去る11月16日にパシフィコ横浜で開催された、「ETロボコン2011 チャンピオンシップ大会」は、組込みシステム開発分野および教育分野における若年層および初級エンジニアを対象とした同競技会だ。初級エンジニアらのものづくりの楽しさを知ってもらうと同時に、スキルアップのための経験の場として開催されており、今年で記念すべき10周年となる。

そんな今年は北海道から沖縄までの全11地区で開催され、338チーム、約1900人が参加。その各地区大会の上位チームのみを集めて行われるのがチャンピオンシップ大会だ。東京大会は、こちらを参照していただきたい。今年は、10周年ということで各地区から特別賞を受賞したチームも参加し、全52チームにって競われた。また内訳は、企業が33、大学が10、専門と高専と個人が2ずつ、短大と高校と特別枠が1ずつとなっている。

そうした強豪同士によって白熱した競技が行われた結果、東海地区の企業アドヴィックスのスタッフで結成されたチーム「HELIOS」が、2008年に続いて通算2度目の総合優勝を飾った(画像1)。これまでに複数回の総合優勝を飾ったのは、アドヴィックスのチーム(2008年時は、チーム名「ADoniS」として参加)のみである。

画像1。優勝したHELIOSのメンバー(右側の黄色いTシャツを着た方は、プレゼンターを務めたETロボコン実行委員会本部・実行委員長の星光之氏)

ETロボコンは、レゴ・マインドストームNXTを利用した平行倒立2輪振子型のロボット(走行体)を用いて(画像2)、2台ずつコースをインとアウトを入れ替えて計2回走り、その合計タイムを競う。それと同時に、走行体に組み込まれたモデル(プログラム)の機能性や実用性などを評価し、その両方の総合評価で優勝者が決定する仕組みだ。

画像2。全チームがレゴ・マインドストームNXTを使った平行倒立2輪振子型ロボットを走行体として用い、同一レギュレーションで争われる。インコース(右)を走るのが、優勝したHELIOSの走行体

走行競技の結果は、最低タイムを0点、最高タイムを1点とし、各チームの結果に対して点を与え、同時にモデル審査結果も最低点の0点から最優秀の1点まで、各チームに与える。そして、(2×モデル点×走行競技点)/(モデル点+走行競技点)という計算式で得た結果が、各チームの総合結果となり、順位付けを行い、最高得点チームが総合優勝となる仕組みだ。単純に両得点を足して2で割って算出しないのは、どちらか片方が0点でも、もう片方が最高得点なら、0.5点は得られるわけで、そうした「どちらか片方だけ」戦略が取れないような仕組みとしている。どちらの成績もバランスよく揃って高得点で初めて優勝できる、いわば実際の結果もプログラミングも両方を重視した競技でもあるのだ。

そして今年のコースは、昨年に比べると若干優しくなった。地区大会と同じで、東京大会でも紹介しているが、改めて紹介しておく。前半がベーシックステージで、ストレートとコーナーやS字(連続コーナー)、アップダウンと比較的シンプルな構成(画像3)。3カ所のチェックポイントを通過してゴールすると完走ということで、そこまでのタイムが記録される。チャンピオンシップ大会ということもあり、インコースもアウトコースも52チーム中47チームが完走で、約90.4%の完走率となっていた。優勝するには、まずどれだけいいタイムを出せるかがポイントとなるのである。

画像3。コース全景。左側のメインストレートの奥がスタート地点。右が中央のピンクの正方形の上に立てられた黄色いポールの部分がゴール。その後は、ボーナスステージとなる

なお、コースにはラインが引かれており、走行体に装備された光センサを1つ利用して、基本はライントレースで走行していく。しかし、ライントレースは絶対条件ではないため、トレースしなくても走れるのなら、それは問題ない。また、チェックポイントを順番に通過してゴールにたどり着きさえすれば良いので、倒れなければコース上以外も走ってもよい。ただし、途中に障害物が置いてあるし、チェックポイントはコースを普通に走行した方が絶対に効率のいい配置となっているので、結局はコースをできるだけ速く走行した方が効率がいいということになる。

そして後半のボーナスステージは、失敗しても完走タイムが悪くなったりはしない。複数の難所が設けられており、それをクリアすると完走タイムを減算してもらえるボーナスが得られるという仕組みだ。

インコースはシーソー通過、階段通過(-15秒)、そしてガレージイン(-5秒)の3つ(画像4~6)。シーソー通過は、1回でクリアするシングルと、1回ガッタンと向こう側に傾いた後にシーソーから降りずにバックしてガッタンとやり、もう一度前進してガッタンとやるダブル(事実上は3回通過しているが)で減算タイムが異なる。シングルは-10秒、ダブルは-20秒だ。つまり、難所をすべてクリアすると、最高で-40秒となる。

