GmailにEvernoteと、ビジネスに役立ちながら無償のクラウドサービスが増えてきました。そうしたサービスの1つにオンラインストレージサービスの「Dropbox」があります。Dropboxは圧倒的なシンプルさと手軽さを持ちながらも、使い方次第で高度なこともできるサービスです。

Dropboxによってビジネスの効率を向上することも可能です。そこで、Dropboxについて、「具体的にどのようなサービスなのか」「どのようなメリットが得られるのか」など、前編・後編の2回に分けて解説していきます。

意識しなくてもファイルが同期される

Dropboxの特徴を簡単に説明すると、「複数台の端末の特定のフォルダに保存されたデータをユーザーが意識することなく自動で同期してくれる」サービスとなります。もっと詳しく説明すると、クラウド上のストレージと端末のローカルのハードディスクとの間で、データの共有と同期を実現するサービスと言えます。

Dropboxの設定は簡単です。DropboxのWebサイトでアカウントを作成し、PCにインストールすると、Windowsなら「マイドキュメント」、Macならば「ホームディレクトリ」の中に「Dropbox」というフォルダが作成されます。

Dropboxのダウンロードページ

これだけですぐに使うことができます。また、使い始めるにあたってお金がかかるということもありません。

あとは、「同期」したいファイルやフォルダを「Dropboxフォルダ」の中に入れておくだけで、自動的にすべてのファイルがDropboxによって同期されます。

例えば、デスクトップPC、ノートPC、スマートフォンを使っている場合、Dropboxフォルダ内に保存されている同一のファイルをすべての端末で共有・同期することが可能になります。

Dropboxを使っていなかったら、メールにファイルを添付して送ったり、USBメモリにファイルをコピーして移植したりしなければならないところ、複数の端末上で同一のファイルを使えるのです。

自動バックアップとしても利用可能

「同期」が便利なDropboxですが、もし、PCを1台しか使っていなかったとしてもDropboxを使う価値は十分にあります。

Dropboxに入れてあるファイルはクラウド上にすべて保存されているので、突然の事故やトラブルなどでPCのデータが消えてしまったとしても、Dropboxにデータを保存しておけば安心です。再度PCにDropboxをインストールして、登録時のアカウントを入力すればデータは元に戻ります。

また、誤ってファイルを消してしまった時やファイルを以前のものに戻したい時。基本的には、きちんとバックアップを取っていなければ「ファイルを元に戻す」のは難しいことです。

こうした時もまた、Dropboxがあれば安心です。過去30日に限られますが、消してしまったファイルを元に戻すことや、変更したファイルを以前のバージョンに戻すことも、Dropboxのサイトにログインすることで容易に可能です。

このようにユーザーが意識しなくてもバックアップを自動で行ってくれるところが、Dropboxのポイントです。

トラブルというのは突然やってくるもの。日頃からバックアップを取る習慣があったとしても、バックアップを取り忘れていた時に限ってトラブルは起こるものです。

よく使うファイルはDropboxフォルダに入れておく

これさえ守っておけば、あとは細かなことを気にする必要はありません。

容量の制限には注意

このように大変便利なDropboxですが、気を付けたいのは「容量」です。無料で利用できるDropboxの容量は2GBまでと制限されています。

これ以上の容量をDropboxフォルダに入れておくと、2GBを超えた分はDropboxに同期されなくなってしまいます。

テキストファイルや小さな画像であれば、まず2GBを超えるようなことはありません。また、WordやExcelなどのオフィス文書であれば、よほど大きなサイズのものでなければ100以上のファイルを置いておくことは十分可能です。ただし、ファイルを大量に入れすぎて同期できなくなってしまったということがないよう注意しましょう。

なお、大きな写真や音楽、動画などは、ご存知のように、ファイルサイズが大きいので、Dropboxを無料で使う場合での保存には向いていません。

より多くのデータをDropboxに保存しておきたくなった時は、有料プランの検討をお勧めします。

月額9.99ドルもしくは年額99.99ドルで50GB、月額19.9ドルもしくは$199.99/年で100GBまでDropboxにデータを保存することが出来るようになります。

無料でも保存容量の追加できる方法がある!?

ただし、有料プランを利用しなくても、無料で利用できるディスクの容量を2GBから増やすことが可能です。

その方法の1つは、Dropboxのアカウントを作成した後に「チュートリアル」をこなすこと。チュートリアルは、アカウントを作成した後、https://www.dropbox.com/gsから行えます。これを完了させることで250MBの容量が追加されます。

Dropboxはチュートリアルをこなすことで、容量を増やすことが可能

2つ目の方法は、TwitterなどのSNSでDropboxを「宣伝」することです。本稿執筆時点では、「TwitterアカウントをDropboxに接続」「FacebookアカウントをDropboxに接続」「Twitterで@Dropbox をフォロー」「Dropbox の好きなところを教えてください」という4つのタスクが用意されています。これらを1つこなすことに、128MBの容量追加が可能です。

Dropboxはタスクをこなすことでも容量を増やすことができる

最後の方法は、Dropboxを友人に紹介することです。https://www.dropbox.com/referralsから招待用のURLを取得できるので、そのリンクを友人に紹介し、友人がDropboxをインストールすることで、1人に付き256MBのボーナスがもらえます(本稿執筆時点の上限は8GB)。

上記をうまく利用すれば、無料のままでもかなり快適にDropboxを利用することができるでしょう。

後編では、Dropboxを使いこなすための方法を具体的に紹介したいと思います。

五藤隆介(ごとう りゅうすけ)

1980年愛知県生まれ。愛知県在住。
ブログ「goryugo, addicted to Evernote」主宰。「ライフログ」をキーワードにEvernoteにすべてを記録することの試行錯誤とその成果などをブログで公開中。

ブログメディア「シゴタノ! 仕事を楽しくする研究日誌」にも寄稿中。
著書『たった一度の人生を記録しなさい -自分を整理・再発見するライフログ入門-』が好評発売中。

筆者ブログ「goryugo.com」、ツイッターのアカウントは

@goryugo