777-300ER型機は、大型でジャンボ機(747型機)並みの座席キャパシティを持つ。機内が広ければ、それだけで開放感も出てくる。写真提供:トルコ航空

ワンランク上の商品やサービスに「プレミアム」の名が冠されるのが流行りだが、航空機の座席にはプレミアムエコノミーというクラスがある。もともとは、エコノミークラスより座席の幅や前後の間隔を少し広くした程度の差しかなかった。ところが、ここ数年でプレミアムエコノミーを設置する航空会社が増え、他社と差をつけるべく、各社サービスを競うようになっている。中には、サービスレベルの低い航空会社のビジネスクラスと比べると明らかにランクが高いプレミアムエコノミーも誕生している。

そうした中、トルコ国内をはじめ、ヨーロッパ、中東、アフリカへも乗り継げるトルコ航空が今年4月から成田 - イスタンブール線に最新鋭機ボーイング777-300ERを投入した。同時に、「コンフォートクラス」という名のプレミアムエコノミーに相当するクラスを設置。そのサービスを、さっそく体験してきた。

一目瞭然で普通のエコノミーとはレベルが違うと分かるコンフォートクラスの座席。横に2-3-2の座席配列で窓側は2席のみ。圧迫感も少ない

一目瞭然のゆとりスペースと座席

機内に入ると、コンフォートクラスはビジネスクラスとエコノミークラスの間のまったく独立したスペースに設置されていた。落ち着いたダークブラウンのシートが目に入り、それだけでゆったりとした気分にさせてくれる。

シートピッチ(座席の前後間隔)は116cm。業界平均より20cm弱も広い。肘掛もゆったり

シートに座ると、どっしりとしていて安定感がある。ヘッドレストは頭の高さに合わせて調節でき、レッグレストとフットレストも装備。読書灯や電源コンセント、USBケーブルもあり、TVモニターは肘掛から出す、自在に画面の向きを変えられるタイプだった。

テーブルは書類置きに早変わり。読みかけの本を置くにもよく、こういう工夫はやはりうれしいものだ

電源コンセントやUSBポートは全席に完備。自分のiPodに入れているコンテンツも楽しめる。2011年末までにはインターネット接続、携帯電話サービス、衛星TV放映も始まる予定

そして、シートピッチは予想以上に広く、また座席幅にも余裕を感じた。同行した女性記者が「背の高くない日本人女性なら胡坐をかける」と言っていたが、実際に横幅は49cmあり、これはビジネスクラス並みの水準である。途中でテーブルを出して読書灯を点け、調べ物をしたり、ネットブックを取り出して原稿を書いたりしたが、窮屈に思えることもなく用事を終えた。出張にもおすすめのようである。

TVモニターは肘掛から取り出すパーソナタイプで、画面の角度を自由に調整できて見やすい。リモコンだけでなくタッチパネルでの操作もできる。もちろんオンデマンド

アメニティキットには、歯磨きや櫛、耳栓、アイマスクの他、リップクリームやモイスチャーも。写真提供:トルコ航空

少し前のビジネスに最先端サービスをプラス

今回、トルコ航空のコンフォートクラスは初めて利用したわけだが、なぜかすでに体験ずみのような気がしてならなかった。これはどうしてか、と考えてみると、その答えは単純だった。コンフォートクラスでは、少し前(フラットシートが一般化する前)のビジネスクラスと同等のサービスが受けられたからである。ただ、オンデマンドのエンターテインメントやiPodに入れた音楽や動画の再生できるなど、最先端のサービスが導入されているので、そういう意味では当時より進んだサービスを受けられることを付け加えておこう。

さて、このコンフォートクラスの最大の特徴の1つは、独自に開発された機内食である。トルコ料理は世界三大料理の1つに数えられ、そんなお国柄から食事にはこだわりを持っているという。実際に出された食事を味わいながら、紹介してみよう。

キャビンアテンダントとフライング・シェフ。トルコ航空の機内食を担当するDO&CO(ドコ社)のシェフが搭乗