前回に続いて「Speever」の高品質サービス提供を支える影の主役であるソフトウェア「Parallels Automation」について紹介する。今回は、エンドユーザーのメリットとともに、SIerにとってのメリットも紹介しよう。

エンドユーザーが使いやすいコントロールパネル

Parallels Automationは、ホスティングサービスのビジネス基盤ソフトとして世界中のホスティング事業者に利用されているが、それには受け入れられる理由がある。その筆頭にあげられるのが、使いやすいコントロールパネルだ。

コントロールパネルは、エンドユーザーのサービス申し込みや使用しているサービスの各種設定などを行うための管理画面のことで、Webブラウザに表示して使用する。Parallels Automationのコントロールパネルは、ホスティング事業者向け、リセラー向け、エンドユーザー向けなどの階層別になっており、上級者の高度なニーズに応える性能を持ちながら、エンドユーザーには直感的に使いやすい構造になっている。

この優れたコントロールパネルによって、エンドユーザーはサービス申し込みや各種設定を、自らのコントロールパネルでその場で簡単に行うことができるため、エンドユーザーの満足度が向上するのもさることながら、結果として、ホスティング事業者は管理設定にかかる人件費が削減でき、低価格で、質の高いサービス提供に結びつくのだ。

コントロールパネルへのログイン画面

ログイン後のエンドユーザー向けコントロールパネル。左側のメニューで設定項目を選択する。右側のメイン画面もアイコン表示でわかりやすい

エンドユーザー向けのWebサイトの設定画面。タブ式表示でたくさんの設定項目も整然と表示される。画面下部の「編集する」ボタンをクリックすると、内容を編集できる仕組みだ

ホスティング事業者の業務効率化を実現するコントロールパネルによる一元管理

コントロールパネルはエンドユーザーが利用するだけではない。ホスティング事業者も同じコントロールパネルを使って、エンドユーザーより上位の階層で運用管理を行える。

もちろん表示される内容や設定できる項目は、エンドユーザー用のコントロールパネルとは異なる。ログイン時のIDによって、ホスティング事業社内のユーザーなのか、エンドユーザーなのかを判別して、IDに応じたコントロールパネルが表示されるわけだ。

事業者向けのコントロールパネルでは、提供しているサービスの名称や内容の追加や管理、注文内容や入金管理などの経理関連の管理情報、インフラなどの各種リソースの管理情報などが、業務ごとにメニュー項目に表示される。

コントロールパネルの使いやすさは、サービスを管理するホスティング事業者社内でも大きなメリットがある。ホスティング事業者といえども部署は多岐にわたるため、社内スタッフのPCのスキルに差があるのが当然である。IDによる権限設定できるため、各部署の担当者によって表示される項目が異なる。たとえば、経理課に属している社員のIDであれば経理関連の管理情報だけが表示され、インフラ管理のものは表示されないようになっているわけだ。Parallels Automationを使用すると、コントロールパネルで情報が一元管理でき、統一した操作によって、運用業務の効率化も図れるのだ。

たとえば、下記画面はParallels Automationの商品登録画面だ。コントロールパネルに表示された商品追加の画面の項目に必要事項を入力または選択するだけで、商品を登録することができるのだ。これなら、社内SEに依頼する必要もなく、開発部署の担当者レベルでも商品の追加が可能だろう。

プランの商品登録の第1画面。商品名やカテゴリなどを設定する。このような画面で商品の設定を設定するだけで、実際に販売するサービス商品を追加できる

このように、Parallels Automationは、ホスティングサービスの事務作業の多くを自動化するだけでなく、使いやすいコントロールパネルによって、サービス運営時の作業効率を高めることにも一役かっているわけだ。

さらに、ホスティングサービスをリセラーが販売するためのリセラー用の画面もParallels Automationには用意されており、リセラーもリセラー向けに使いやすいようにカスタマイズされたコントロールパネルを使うことができる。

SaaS/PaaS/IaaSサービスをトレンドや顧客のニーズに合わせて提供

Parallels Automationの特徴として、モジュールを追加して、サービスラインアップを素早く追加することも挙げられる。

ホスティングサービスは、事業者のインフラ環境や経営理念によって、提供するサービスが異なる。しかし、インターネットの活用方法は、日々刻々と変化している。そのため、エンドユーザーが求めている機能やサービスにできるだけ早く対応していくことも必要とされる。

しかし、新しいサービスを追加することは、思ったほど簡単ではない。サービスのためのインフラを用意し、商品メニューを作成して課金管理の仕組みなども整備する必要がある。そのためには、かなりの時間を要するのが普通だ。

Parallels Automationには、代表的なサービスを提供するための機能がモジュールとして用意されており、必要なモジュールを追加するだけで、きわめて短期間でサービスを提供できるようになっている。しかも、これらのサービスは、前述したコントロールパネルにシームレスに統合されるため、管理する側もサービス追加による作業負担はほとんどなく行えるのだ。

Parallels Automationが提供するモジュール一覧
クラウドインフラストラクチャ 顧客ディレクトリ統合 Microsoft Exchange
仮想専用サーバ (コンテナ) モバイルサービス Microsoft Office Communications Server
Hyper-Vサービス Open-Xchange Microsoft SharePoint
SaaS (APS) 共用ウェブホスティング Microsoft Dynamics CRM
クラウドサービスポータル 高集積次世代共用ウェブホスティング Microsoft Office 365

次ページでは、SaaSアプリケーションを配信するための仕組「APS」について紹介する。