オンライン小売業の米Amazonがこのところ技術面でも存在感を強めている。同社は「Kindle」ブランドで電子書籍やタブレットを展開する一方、子会社Amazon Web Servicesが「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」といったクラウドサービスを提供して開発者や企業の人気を集めている。
Amazonを1994年に立ち上げ、CEOとして18年近く同社を率いてきたのがJeff Bezos氏だ。Forbesが最新号でAmazonを特集で取り上げるにあたって、Bezos氏の経営哲学をまとめた「Jeff Bezos's Top 10 Leadership Lessons(Jeff Bezos氏から学ぶ10の経営レッスン)」という記事をオンライン版に掲載しているので、その要旨を紹介したい。
Forbesは今回、Bezos氏を「Steve Jobs氏亡き後、ハイテク業界のトップの哲学者的なCEO」と持ち上げている。確かにBezos氏はインターネットでの書籍販売から取り扱い分野を拡大、現在ではファッションや食品、CDにデジタル音楽、コンピュータ処理能力などのクラウドサービス、と実に幅広い製品ラインナップに持つ。
ForbesはBezos氏の経営哲学のポイントを10点挙げているが、本稿では、主な3点の内容を紹介しよう。
(1)「変わらないものを戦略の土台に」
Amazonが販売するさまざまな製品は一見、関連性のないように見える。だが、同社の戦略は「幅広い選択肢」「低価格」「高速で確実な商品の配送」という3つの基本ルールに基づいているという。
(2)「顧客第一」
今のご時世、顧客第一を唱えない企業はないかもしれない。だが、Bezos氏は創業時から殊あるごとに顧客中心の姿勢を見せており、表向きだけの姿勢というわけではないようだ。Forbesは、Bezos氏が、初期のミーティングで参加者に顧客について考えてもらえるよう、顧客用として空のいすを持ち込んでいたというエピソードを明かしている。
(3)「誤解されてもいい」
Amazonの事業の中には、最初は損失を伴っていたものも少なくない。これが投資家やアナリストの懸念となり、一時的に株価に影響するようなこともあるが、Bezos氏はこうした反応に関心を示すことはなかった。新しいイニシアティブが自社戦略に意味あるものならば、黒字化に5~7年の期間を見る余裕を持つのがBezos流という。
残りの7つのポイントとしては、以下が挙げられている。
(4)「企業には価格を上げようとする企業、下げようとする企業の2つに分類できるが、Amazonは後者を目指す」
(5)「顧客が必要としているものを定義し、逆方向で開発を」
(6)「社風はフレンドリーで真剣」
(7)「創造的になりたいなら、失敗を恐れるな」
(8)「これまでは製品開発に30%、売り込みに70%だったが、新しい時代は逆になる」
(9)「社員全員が顧客コールセンターで働けるように」
(10)「まだインターネット初期だ。学ぶことはたくさんある」