前回のおさらいと、その欠点

前回はWindows Azureのホスティング部分に対してリモートデスクトップ接続を行ってIPアドレスでのアクセス制限を掛けてみました。操作性が普通のWindows Serverと変わらなかった点を実感していただけたと思います。

しかし、この作業には問題があります。勘の良い人なら既にお分かりかと思いますが、Windows Azureの仮想マシンにはデータの永続性がないという問題です。

例えば、Azureのポータルサイトで前回作成したインスタンスを選択して、[Reimage]ボタンをクリックしてください。警告メッセージが出力されますが、一旦は無視して[YES]を選択してください。すると、イメージが再作成され、前回行った作業が全て初期化されてしまいます。また、仮想マシン内に保存したデータも全て消えてしまいます。

実は先程のメッセージはこの現象に対する警告メッセージだったのです。問題点を強調するためにあえて今回は警告メッセージを無視して作業をしました。皆様も実際に試して実感していただければと思います。

図1: AzureのポータルサイトとReimageボタン

では、[Reimage]ボタンをクリックしなければ良いのではないかと思われますが、それは本質的な解決ではありません。例えば、ホスティングしているハードが故障した場合にも自動的に他のサーバーに再配置されてしまい、デプロイ後にGUIで行った作業が全て初期化されてしまいます。データについても、故障したハードはマイクロソフト側で自動的に処分されてしまって、自前でサーバーを管理している場合に可能だった「ハードディスクのみをサルベージしてデータを復元する」というようなことはできません。ですが、Windows Azureではこの問題に対する回答を用意しています。

これから、その回答についてお話ししていきます。

執筆者紹介

WINGSプロジェクト bird982000(監修 : 山田祥寛)


WINGSプロジェクトについて>テクニカル執筆プロジェクト(代表山田祥寛)。海外記事の翻訳から、主にWeb開発分野の書籍・雑誌/Web記事の執筆、講演等を幅広く手がける。2011年4月時点での登録メンバは36 名で、現在も一緒に執筆をできる有志を募集中。