BlackBerryのユーザーグループである「BlackBerry User Group Japan」が主催するイベント「BlackBerryユーザーミーティング in 東京」が5月26日に都内で開催された。同イベントでは、BlackBerryの使い方指南、アプリ開発者やRIM担当者の講演などが用意され、BlackBerryユーザーのための情報が盛りだくさんの会合だった。

多くの人が参加した第3回BlackBerryユーザーミーティング in 東京

開発者としては、「Roco Earthquake++」などのBlackBerryアプリを配信する「UG」氏が登場し、東日本大震災を契機に作成された地震速報アプリである「Roco Earthquake++」で、BlackBerry向けの開発の苦労やアプリ開発への工夫を紹介した。

Roco Earthquake++は、当初Twitterの情報から地震速報を配信することを目的としていたが、Twitterのダウンなどに備えるため、別の情報を取得するようにして地震速報を提供。その後NTTドコモが緊急地震速報「エリアメール」に対応したため、現在のRoco Earthquake++に名称を変更し、津波警報を追加し、RIMのPushサービスを使って提供を行っている。

Roco Earthquake開発のきっかけは2011年3月11日の東日本大震災

Twitterからの情報取得から別の情報を解析することになり、サーバーアプリの構築など、順次機能を拡充していった

「UG」氏は、Pushサービスのテストサーバーが高速なのに対して、本番サーバーが遅かったり、サーバー、BlackBerryアプリなどで複数の言語が必要だったり、さまざまな苦労も交えながら、アプリ開発者の「生の声」を来場者に紹介していた。

さまざまな苦労を経ながら、開発を継続してきたというUG氏

BlackBerry User Group Japanを主催するKuro氏は、BlackBerry Messengerについて紹介。BlackBerry Messengerは、SMSのようなテキストベースのメッセージサービスで、BlackBerryユーザー同士であれば自由にやりとりができる。パケット通信を使うため、通常の携帯電話のSMSとは異なり、パケット定額制の範囲で利用できる点が特徴で、海外のユーザーともパケット通信料のみでやりとりができる。

Kuro氏は、ファイルのやりとり、グループ間でのチャット、会議機能といったMessengerの機能も紹介。BlackBerryユーザー同士でしか利用できないので、参加者の中でも利用したことがない人もいたため、参加者同士でMessengerをやりとりする機会も設けていた。

RIMからは、営業部テクニカルソリューションマネージャーの多田昌広氏が登壇し、BlackBerryの最新機種である「BlackBerry Bold 9900」などを紹介した。多田氏は、BlackBerry Bold 9900は洗練されたスタイリッシュなデザインで、「ほかのどの端末よりも格好いい」とアピール。幅広で入力しやすいQWERTYキーボードという特徴はそのままで、10.5mmという薄型デザインに、VGA液晶はタッチパネルを採用し、キーボードとタッチパネルの「ハイブリッド端末」に進化している点を強調する。

BlackBerry Bold 9900

OSは最新のBlackBerry 7.1を搭載し、1.2GHz駆動のCPUを採用してパフォーマンスも向上。Webサイトの読み込み速度が45%高速化するなど、機能を強化。FOMAハイスピードによる最高で下り14Mbps、上り5.7Mbpsの通信速度にも対応した。

BlackBerryを利用するためには、spモードやmoperaのようなISPサービスに相当するBlackBerry Internet Service(BIS)への加入が必要になる。BISは、サーバー側でメールの新着チェックを行い、新着メールがあればそれをプッシュで端末に配信するため、端末側で定期チェックが不要になり、余計なバッテリ消費がない。Webサイト閲覧やアプリによる通信でも、BISがリソースを圧縮して送信するため、パケット使用量の節約にもなる、といった特徴がある。

BISの仕組み。BlackBerry Infrastructure(BBI)で端末の固有IDとメールアドレスを紐付け、情報の配信を行う

Pushサービスも、BBIが仲介して各種アプリのデータを配信する

BlackBerryでは、BISを利用する際に端末のPINと呼ばれる一意の固有IDをサーバーに登録。PINによって端末を特定することで、プッシュ配信やBlackBerry Messengerといった機能が実現されている。前述のRoco Earthquake++のようなアプリでプッシュ配信が可能なのも、このPINを利用している。

さらに、BlackBerry IDを登録することで、BlackBerry Protect、App Worldのサービスも利用できる。BlackBerry Protectは、端末紛失時に端末の場所を地図上に表示する機能や、リモートワイプ、リモートロック、データバックアップといった機能を提供するクラウドサービス。App Worldは、BlackBerryアプリを配信するアプリマーケットで、すでに6万以上のアプリが公開されているという。

PINの説明。裏技的だが、「Mypin」と入力するとPINが表示される

BlackBerry Protectの画面

BlackBerryは、インドネシアやタイなど、東南アジアなどではよく使われており、「キラーアプリはBlackBerry Messenger」で、全世界で5,500万人が利用しているそうだ。

BlackBerry Messengerは、例えば2010年2月に発生したチリ大地震では、通信が輻輳してつながりにくい状況でも活躍したという。これは、送受信されるパケット量が小さいためで、「東日本大震災でもBlackBerry Messengerだけは利用できた」という声もあったそうだ。

BlackBerryは、iOSやAndroidに押されてシェアを低下させているが、そうした中で新OSとなるBlackBerry 10を発表。タッチパネル操作を前提としたUIが紹介されているが、多田氏は、「キーボード付きも検討している」と話していた。

会場には、海外のBlackBerry端末を含めたラインナップが並んでいたり、ケースなどをプレゼントするじゃんけん大会が開催されたり、盛況なイベントとなっていた。