画像4。シーソー通過。優勝を狙うのならダブルは絶対条件。-20秒は非常に大きい

画像5。階段通過。上る時はゆっくりと慌てず1段上ったらまずは走行体を安定させ、それから2段目に挑戦という形で進めると成功率が高い。一気に2段はバランスを崩しやすい。しかし、写真のように降りる時は2段分一気に降りるので、衝撃が大きくバランスを崩しやすい

画像6。ガレージイン。ガレージを作っているレゴブロックに触れてしまったり、ちょっとでも手前で止まってしまったりすると、ガレージインしたことにならない

アウトコースは、尻尾を出して後ろ斜めにボディをそらした状態で通り抜けるルックアップゲート通過(-10秒)、ET相撲、ガレージインとなる(画像7~9)。ET相撲はペットボトルをエリア外に押し出すと-25秒、押し倒すと-15秒だ。また、ET相撲は唯一スキップが可能な難所である。アウトコースも最高で-40秒のボーナスを得ることが可能だ。

画像7。ルックアップゲート通過。いわゆるリンボーダンス状態

画像8。ET相撲で、押し出しが決まったところ。ペットボトルは後方に見えるグレーのエリア内の好きな場所に、インコース側のチームが置くことができる。それを見つけ、倒さずにそろりそろりと押し出す必要がある

画像9。ET相撲の押し倒しが決まったところ。ペットボトルは倒れやすいため、倒さずに押し出す方がボーナスが高く設定されている

そして、実際に競技がスタートしてみると、筆者は東京地区しか地区大会を見ていないが、その地区大会とは比べものにならない、さすがはチャンピオンシップ大会というハイレベルなタイム合戦が繰り広げられた。速いチームは20秒台前半でゴールにたどり着く上に、シーソーダブルは当たり前(画像10~13)、階段も危なげなく通過。東京大会ではダブルは1回しか見られなかったし、ガレージにたどり着くのも本当にわずか。チャンピオンシップ大会では、ガレージに入りきらずに手前で止まってしまったり、ガレージを作っているブロックを倒してしまったりするチームもあったが、多くのチームがガレージまでたどり着いており、パーフェクトに決めないと優勝は狙えないというレベルであった。

画像10。シーソーダブルの連続撮影。本来ならムービーでお見せしたいところだが、フォーカス用の赤外線が走行体のセンサに影響を与える恐れがあるため、ムービーでの撮影は行っておらず、画像でご覧いただきたい

画像11。シーソーを渡ってまずは1回目のバッタン。そして降りきらずに制動をかけて後進開始

画像12。バックでシーソーを逆に渡り、そこでもう1回バッタン。ここでももちろんシーソーから降りずに制動をかけ、再び前進

画像13。そしてもう1回シーソーを渡ってバッタンと行き、見事、シーソーダブル成功

それから、高速走行をするための工夫として流行していたのが、「尻尾降ろし走行」。本来は、スタート前の待機時などで使用する尻尾パーツ(それで3点確保で安定して立っていられる)をあえて降ろしたまま走行するのだ。これにより安定感が増すので、より速度を出せるという分けである。優勝したHELIOSも尻尾降ろし走行を行っていた。なお、尻尾の先端には小さな車輪がついているように見えるが、これは回転するものではない。あくまでも引きずっている形だ(レギュレーションでタイヤは2輪まで)。

画像14。尻尾降ろし走行中の走行体。尻尾を出して走るのは2輪ではなくなるわけだが、レギュレーション上反則ではない。ボディの寝かせ方は、チームによってそれぞれ工夫があるようで、写真のゼッケン39の「Stray Cab06」のように寝ているのがわかるものもあれば、垂直に近いものもある

画像15。参考までに本来の2輪での走行の様子。きれいに垂直で走っているのがわかる

ただし、尻尾降ろし走行は当然抵抗が大きくなるので、モータにかかる負荷は大きいし、電池の消費量も激しくなってしまう。また、スタート直後のメインストレートの途中にあるアップダウンの頂上を越える瞬間に尻尾が引っかかってしまう危険性もゼロではない。ただし、かなりのハイスピードを出せることから、20秒台前半のチームの多くが尻尾降ろし走行を行っていた。なお、ボディを寝かせる角度もチームによってそれぞれ工夫があるようで、中には尻尾は降ろしているが車体の角度は垂直に近いようなところもあった。

さらに、九州地区の佐賀電算センターの「SDCバンビーズ」は、ほかがやらなかった新機軸にトライ。来年、同じようなコースレイアウトならほかのチームも使うかもしれない作戦である。アウトコースの走行時でのみ使える作戦で、筆者が名付けるとしたら「レーンチェンジ・インコース走行」(あくまで筆者が考えた名称で、チームでは別名で呼ばれている可能性はある)だ(画像16)。

