ロックスター 矢沢永吉の姿を追ったドキュメンタリー映画『E.YAZAWA ROCK』のDVDが発売される。30年前、矢沢永吉のドキュメンタリー映画『矢沢永吉 RUN&RUN』を手掛けた増田久雄が、今回は監督を務め、2年間に渡り矢沢永吉に密着。30年前の映像を交えつつ、「60歳のロックスター 矢沢永吉」の姿を映し出す。この作品を手掛けた増田久雄監督に話を訊いた。

増田久雄

プルミエ・インターナショナル代表。映画プロデューサーとして数多くの作品を手掛ける。製作総指揮、プロデュースを担当した作品は『みんなのいえ』(2001)、『高校教師』(1993)、『チ・ン・ピ・ラ』(1984)など多数。自身が製作を手掛けたドキュメンタリー『矢沢永吉 RUN&RUN』(1980)から30年ぶりに、『E.YAZAWA ROCK』(2009)を製作・監督した

「永ちゃん」、「マッちゃん」と呼び合う関係

――作品、観させていただきました。増田監督は矢沢永吉さんとは、「永ちゃん」、「マッちゃん」と呼び合う仲だそうですね。

増田久雄(以下、増田)「矢沢さんとは30年以上前に知り合ったのですが、当初は一緒に仕事をしていたわけではなかったんですよ。ただ、お酒を呑んだり、食事をしたりする仲だったんです。ある日、いつものように呑んでたら、矢沢さんが、『増田さん、もう"永ちゃん"、"マッちゃん"でいこうよ』といってくれたんです」

――そこから信頼関係が生まれて30年前のドキュメンタリー映画『矢沢永吉 RUN&RUN』に繋がったのでしょうか?

増田「そうですね。あの当時は僕も若くて、永ちゃんも30歳前でした。当時、矢沢永吉の本『成り上がり』がベストセラーになっていて、『あれを映画化、ドラマ化したい』という依頼が、永ちゃんのところには多く来ていたんですよ。でも、それはいまいちだと僕は思ったんです。矢沢本人や誰かが矢沢永吉を演じても意味がない。矢沢永吉の一番素敵な部分は、ステージで歌う姿や、曲作りをしている姿だから、それを伝えるには、ドキュメンタリーという手法しかないと思ったんです」

――そうして完成した30年前の『矢沢永吉 RUN&RUN』も凄い作品でしたが、どうして再び、矢沢さんのドキュメンタリーを作ることになったのですか?

増田「あの作品の後、なぜか疎遠になっていたのですが、20年以上振りに、永ちゃん会うことになったんです。そしたら、久しぶりに『RUN&RUN』を見ようということになったんです。でも、せっかく本人と一緒に観るのだから、DVDじゃなくフィルムで見ようということになって、永ちゃんとふたりで30年前の作品を観るために試写室を借りたんです」

――ふたりだけのための試写会ですか!

増田「それを観てるときに思ったんですね。『スクリーンの中の30歳の矢沢永吉もいいけど、僕の横にいる60歳の矢沢永吉も格好良いよな。いったい、30歳と60歳、どちらの矢沢永吉が格好良いんだろう?』という素朴な疑問が浮かんだんです。それが、今回の作品を作るきっかけですね」

30歳の頃の矢沢永吉の姿と、60歳になった矢沢永吉の姿が楽しめる
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