【レポート】

ルネサス、28nm以降向け設備投資を凍結 - 研究継続も生産はTSMCとGFを活用

 

収益改善も減損損失331億円を計上

ルネサス エレクトロニクス代表取締役社長の赤尾泰氏

ルネサス エレクトロニクスは7月29日、同社2010年度第1四半期(2010年4月~6月)の決算概要ならびに、2010年4月1日にNECエレクトロニクスとルネサス テクノロジの経営統合時より開始したあらゆる経営資源を対象とした事業内容の見直し活動「100日プロジェクト」の具体的な内容について発表を行った。

同四半期の売り上げは、合併前の単純統合ベースと比べ前年同期比24.1%増となる2920億3500万円、うち半導体売上高は同25.3%増となる2615億円となり、営業損益は売り上げの回復および構造改革などによる統合コストの吸収が図られた結果、同439億円の損失から3億円の損失まで赤字幅が縮小、「通期の営業黒字確保の見込みがたった」(同社代表取締役社長の赤尾泰氏)という。また、経常損益は為替差損や支払い利息などの営業外費用39億円が計上された結果、営業外損益が32億円の損失となり、全体としても35億円の損失となった。さらに、純損益は、同社グループの連結子会社であるルネサス山形セミコンダクタの鶴岡工場(300mm)および米ルネサス エレクトロニクス アメリカのローズヒル工場(200mm)の固定資産についての減損損失331億円の計上により、331億円の損失となった。なお、通期としてはこのほか、構造改革費用など合わせて約770億円の特別損失が生じ、純損失は800億円になる見込みという。

2010年度第1四半期の決算概要

旧NECエレクトロニクス側の2つの半導体工場について、今後規模拡大の投資計画がなく、現状の規模では投資回収が見込めないことから、固定資産の減損が実施された

同社の事業は「SoC」「マイコン」「アナログ&パワー(A&P)」の3つが主なもの。同四半期の業績は、SoCがPC周辺やデジタルAV関連のSoCの減速で前年同期比3%減の777億円、マイコンが自動車向け、汎用向けともに増収した結果、同42%増の993億円、A&Pがパワー半導体を筆頭に全体的に増収した結果、同45%増の826億円となった。

各事業別の第1四半期業績

100日プロジェクトの概要が公開

同社が行った100日プロジェクトでは、「販売力」「製品力」「コスト競争力」の3つを強化することを目的に、「成長戦略の策定(事業ポートフォリオの最適化)」「統合シナジーの実現(開発環境、技術プラットフォーム、各種インフラの統合)」「構造対策の実行(生産構造の再構築)」の3つの観点から事業運営を考え、3事業のあり方を模索したという。

「100日プロジェクト」の概要イメージ

その結果、成長戦略としては、2010年度から2012年度までの売上成長率は、7~10%の平均成長を目標とし、統合シナジーとしては、同様の3年間で約400億円のシナジー効果の創出をもくろみ、そして構造対策としては同3年間で約700億円の費用抑制効果を図るというまとめがなされた。

「100日プロジェクト」でまとめられた目標

3事業ともにポートフォリオの見直しを図り、「拡大・成長事業」「現行・中核事業」「縮小事業」の3つにそれぞれ製品を振り分け直し、拡大・成長事業へのリソースの集中を図るとしている。拡大・成長事業として想定されるのは、「すでに市場シェアを獲得しているものや、今後の市場成長が見込める分野への製品」(同)としており、クラウド分野やマルチメディア、デジタル家電、社会インフラ、産業分野などを狙うとしている。

それぞれの領域における拡大・成長事業を選定、そこにリソースを集中させることで売り上げの拡大を目指す

SoC事業は市場が終息に向かっている分野の製品や低収益性のデバイス、受注確度にリスクが伴うものなどを先端プロセス製品も含めて縮小事業とし、「市場の成長性、売り上げ規模、自社の競争力があるかどうか、この3点をベースに"通信インフラ""マルチメディアインフラ""産業インフラ"の3分野に絞り込んだ」(同)とのことで、これらを中心に2010年度の売り上げ規模見込み(約3500億円)から2012年度にはCAGRで10~15%の成長を計画している。