画像16。前を行くゼッケン52がSDCバンビーズの走行体。後方のゼッケン51の「Joker 艮」と同じインコースを走っているのを見てもらえるはずだ

ベーシックステージは、インコースの方がいうまでもないがコーナーの内側を通る回数が多いため、当然ながら走行距離が短い。そこで、1コーナーに入る前(正確にはアップダウンの前)にインコースにレーンチェンジを移し、ゴール前に再びアウトコースに戻るというものだ。

この作戦、インコース側の走行体よりも確実に速いという保証がなければできないという弱点はある。インコースにレーンチェンジした際にインコース側の走行体を倒してしまうなど妨害したら、即失格というルールがあるからだ。

ただし、あらかじめ試走時に相手の走行体の速度などをチェックしておくことはできる。また、スタートラインは走行距離の長いアウトコース側の方が前になっており、例え同じスピードだったとしても、追いつかれる心配はないので、スピードに自信があるチームなら有効な戦略だろう。

よって、SDCバンビーズのアウトコースのボーナスを計算しない純粋な完走タイムは、驚異的な20.6秒。これは今回のアウトコースのファステストラップとなった。しかし、残念ながらSDCバンビーズはボーナスがパーフェクトとはいかなかったので、-19.4秒とはならず。達成できていたら、この日のアウトコースのトップだっただけに来年はぜひリベンジを果たしていただきたい。

そのほか、今年からBluetoothを利用したスタートが可能になったが、チャンピオンシップ大会でもさすがに主流を占めるには至っていなかった。

ちなみに、インとアウトの完走タイムのトップ3は、以下の3チーム。

インコース

1位:Champagne Fight(リコーITソリューションズ ES事業部 第1開発センター ES第1開発部/北海道) 21.4秒
2位:おやじプログラマーず(エィ・ダブリュ・ソフトウェア/東海) 22.4秒
3位:SDCバンビーズ(佐賀電算センター/九州) 22.8秒

アウトコース

1位:SDCバンビーズ(佐賀電算センター/九州) 20.5秒
2位:Champagne Fight(リコーITソリューションズ ES事業部 第1開発センター ES第1開発部/北海道) 21.4秒
3位:おやじプログラマーず(エィ・ダブリュ・ソフトウェア/東海) 22.5秒

優勝したHELIOSは、インコースが24.6秒(同順の9位)、アウトコースが24.4秒(11位)だ。すごいのがChampagne Fightで、インもアウトも揃えたように同タイムなのが不思議である。アウトコース側の方がコーナーで速度を上げられるはずなので、それで稼いだものと思われるが、レーンチェンジ・インコース走行を駆使すればもっとタイムを削れるのか、それともコーナー速度の兼ね合いで必ずしもそうではないのか、気になるところではある。

そして、完走タイムにボーナスを加えたリザルトで見てみると、トップ3は以下となる。

インコース

1位:Champagne Fight(リコーITソリューションズ ES事業部 第1開発センター ES第1開発部/北海道) -18.9秒
2位:おやじプログラマーず(エィ・ダブリュ・ソフトウェア/東海) -17.6秒
3位:SDCバンビーズ(佐賀電算センター/九州) -17.2秒

アウトコース

1位:Champagne Fight(リコーITソリューションズ ES事業部 第1開発センター ES第1開発部/北海道) -18.6秒
2位:AEK RUNNER 11(アンリツエンジニアリング/南関東) -16.9秒
3位:HELIOS(アドヴィックス/東海) -15.6秒

インコースは完走タイムトップ3が、ボーナスステージもパーフェクトでそれぞれ-40秒なので、そのまま。一方、アウトコースは完走タイムがよくてもボーナスステージがうまくいかなかったチームがあったため、完走タイムとリザルトではトップ3の構成が変わっている。なお、HELIOSはアウトコースではご覧の通りに3位だが、インコースでは-15.4秒で7位となっている。この結果から、インもアウトも揃ってタイムがよいこと、そしてモデルで評価されないと総合優勝には輝けないということがわかるはずだ。

また、ボーナスステージの各種難所のクリアの具合だが、インコースはシーソーダブルが27チームが成功。シングルは10チームが成功しており、シーソーを突破したのは計37チームで全体の71.2%。ダブルだけでも成功率が50%以上である。階段は19チーム(シーソー突破チーム中の成功率は51.3%、全体では36.5%)、ガレージインは13チーム(階段突破チーム中の成功率は68.4%、全体では25%)となっている。

そしてアウトコースは、ルックアップゲートは44チームと、約85%が通過。ET相撲は押し出しが22チーム、押し倒しが4チーム。ET相撲突破はルックアップゲートを通過したチーム中では59.1%、全体では50%。ガレージインは10チームとなっている(ET相撲をスキップできるので、ルックアップゲートを突破したチーム中では22.7%、全体では19.2%)。ガレージインの成功率がアウトコースの方が低いことから、ET相撲をスキップできるにもかかわらず、アウトコースの方が走りきるのは難しかった、ということがわかる(ET相撲の難易度が見ていて高かった)。

