ところで、SE-300PCIEのドライバをインストールする画面を見ると、「おや?」と気づくことがある。CreativeのPC用サウンド製品「Sound Blaster X-Fi」シリーズとソックリであり、Creativeのロゴも表示される。SE-300PCIEの中枢部には、Creativeから提供を受けたX-Fiチップが搭載されており、これによってサウンドカード全体をコントロールしているのだ。つまり、機能面はSound Blaster X-Fiとほぼ同等であるが、オーディオ出力部分や電源周りなど主にアナログ回路部分に、オンキヨーのノウハウがつぎ込まれているわけだ。
実際、SE-300PCIEのコンソールランチャを起動すると、X-Fiロゴの付いた画面が登場してくる。Sound Blaster X-Fiを使ったことのある人ならお気づきのとおり、画面や操作内容はまったく同じだ。主にオーディオ再生用に利用するエンターテインメントモードのほかにも、DTM的な利用にマッチしたオーディオクリエイションモード、そしてゲームにマッチしたゲームモードという計3つのモードが用意され、用途に応じて切り替えできる。それぞれのモードにおいて、さまざまに音の調整ができるようになっているのだ。
例えば「X-Fi Crystalizer」機能は、サウンドの振動をシャープに強調してミュージカルダイナミクスを拡張し、パンチの効いた音にするというもの。特にMP3やWMA、AACなどの圧縮オーディオに適用すると、欠けてしまった高域を補間してくれるため、より気持ちよく聴くことができる。各モードにはグラフィックイコライザが搭載されているので、好みに応じて音を調整できるのも楽しいところだろう。
一方、ゲームユーザーにとって注目すべき点は、やはりX-Fiチップ搭載で「EAX ADVANCED HD 5.0」に対応しているところだろう。EAX対応のゲームならCPUに大きな負荷をかけることなく、レスポンスの速い音を楽しめるわけだ。ゲームの場合はサラウンド出力が欲しくなるが、SE-300PCIEはサラウンド出力にも対応している。
SE-300PCIE本体そのものはステレオ出力しか持たないが、付属のマルチ入出力拡張ボードと専用ケーブルを利用することで、7.1chまでの出力が可能だ。ただし、こちらは前述のRCAステレオライン出力やヘッドフォンジャックによるステレオ出力とは異なり、そこまで高級なアナログ回路が施されているわけではない。サラウンド出力は、Sound Blater X-Fiと同レベルと考えておくのがよさそうだ。
マルチ入出力拡張ボード上にはマイク入力やライン入力も備わっており、多彩に活用できる。マルチ入出力拡張ボードを使う場合には、PCの拡張スロットを1つ消費するので注意が必要だ。
以上、オンキヨーの新しいWAVIOシリーズのサウンドカード、SE-300PCIEを見てきたが、PCを手軽に高級オーディオへと変身させる機材としてなかなか良さそうだと思う。Sound Blaster X-Fiのツールがそのまま採用されているだけに、とても多機能なのは魅力だが、初めて使う人は難しそうという印象を持つかもしれない。デフォルト設定でEAXやCMSS 3Dなどがオンになるので、そのままの状態ではせっかくのSE-300PCIE本来の音質が見えにくいのもネックではある。とはいえ、これで存分に自分の音作りも楽しめることを考えると、オーディオ好きな人にはたまらない製品といえそうだ。
■試用機の主な仕様 | |
製品名 | SE-300PCIE |
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SN比 | 120dB(2ch アナログ出力、※オンキヨー調べ) |
デジタル入力サンプリング周波数 | 44.1kHz、48kHz、96kHz |
デジタル出力サンプリング周波数 | 32kHz、44.1kHz、48kHz、96kHz |
入力端子 | アナログ、マイク、デジタル光 |
出力端子 | 2chアナログ(ステレオRCA)、デジタル光、デジタル同軸、ヘッドホン、フロントスピーカー(L/R)、センタースピーカー/サブウーファー、サラウンドスピーカー(L/R)、サラウンドバックスピーカー(L/R) |
サイズ | 本体 : W25×D181×H126.5mm、拡張ボード : W21.5×D43.5×H126.5mm |
重量 | 本体 : 300g、拡張ボード : 36g |
対応OS | Windows Vista(SP1)/7 |
店頭予想価格 | 34,800円前後 |