特にNokiaより通信モデム事業を買収したこともあり、通信インフラ関連については、「世界トップのモバイルプラットフォームベンダを目指す」(同)としており、携帯電話のみならずPCや携帯電話以外の携帯機器へと展開を図り、2009年度のモバイルマルチメディア関連の売り上げ規模1000億円を2012年度には2000億円に、2015年度には4000億円へと拡大を図っていくとする。

SoC事業としては3つのインフラに注力するが、特に通信インフラ関連には相当な力を入れており、柱に育てたいという思惑が見える

ただし、先端プロセスの製造については、自社での設備投資を凍結を決定。28nmプロセス以降の最先端プロセスについてはTSMCとGLOBALFOUNDRIES(GF)の2社のファウンドリを活用していくことが決定された。自社の生産能力については、大口径化を進めるものの、生産規模の拡大が伴う設備投資を行うことはないとしている。

28nmプロセス製品は2012年にTSMCで量産されることが想定されているとしており、GFの方に関しては、NECエレクトロニクス時代から参加しているIBMとの先端プロセス開発を引き続き継続していく中で得られるeDRAM技術を活用したSoCなど、IBMベースのプロセスを用いた製品の製造という区分けになることが予定されている。なお、旧ルネサス テクノロジとしては、三菱電機時代より松下電器産業(現パナソニック)と共同で研究開発を行ってきたが、こちらは「契約期間が終了するまでは続けていく」(同)とする。

自社ファブの生産能力は大口径化によって増加はしていくものの、根本的な生産能力増強のためのライン構築などは今後行われる予定は現時点では凍結されているという。大口径化が進めば、150mmウェハに携わっていた人員などは再配転されることになるだろうし、200mm化に対応できない工場は使い道がなくなることになるが、現時点ではそうした個別の案件に関しては応えられる時期ではない、というのが同社のスタンス

マイコン事業は、「V850」「Super-H」はハイエンド、「RX」はミドルレンジ、「78K」「R8C」はローエンドとCPUコアの棲み分けを行いながら、開発プラットフォームや周辺IP、統合開発環境などをCPUコアを意識しないで使用できるように共通化を図るほか、コンパイラなども統一したツール化を図ることで、短TAT化や開発容易性を確保していく方針とする。

また、中国市場を意識しており、現地人をトップに迎え入れた体制を2010年10月1日より発足、上海に拠点を設置し、マーケティングから販売まで約150名をそろえ、現地のみで意思決定が可能となる体制を構築するほか、現在600名居る中国での設計エンジニアを順次拡大させ、3年間で1000製品を同市場に投入する計画だという。

マイコン事業はCPUコア別で棲み分けを図るが、開発環境やIPなどは共通化を図っていく

A&P事業は、電源分野および自動車分野に注力。アナログIC、パワー半導体、光デバイスなどを活用したキットソリューションを構築、カスタマにすぐにでも使える状態で提供することで、個別での提供に比べ高い価値の実現を狙うほか、マイコン事業で培ったシステム構築力などとの連携を図る施策も行っていくという。

A&P事業はマイコンとの連動など、ソリューションとしての展開を図ることで事業強化につなげるという

今回の100日プロジェクトでは、海外の売り上げ比率を2010年度の50%より2012年度には60%へと拡大を図ることが目標となっており、特に中国は全体の売り上げ比率として20%まで拡大することが目標として掲げられている。こうした目標に向けて、同社では人員の再配置なども進めるとしており、先端プロセスの開発や、そういった製造ラインに関わっていた人員を中心にグループ全体約4万8000名の内5000名程度をマイコンの開発などへシフトさせるほか、グループ外への外注規模を2012年度には2010年度の2/3へ縮小させ、社員も3000名程度の削減を行う計画としている。

約5000名の人的効率化対策が行われるほか、グループ外の外注まで含めたトータルの人的リソースを10%削減する計画としている

同社ではこうした構造対策を統合の初期段階に集中して行っていくことで、2年目には通期黒字化を果たし、2012年度までに確固たる経営基盤を構築、中期的には2桁の営業利益率を目指すとしている。

なお、同社の2010年度通期業績見通しは、期初公開時と比べ、足元の環境が好調なこともあり、売上高を200億円増額の1兆1900億円へと引き上げている。

2011年3月期の通期見通し

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