【レビュー】
約2年ぶりとなった「Adobe Illustrator」のバージョンアップ。すでにニュースなどで新機能を知った読者は多いのではないだろうか。そこでここでは、代表的な新機能を取り上げて紹介しよう。
新エンジン「Adobe Mercury Performance System」を搭載し、見えない部分で大きな進化を遂げたAdobe Illustrator CS6。これによってMac OSとWindowsの64bitネイティブサポートを実現した。また、複雑なパスをもつイラストデータの保存や書き出し、プレビューがスピーディに行えるようになり、これまで時間の掛かっていた処理そのものも高速化された。
そして、起動してすぐに分かるのがユーザーインタフェースの変更だ。「Photoshop」で採用されているようなグレーベースのインターフェイスは、初めてIllustratorを使う人には洗練された印象を与えるだろう。一方で既存ユーザーにとっては、新しいアプリケーションと出会ったような新鮮さが感じられるに違いない。とはいえ、基本的なアイコンデザインなどは変更されていないため、ヘビーユーザーでも戸惑うことはない。加えて、「慣れ親しんだインターフェイスを使いたい」と考えるユーザーのために、インターフェイスの「明るさ」を変更するモードが用意されている。これを変更すれば、見た目も今まで通りの使い勝手が得られるだろう。一方で、複数バージョンのIllustratorを使い分けているユーザーにお薦めなのがインターフェイスをあえて変えること。これで、使用中のバージョンを混乱せずに使い分けることができる。
また、ツールレイアウトの編集も細かく、そしてスムーズに変更できるようになった。たとえばツールバーに並ぶ関連ツールを開く場合は、これまでは横レイアウトしか選べなかったが、Adobe Illustrator CS6では縦レイアウトが選択可能。
そして、RGBカラーの編集では16進数のカラー値を直接入力可能に、文字パレットには「文字オプション」を追加、レイヤーパレット上に並んだレイヤー名もダブルクリックすればすぐに編集できるなど、ちょっとした進化だが、これまでの一手間を解消する新機能が搭載された。
「Adobe Illustrator CS2」から搭載された「ライブトレース機能」は、画像データから簡単にベクターデータを描ける便利機能として登場した。一方で複雑な絵柄になると、「時間が掛かって処理される割に、思った結果が得られない」と一度使ってみた物のお蔵入りにしてしまったユーザーも多かったのではないだろうか。
Adobe Illustrator CS6では、このトレース機能が久々にバージョンアップ。新しいエンジンであるAdobe Mercury Performance Systemの恩恵か、2倍以上速く処理結果が得られるようになっている。
しかも、その仕上がりはライブトレース機能よりも高精細。試しに同じ画像(AI形式/33MB)をAdobe Illustrator CS3とAdobe Illustrator CS6でトレースしてみたところ、CS3では1分19秒掛かっていた処理がCS6では34秒であった(iMac/2.8GHz Intel Core i5/メモリ4GB)。そしてアウトライン表示してみるとCS6のほうがきちんとクローズパスを使った色替えもし易い、複雑なパスをできるだけ使わないデータに仕上がっている。
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Adobe Illustrator CS3のライブトレース機能を使った結果。処理時間は1分19秒 |
Adobe Illustrator CS6のトレース機能「写真(高精度)を使った結果。処理時間は34秒 |
新たなトレースオプションも加わり、プレビューもメニューを表示する毎にリアルタイムで変更される。ソフト任せのトレースは信用できない、と敬遠していた人にこそ使って欲しい機能だ。
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