が用いられているそうですね。本作で使用したアニマトロニック・ロボットの制作には、どのくらいの期間がかかりましたか?
ジョン・ローゼングラント(以下、ローゼングラント)「5カ月かかりました。その中の6週間は、デジタルでロボットのデザインと立体彫刻を行ってから、ラピッド・プロトタイプ(高速試作品)用に、それらを全てのパーツに分ける作業に使いました。ヒーロー・ロボットはどれも、300ほどのパーツから成り立っています。残りの期間は、実際のロボット作りに費やしました」
――CG映像とアニマトロニクスをミックスさせるに当たり、何が難しかったですか?
ローゼングラント「シームレス(境界線をなくす)にしたい、というところが挑戦でした。ショーン・レヴィ監督をはじめ、エリック・ナッシュ率いるデジタル・ドメインのCGチームも我々もみな、自分たちがひとつのチームだと考え、お互いに助け合いながらシームレスな映像化を実現しようと努力しました。実写での撮影が不可能で、CGを使うショットでも、その考えは変わりませんでした。実写可能なショットでは、俳優が実際に見て反応できるので、全体的なパフォーマンスに役立ちました」
――アニマトロニクスとCGをミックスするため、具体的には、どのような作業を行いましたか? それぞれのショットに、これではなくこっちを選ぶ、というような選択をするときの基準はあったのでしょうか?
ローゼングラント「ガイドライン(基準)となったのは、ロボットが本当に俳優たちと心が触れ合うコミュニケーションができるか、または何か別な、CGでは実現が非常に難しいものとのコミニュケーションが可能かどうか、でした。例えば泥だらけでアトムが起き上がるシーンもそうですし、ダコタがアトムとコミュニケーションをしなければならないシーン、ダコタが影になっているシーンなどでは誰もが、ダコタが反応出来る何かを実在させることが、とても重要だと考えました」
――アニマトロニクスや実地のエフェクトによって、デジタルのVFXでは与えることのできない何かを、映画に加えることができたと思いますか?
ローゼングラント「この映画で私たちは、これまでのような、視線の参考にするための単なるテニス・ボールに加えて、彼らが反応(コミュニケーション)できる何かを、俳優たちに与えることができました。それは、彼らのパフォーマンスにとり重要な助けになります。私のアニマトロニック・ロボットとマッチするようにCGロボットをうまくシームレスに加えられたことが、今回の映画の視覚効果の成功だと思います。CGと実体のあるロボットの見事なミックスの結果です」
――CGを利用することが主流となっている映画の世界で、アニマトロニクスの役割は何でしょう? まだ他を抜きん出て優れている、アニマトロニクス特有の強みは何でしょう?
ローゼングラント「俳優たちが反応することができる、何かリアルなもの(実体のあるもの)を提供しますし、CGで製作された対の片割れに、非常に役に立つ参考基準にもなります。このような効果には何も手をくわえる必要がないので、効果をよりリアルに見せることが可能です。キャラクターの外見がどのようなものかという情報が眼の前に見えているので、想像する必要はありません」
――アニメーションとアニマトロニクスの将来を、どうお考えですか?
ローゼングラント「まだまだ可能性があります。というのも今回の経験から、CGロボットにとって、素晴らしいリファレンス(参考基準)を提供することが分かりましたし、俳優たちとっては、実際に向かい合い、コミュニケーションをすることが可能だと理解したからです。優れた演技は、何かへの反応(コミュニケーション)から生まれます。そこに何か実在すれば、俳優は何かと自分を結びつけることができるのです」
――ありがとうございました。
現在、『リアル・スティール』ブルーレイ(2枚組/デジタル・コピー&e-move付き 3,990円)、DVD+ブルーレイセット(3,990円)がウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンより発売中。
(c)2012 DreamWorksII Distribution Co. ,LLC
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