【レポート】

日本IDT 3D対応フレームコンバータの説明会を開催

    大原雄介  [2010/08/25]

    Integrated Device Technology(IDT)は7月22日、3D映像にも対応したフレームレートコンバータである「VHD1200」および「VHD2400」を発表したが、これに関する記者説明会を8月25日に日本にて開催、米国IDTよりDerry Murphy氏が来日して説明を行った。

    フレームレートコンバータは、液晶テレビなどの内部で映像のフレームレート変換を行うためのもの。一般に液晶パネルは60Hzや120Hz(倍速駆動)、最近だと240Hz(4倍速駆動)のものもハイエンドには登場してきたが、入力ソースは60Hzでもインターレスだったり、映画だと24Hzのものもある。これをそのまま表示させようとしても表示レートがあわないので、TVなどの内部で入力ソースを変換してからパネルに表示させるわけであるが、この変換を担うのがフレームレートコンバータである。

    Photo01:説明を行ったDerry Murphy氏(Senior manager of Strategic Marketing in the Video and Display Operation)

    さてこのフレームレートコンバータであるが、ご存知の通り通常は60Hzで出力される。ところが昨今ではより上質な映像出力を求めて、120Hzや240Hzのニーズが次第に増えてきている(Photo02)としている。IDTはこれにあわせ、120Hz(VHD1200)及び240Hz(VHD2400)のフレームレートコンバータを発表した形だ。

    Photo02:同社の予測では、2013年に出荷されるテレビの半数以上が120Hz以上で駆動されるとしている

    VHD1200/2400の特徴は単にフレームレートを変換するのみならず、「HQV MotionSMART」と呼ばれる高精度の映像補完機能を追加した(Photo03)点にある。内部構造はPhoto04/05に示すとおりで、入力された映像をMotion Estimationに掛け、出力フレーム数にあわせる形で動き補完フレームを生成、これにMotion Compensationを掛けて映像出力を補正する。ついでResolution Enhancerを通して解像度補完を行い、最後に3D Gamutで色補正をして出力という順だ。この一連の作業に際しては作業領域として外部にDDR2ないしDDR3メモリを必要とする。ちなみにEmbedded CPUはあくまで管理用で、これが持つSPI/SCIのインタフェースを経由して、外部からMotionSMARTのパラメータなどを制御することが出来る。

    Photo03:主要な特徴がこちら。MotionSMARTは動き予測/動き補完エンジンを利用して、フレームレート変換時の「副作用」を最小限にするのが目的である

    Photo04:ちなみに「どうせなら内部にメモリを持てばさらにBOMコストが下がるのでは」と伺ったところ、「プロセスの問題などもあり、単価が大幅に上がってしまうので、外部に置いたほうがトータルで安くなる」との話だった。ちなみに必要とされる容量は、フルに補正を掛けた場合で画面2~3フレーム分との事だった

    Photo05:VHD1200との相違点は、出力がOctal LVDSになっていること。フレームレートが倍だから、その分出力も高速化の必要がある訳だ。またVHD1200ではDDR2が2チップもしくはDDR3が1チップで済むが、VHD2400ではDDR3が2チップ必要との事だった

    そのMotionSMARTにはどんな機能があるか、という話が次に出てきたが、これは実例を紹介したほうが早いだろう。まずはPixel単位での動き予測で、水平/垂直方向の移動をフレーム間で検出、これにあわせて補完フレームを生成することでブレの無い映像になるという話である(Photo06)。

    Photo06:動き予測をせずに補完すると、左の様な映像になる

    また動き検出を行っている場合でも、誤検出があるとハロー効果(Photo07)が出現する場合があるが、これを抑えられるような複数ステージの処理を行っているという。

    Photo07:左側は奥の人物の服の縞が、ヘルメットの動き予測に引きづられ、歪んでいるのが判る

    さらに、通常の動き予測では斜め方向とか、高速な水平/垂直パンを考慮していないものが多く、しばしば映像補正に失敗するが(Photo08)、こうしたものへの対応も行われている。変わった所では、例えばビルの壁面などではノイズが乗りやすいが(Photo09)、MotionSMARTではこうした周期構造を認識して対応するという説明があった。最後はフレームレート変換そのものにまつわる話である。例えば24Hzソースを60Hz表示にする場合、通常は2-3プルダウンを選択するが、これが必ずしもうまく変換できるとは限らない(Photo10)。MotionSMARTは多用なプルダウンの選択が可能であり、これにより画質を改善できるというものだ。

    Photo08:これは左上→右下へのパンで、左側では激しく映像が乱れているのが判る

    Photo09:周期構造の場合、動き予測が激しく外れる場合がある。もちろん「周期構造が来る」と判っていれば対策は取れるのだが、周期構造が来るか否かの判断をするのが結構難しかったりする

    Photo10:最適なプルダウンを検出して選択が可能ということになっている

    会場では実際に通常の液晶テレビVと、同社が買ってきた液晶パネルの内部にVHD1200を組み込んだものを使い、動作デモも行われた(Photo11,12)。

    Photo11:プレゼンテーションとは逆に、右が通常の液晶テレビ、左は液晶パネルを買ってきて、内部にVHD1200を組み込んだもの。あくまでMotionSMARTのデモ用ということで、色未調整とかはいい加減だそうである。これはPhoto08の例を実際におこなったもの

    Photo12:こちらは高速な水平方向のパンのデモである。ワインボトルのラベルに着目すると、右はほとんど読めなくなっているのが判る

    ところでここまで触れなかった3D映像対応であるが、VHD1200/2400は3D映像であってもきちんとMotionSMARTが利用できる。この場合、3Dの左映像と右映像はそれぞれ独立した形で動き予測→動き補完を掛ける形で動作するとの事だった。ちなみにIDTによれば、クライアント(つまりTVメーカー)からは、3D対応は必須と言われているとの事。現実にソースがあるのか?という話とは別に、あるメーカーが3D対応製品を出したら、競合メーカーとしても3D対応製品をラインナップしないといけない(これは各メーカーの営業部がそうした強い要望を上げているらしい)ということで、なので3D対応を省いた廉価版といった予定は無い(あっても採用してもらえない)模様だ。

    ちなみにすべての補正をフルに掛けた場合、VHD1200/2400内部でのディレイは最大2フレーム程度になるらしい。これを嫌う場合はパラメータを調整して、必要な補正のみを選ぶ(こうした制御を外部から行うために、Embedded CPUが用意されている)事になるとか。

    VHD1200は1000個発注時の価格が25.00ドル/個、VHD2400はやはり1000個発注時の価格が35.00ドル/個となっており、特定顧客向けのサンプル出荷は既に開始されているとの事だった。

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