自律型ロボットによる屋外走行の実証実験「つくばチャレンジ2010」が11月18日~19日の両日、茨城県つくば市にて開催された。初日はコース長240mのトライアル走行に64チームが参加。2日目のファイナル走行には、前日のトライアルで完走した32チームが出走し、そのうちの7台が完走を果たした。

ユニークな外観のロボットも出場した「つくばチャレンジ2010」

ロボットは自律型。完走はなかなか難しく、道を外すロボットも

つくばチャレンジは、ロボットが実社会で自律的に活動するために、どういった技術が必要になるのか追求することが目的。ロボットの実用化が比較的進んでいた工場などが限定された空間内であったのに対し、つくばチャレンジは公園や遊歩道など、人間が普段生活している空間を利用するのが特徴となる。歩行者や自転車がそばを通ることもあるし、道路には落ち葉がそのままある。晴れの日と曇りの日では光量も違うし、雨が降ることだってある。ロボットにとっては、外乱が非常に多い環境である。

開催は今年で4回目。マイクロマウス競技会などを手がけているニューテクノロジー振興財団が主催してきたが、今年からはつくば市も主催者に加わった。

つくば市の市原健一市長は開会式において、「つくば市は今ロボット特区の申請をしており、来年には駅前をパーソナルモビリティが走ることも可能になるのではないか。ロボットの街として、日本のロボット技術に大きく貢献できると確信している」と挨拶。つくばチャレンジについては、「今後も多くの人に参加してもらって、ロボット技術の発展に繋がるような大会になって欲しい」と期待を述べた。

つくば市の市原健一市長。今年からはつくば市も主催者に

つくばチャレンジ委員会の油田信一委員長(筑波大学)

続いて、つくばチャレンジ委員会の油田信一委員長(筑波大学)が挨拶。「つくばチャレンジは、ロボットを作っている人たちが、実地で実験走行してどんな技術が必要か確認しながら技術開発していく場だが、じつはそれは昨日(のトライアル)まで。もう今さら開発する時間もないので、ファイナル走行はお互いの成果を見せ合い、技術に関して議論をして、自分たちの技術に反映する場として欲しい。スイッチボタンを押したらあとは祈るだけ。今までの成果が生きる走行になることを期待している」と述べた。

今年のコースは、つくばエキスポセンターをスタートし、中央公園を経由して、つくばサイエンスインフォメーションセンターをゴールとする全長1.1km。初めて屋内がゴール地点になったほか、今年からは歩道の合流前に白線のところで一時停止するルールが新たに設けられた(6カ所)。コース長は前年までとそれほど変わらないが、1年目はほぼ直線コース、2年目は往復コース、3年目は周回コースと、徐々にコースの難易度は増している。

今年のコース(赤い点線)。途中の赤丸は、各ロボットのリタイア地点だ

スタート地点はつくばエキスポセンター。4分ごとにロボットが出発した

前代未聞のゴール地点。右側のカウンターの中では職員の人が勤務中…

途中には中央公園も。このあたりは周りに木が多いのでGPSが入りにくい

遊歩道には落ち葉も多い。そしてその先には橋があって、かなり傾斜がある

つくばセンター広場まで来ればあと少しだが、コースが複雑で難しい