ベースとなるカラーは6色。これにさまざまな色を追加することで現在ではラインナップが増やされている。実際の塗装時に下地を何色にするかで表現される色は大きく変わり、「LIFEBOOK SH760/BN」で採用されたのは、オリジナルカラーをジェントルなイメージにチューニングし黒ベースで塗装したものだ。採用理由は「これ以上ない特別感」の演出だ。
富士通では近年、PCのカラーリングにこだわりを持って製品化しており、その一環として、今回特別カラーが採用されたのだ。
「最近では、若年層で偏光色に対する興味が高まっており、携帯電話などでも採用され、再注目されています。塗料としては高価なものですが、それだけにプレミア感が出せることに期待しました」と、富士通デザイン 第一デザイン事業部 プロダクトデザイン部のデザイナーである益山宣治氏は、マジョーラの採用理由をこう語る。
また、今回の「LIFEBOOK SH760/BN」がターゲットとしているのは、壮年の男性。そのため、御用列車にも利用されるなど、落ち着いた色表現が可能になったことも採用の大きなポイントとなった。
「派手さはなく落ち着いた色ですが確実に色が変化している、『他とは違う』というプレミア感を重視しました。『ちょっと違う』というのが大切なのです」と益山氏。
そして、SH760/BNでは黒に近い色から青、紫を経由し赤に変化する繊細な色が採用された。
クリーンブースで季節まで考慮した塗装
製品化の過程では、試作段階でさまざまな色が試され、1つ1つ色の変化を確認するなど、かなりの手間がかけられた。また、実際の製品塗装では新たなラインが作られ、クリーンブースでロボット塗装が行われている。
「塗装ロボットの設定も気候に合わせた調整が必要で苦労しましたが、富士通は個性を非常に重視していますから、それを実現できるカラーとしてデザイナーから提案されたものならば、実施するのが私たちの仕事です」と、富士通 第一PC事業部 PCデザイン技術部の後藤克一氏。
こうした苦労の末にできあがった製品に対する反応は、これから数多く寄せられるだろうが、富士通 ダイレクトビジネス事業部の高見祐介氏は、「Web直販では、普通とは少し違うというものが注目されます。個性を求め、こだわりを持って選ぶ方に購入していただきたいですね」と期待を語る。
今回はフラットな薄型ボディを採用した「LIFEBOOK SH760/BN」に、渋めの色変化を起こす塗装が行われたが、ユーザーの反応次第では、今後さらなる展開も考えられている。
「曲面や凹凸がある方がマジョーラの特性は出しやすいので、丸みのあるデザインを採用している下位モデルにもう少し元気な色を塗って、若者向けにしても面白いかもしれません。もし広く受け入れられるようならば、店頭モデルへの採用も考えたいですね」と、富士通 プロダクト&サービスデザイン事業部 プロダクトデザイン部 チーフデザイナーの長尾英児氏は語る。今後はさまざまなバリエーション展開が期待できそうだ。
所有感を満たす特別なPC
「実は、このマジョーラモデルが私の初めての個人PCとなりました。仕事用は支給され、家族で使うものもありましたが、私個人のPCは初めてです。世の中の男性の中には、『自分用のPCが欲しい』と思っている方も多いのではないでしょうか。今回のPCが、そのきっかけになればと思っています。ぜひ、色の付加価値というものを認めて欲しいですね」と清水氏は語る。
「黒とシルバーしかなかったPCに、さまざまなカラーバリエーションが登場しました。どんどん新しいものが求められている中、プレミアム感のあるカラーが出せたと思います」と益山氏。後藤氏も「ユーザーの所有感を満たすものができたと思っています。今のところ、マジョーラ以上のものは思い当たりませんね」と製品への満足感を語る。
WEB MART限定販売の特別な色「マジョーラ」のPCがユーザーにどう受け入れられるのか、今後はどんなチャレンジが行われるのか、期待して見守りたい。