日本マイクロソフトと毎日コミュニケーションズは5月29日、学生を対象としたプレゼンテーションコンテスト「Student Presentation Award 2011」の決勝大会を開催した。同コンテストは、学生たちのプレゼンテーション能力の向上および、新しい発想力の発掘、意識の向上を目的としたもの。

2月10日~3月7日のエントリー期間中に応募があった作品中から、大会の実行委員会が「合理性があるか」「感情に訴えかけるものがあるか」「共感してもらえる要素があるか」という3つの項目で事前審査を実施。今回、厳選な審査を通過した6組のファイナリストが、決勝大会の会場となった日本マイクロソフト本社に集結した。ここでは、決勝大会の模様をお届けしよう。

10分間のプレゼンテーションにすべてをかける

今回のテーマは「デジタルノート"Microsoft OneNote"を学生の間で普及させるには」で、学生たちは「就職活動」か「大学生活」という2つのシーンからいずれかを選択。決勝大会では10分間の持ち時間を使い、具体的な活用テクニックや学生間で利用を広める施策についてプレゼンテーションする。決勝大会に勝ち残った参加者は以下の6組だ。

発表者名 ジャンル テーマ
加藤舞子氏(中央大学) 大学生活 イマの大学生はタダに弱い?!
杉浦慎平氏(横浜国立大学) 大学生活 伝えたいOnlyOneの思い出
眞子就有氏(青山学院大学) 大学生活 「就職活動生に届け!Microsoft OneNote」
チーム「わくわくキッズ」 就職活動 就職活動生に届け!Microsoft OneNote
チーム「チームみちのく」 大学生活 国際支援科をターゲットとしたOneNote普及計画
チーム「きれいなジューC」 就職活動 就活生に向けたOneNoteの普及方法の提案 PROJECT EBITAI

OneNote入りのUSBメモリを無料配布

中央大学の加藤舞子氏

トップバッターとして登場したのは、中央大学の加藤舞子氏だ。「イマの大学生はタダに弱い?!」と題したプレゼンテーションでは、大学生の間でまだOneNoteの存在があまり知られていないことを強調し、認知度の向上を最優先した。

そこで、今の大学生が持つ購買意欲の低さと"タダに弱い"特徴を挙げ、訴求方法にOneNoteが入ったUSBメモリの無料配布を提案。この方法では、100万円の予算で2,700個のUSBメモリ配布が可能になるという。また、事前に謎めいた告知を流して大学生の興味を高めたり、"気になることがあれば共有する"という大学生の心理を利用したりして、現場およびインターネット上で多数のバイラル効果を獲得。

同氏は「OneNoteは教授・生徒ともに多くのメリットがあり、授業で使用することによって必然性を作り上げます」とアピールした。

「『気になることは共有する』という大学生の特徴を活用すべき」と訴える加藤氏

写真など仲間との思い出をOneNoteで共有

横浜国立大学の杉浦慎平氏は「伝えたいOnlyOneの思い出」と題し、写真など仲間との思い出をOneNoteで共有する方法を提案した。

現在、大学生は撮影した写真をローカルディスクに保存する一方で、編集したり、他人と共有したりしたいというニーズも多い。そこで同氏は、「大容量かつ手軽に使えるOneNoteの特徴を生かし、卒業アルバムやインターネット上で展開されているその他のサービスに対して差別化が図れる」と協調した。

認知段階は学生向けの無料コピーサービス「タダコピ」や検索連動広告、使用段階では具体的な使い方や利用シーンを紹介する動画、そして普及段階においては各種SNSやブログなどでプロモーションを実施。これにより、100万円の予算で約58万人への普及が見込めるという。

「OneNoteは容量において競合よりも優位」と主張する杉浦氏

学生が必然性を見出す授業ノートの共有

青山学院大学の眞子就有氏

青山学院大学の眞子就有氏は、OneNoteを知らない学生が多い原因について、「授業でも利用頻度の高いWordやExcelに対し、OneNoteは普段の生活で特に必要性を感じていないため」と分析。そこで、単純に利便性をアピールするのではなく、学生たちが必然性を見出せるプランを打ち出した。

眞子氏が提案するのは、学生が最も情報を欲するテスト期間を中心とした、OneNoteによる授業ノートの共有。多彩な形式の情報を1つにまとめられるOneNoteは授業ノートの共有に最適であり、GoogleドキュメントやEvernoteなど他の共有ツールと比べても大きな優位性を発揮するという。

具体的な手法としては、「Office Web Apps」を使えば誰でも無料でOneNoteを見られることを生かし、URL入りのチラシを配布。加えて授業ごとにTwitterアカウントを作成し、修正連絡をはじめ継続的かつ双方向の情報連絡も実現する。また、このプランには学生の協力が不可欠であることから、予算として1授業につき5,000円のインセンティブも盛り込まれている。

「このプランを各校、各世代で実践していけば、自分の欲しい授業ノートが必ず見つかるWebサイトの構築も可能になり、結果としてOneNoteを知らない学生がいなくなります」と、同氏は真の狙いを明らかにした。

さらに同氏は、震災の影響で決勝大会が約2ヵ月延期されたことから、自らが考えたプランを大学で実践。75枚のチラシを配布したところ、授業履修者の25%が欠席しており、テスト期間でない状況にもかかわらず、6割以上の学生がTwitterアカウントをフォローしたという。

学生に必須のテスト前の情報共有ツールとして、OneNoteの利用を提案する眞子氏