苦節8年、悲願の優勝

2010年12月1日(水)、「ETロボコン2010 チャンピオンシップ大会」の競技会がパシフィコ横浜で開催された。ETロボコンはレゴ マインドストームを利用した、組み込みソフトウェア技術教育がテーマの「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト。すでにレポートもお届けしたが、チャンピオンシップ大会には全国10の 地区大会から選抜された40チームが出場し、競技部門、モデル(設計図)部門、総合部門それぞれの上位入賞チームが決定。なんと地区大会発足2年目の南関東地区の代表チームが総合部門入賞を独占するという大躍進の結果となった。

パシフィコ横浜で組み込みエンジニアたちの熱戦が展開 (写真提供:ETロボコン2010実行委員会)

南関東地区代表チームが総合部門入賞を独占する結果に

総合部門入賞チームの記念撮影。左から準優勝「こっぺぱん♪」、優勝「AEK RUNNER10」、第3位「i-K∀S」の並び (写真提供:ETロボコン2010実行委員会)

全国約350のエントリーの頂点に立った総合優勝チーム、神奈川県厚木市のアンリツエンジニアリング「AEK RUNNER10」には、副賞として「マイコミジャーナルの優勝インタビューが載る権利」が贈られた。年またぎでの公開となってしまい恐縮だが、今回はその優勝インタビューをお届けしたい。

ETロボコン本部実行委員長の星光行氏から表彰を受ける「AEK RUNNER10」 (写真提供:ETロボコン2010実行委員会)

副賞として贈られた「マイコミジャーナルの優勝インタビューが載る権利」

と、その前にまずはアンリツエンジニアリングのETロボコン挑戦の歴史を少しまとめてみよう。初参加は2003年に開催された同大会の前身である「UMLロボットコンテスト」第2回大会。ここでいきなり競技部門のショートトラック部門とレスキュー部門の両方で優勝を果たすも、モデルの方は振るわず酷評されたとか。競技とモデル双方に優れるチームをよしとするETロボコンでは毎年、参加チームの総合プロットを公開しているが、初期のチームは"速いけどモデルがダメ"なチームとして先鞭をつけてしまったと言う。

ETロボコン2010 チャンピオンシップ大会参加チームの総合プロット(ETロボコン2010 公式サイトより)

以後は毎年参加し、2005年にETロボコンへと名称変更されてから開催されるようになったチャンピオンシップ大会には過去2度進出。汚名返上?すべくモデルにも注力し、2007年には「AEK RUNNER2007」が本選モデル部門でゴールドモデルを受賞するも、今度は競技部門が48チーム中23位と振るわず、チャンピオンシップ大会では特別賞にとどまった。そして2008年、2009年は残念ながら地区大会で敗れ、チャンピオンシップ大会出場は果たせなかった。

NXT走行体が導入された前回2009年には、現在の東京地区も含んでいた関東地区から独立する形で南関東大会が初開催。NXT部門に出場した「AEK RUNNER09」は、モデルは「A-」と高評価だったが、INコースを完走したもののOUTコースでコースアウトしリタイア。参加29チームのうち競技順位18位、総合13位という成績だった。

走行中の「AEK RUNNER10」NXT走行体 (写真提供:ETロボコン2010実行委員会)

こうした決して順調とは言えない道のりを経て、ついに今回、ETロボコン2010で「AEK RUNNER10」が総合優勝の栄光をつかみとった。これまでは毎年ガラリとチームのメンバーが入れ替わっていたが、今回はチャンピオンシップ大会に臨んだ4人中3人が前年に引き続いてのETロボコン参加。前年の悔しさと反省をバネに、蓄積された知識も活かせたことが成果につながったと言う。

「AEK RUNNER10」のメンバーとアンリツエンジニアリングの応援団