Linear Technology CEOのLothar Maier氏

2011年12月2日、Linear Technologyは都内で会見を開き、同社CEOのLothar Maier氏が1981年の創立からこれまでの30年間を振り返り、アナログ半導体の将来に対する見方を示した。

同社創立当初の1981年ころは、「当時はデジタルの夜明けと言われてアナログICが淘汰されてしまうのではないかと思われていた。しかし、アナログ半導体市場は年々成長し、現在は450億ドルまで規模を拡大した。この中でハイエンド領域にターゲットを絞ってビジネスを行ってきたことが30年ビジネスを続けてこれた秘訣であり、今も成長が持続できる要因になっている」(Lothar Maier氏)と、6月で終了した2011会計年度の業績が過去最高の売り上げ、利益を達成したことを強調する。

Linear Technologyの業績推移

ひとえにハイエンド分野と言っても、時代に応じて注力するアプリケーションを変えてきた。例えばコモデティ化による価格競争が進む携帯電話向けの売り上げは2005会計年度には11%を占めていたが、2011年会計年度では1%へと意図的に下げており、代わりにインダストリアル(産業計測)やオートモーティブ(自動車)といった分野を伸ばしている。

同社の製品の適用アプリケーション分野。価格下落と競争が激しいコンシューマ系を意図的に比率を下げつつ、売り上げを伸ばしている

また、全世界のカスタマ数は15000を超えているが、そのうち57%が年間購入額が5万ドルから200万ドルの規模で、200万ドルを超すのは24%とそれほど多くない。「この戦略は競合に対する優位性を示している。こうした中小規模のビジネスでも、グローバルな対応やサポートが求められるようになっており、そうしたサービスまで含めた囲い込みを先んじて実施してきたことで、他社の参入に対する障壁を高めることができている」と、自社の戦略を説明する。

同社の製品分野(右)とカスタマ1社あたりの購入金額の範囲の比率(左)

同社がもっとも強みを発揮している産業計測分野は「今後も最大市場として注力していく。産業計測分野といっても、その中にさまざまなサブセグメントが存在しており、それぞれに異なるニーズがある。そして、そのそれぞれに中小規模のカスタマが多く、いずれもが長い期間の需要を見込める。近年はエネルギーハーベスティングに対するニーズも高まっており、我々としても注目し、対応製品の提供などを進めている」と、今後も品質やサポートなども含めたトータルなサービスの提供を行っていくことで存在感を示していくとした。

また、「モバイルブロードバンドの市場は新たな成長市場として重要。地球規模に拡張されたネットワークにより、さらなる成長が見込める。新端末が登場するごとにブロードバンドトラフィックが増えていっている。スマートフォンの台数は全携帯電話の13%だが、データトラフィックは70%を超す量を占めており、2020年にはさらにトラフィック量は増大することが見込まれ、そうした需要に対応するために設置される基地局は全世界で500億拠点に達する」との見方を示し、そうした基地局向け製品などを提供できる立場にあることは将来が明るいことと自社のポジションを説明。将来的にはさまざまなアプリケーションがさらにワイヤレスネットワークに接続されることから、そうしたデータの処理に対するイノベーションを実現できる製品の提供を目指した開発を進めているとする。

さらに、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHV)などへの期待が高まる自動車関連についても、「売上比率が年々高まってきており、2011会計年度では12%。将来的には20%程度まで拡大していくことを見込んでいる」と、今後のカーエレクトロニクスの進展により、事業サイズの拡大が見込めるとするほか、そうしたEVと工場、人がつながるようになり、個々の製品だけでなく、どのように接続されていくかを考慮した製品を提供する必要がでてくることから、そうした製品の拡充を図っていくとした。

その解の1つとなるのが同社が2006年より提供している「μModule」製品だ。1パッケージ内に電源や高周波、ミクスドシグナルなどを統合したもので、これにより開発期間の短縮やBOMコストの低減、基板サイズの縮小などが図れるようになる。「同シリーズの成長率は全社の年平均を超す勢いで育っている。当初5000万ドル行けばよいと思っていたが、近い将来、売り上げ規模は1億ドルに達するのではないかという勢いになっている。カスタマはより小型で高性能な製品を求めており、そうしたニーズにマッチしたのだろう」と、急成長の背景を分析する。

こうした自社製品の開発、製造を支えるのが冗長性を持たせた前工程からパッケージング、テストまで一貫して社内で生産できる体制である。これにより、地震や洪水などの災害が発生して、どこかの工場が止まっても別の工場が稼働することで、休むことなく製品を安定的に供給することができるようになっている。前工程のラインはすでに20億ドルの売り上げまで生産可能な体制を構築しているほか、組み立て工程では自社工場のほかサブコンも意図的に活用しているほか、シンガポールをメインのテスト工場としているが、前工程工場のあるカリフォルニアやパッケージ工場のあるペナンなどでも対応できるように進めているという。また、リードタイムの短縮のため、6カ月分の在庫をダイの状態で確保、カスタマからの要望に応じてパッケージング、テストを経て4週間で供給できる体制を構築しているとする。

前工程から後工程まで一貫して提供できる体制は、高品質な製品を作るというこだわりの姿勢があってこそだと同社は強調している

「我々は産業分野など製品供給期間が10年以上と非常に長い分野に対し、我々のデバイスを使い続けてくれるカスタマがいる限り、また材料が手に入る限り、終息品を作らずに提供し続けることをコミットメントしている。例えばLT101は28年前に市場に投入されたが、今でも普通に購入することができる」と、カスタマのニーズが最も重要視しているものであり、今後もそれは変わらずに、よりよいサービスの提供を目指していくことで、次の30年も明るいものになるであろうとした。