そうした白熱したチャンピオンシップ大会。インとアウトのリザルトを合算してタイム順で決まる競技部門は以下の表彰台となった。

競技部門

1位:Champagne Fight(リコーITソリューションズ ES事業部 第1開発センター ES第1開発部/北海道) -37.5秒
2位:HELIOS(アドヴィックス/東海) -31秒
3位:Impressions(パルステック工業/東海) -29.9秒

Champagne Fightはインもアウトも1位を獲得しているので予想がつくが、合計してみるとHELIOSが2位だし、前述の各種トップ3には1度も顔を出していないImpressionsが3位に入ってくるのだから、わからないものである。Impressionsは完走タイムはインが25.1秒で14位、アウトが25秒で15位。リザルトは、インが-14.9秒で10位、アウトが-15秒で4位。2位のHELIOSもそうだが、インとアウトのリザルトが揃っていることがどれだけ重要か、という好例といえるようだ。

続いては、モデル部門。モデル審査は、モデルの書き方(正確性、理解性(見やすさ、補足))、追加課題(要求モデル、並行性設計(設計指針、設計内用)、開発環境)、モデルの内容(設計品質(機能面、構造面、振る舞い面)、性能モデル(要素技術、戦略)、トレーサビリティ)、オリジナリティの大別して4カテゴリから構成。なお、追加課題の中の「要求モデル」と「開発環境」は、2011年大会から採り入れられた項目だ。そして順位は、1位に当たるのがエクセレントモデル、2位がゴールドモデル、3位がシルバーモデルとして発表される。

エクセレント:HELIOS(アドヴィックス/東海)
ゴールド:おやじプログラマーず(エィ・ダブリュ・ソフトウェア/東海)
シルバー:R-GRAY NEXT(ソフトウェアコントロール 西日本事業部/関西)

HELIOSは2009年から3年連続エクセレントモデルの受賞となった(2009年の時は、走行体はNXTとRCXの両方が使われており、HELIOSはNXTで受賞)。HELIOSのモデルは、「信頼性」と「安全性」の確保にこだわった設計で、ロボットが正常状態から異常状態になってもゴールまで走りきるための冗長性を高いことが特徴だそうだ。

総合順位の前に、特別賞の3賞も紹介しておく。

TOPPERS賞:雷鳥33号金沢行き(NECソフトウェア北陸/北陸)
IPA賞:BERMUDA(富士通コンピュータテクノロジーズ/南関東)
情報処理学会 若手奨励賞:はばたき隊(九州大学院システム情報科学府情報学専攻/九州)

最後に総合順位だが、いうまでもなく両部門をバランスよく評価するので、もうおわかりだろう。結果は、以下の通りである。

総合優勝:HELIOS(アドヴィックス/東海)
総合準優勝:おやじプログラマーず(エィ・ダブリュ・ソフトウェア/東海)
総合3位:Champagne Fight(リコーITソリューションズ ES事業部 第1開発センター ES第1開発部/北海道)

画像17。総合準優勝のおやじプログラマーず。優勝したHELIOSとはまさにライバル関係にある東海の強豪チーム。今年は、東海が上位を奪還した

画像18。総合3位のChampagne Fight。初参加で地区大会を突破してチャンピオンシップ大会でも好成績を収め、次回以降も楽しみなチーム

昨年は、南関東(事実上神奈川県)が総合1-2-3フィニッシュを決め、ETロボコンといえば東海地区、といわれていたところを非常に衝撃を与えたが、今回は東海地区が奪還した形だ。また、Champagne Fightは今年が初参戦だったそうだが、競技部門の両コースを制覇して、その勢いで総合表彰台をゲットした形だ。モデル部門の点数が高ければ、初参戦初優勝、なんてこともあり得たかも知れなかったので、今後が注目のチームである。

なお、ETロボコンのチャンピオンシップ大会の総合優勝の副賞の1つに、「マイナビニュースの優勝インタビューが載る権利」がある。次のページでは、アドヴィックスのHELIOSチームのインタビューを掲載する。なお、チームメンバーが7名構成のため、複数の方のコメントをチームとしてまとめて掲載させていただく。チームメンバーは、以下の通りだ。

斎藤信行さん(チームリーダー:参加5年目) 酒井英子さん(サブリーダー:参加6年目) 中川友佑さん(入社2年目、参加1年目、基本走行担当) 今隼太さん(入社1年目、参加1年目、ET相撲担当) 仲本朝哉さん(入社1年目、参加1年目、階段・ガレージイン担当) 原島賢太さん(入社1年目、参加1年目、ルックアップゲート担当) 堀江佑太さん(入社1年目、参加1年目、シーソー担当)