マイクロソフトは25日、無料で利用できるさまざまなソフトウェアをまとめた「Windows Live Essentials」の新バージョンのベータ版を公開した。WebサービスのLiveサービスも今後刷新するほか、Office Web Appsも提供され、ローカルとクラウドの双方で機能を拡充していく。

使いやすさと機能追加で便利になるEssentials

Windows Live Essentialsの最新ベータ版は、Liveメール(メールクライアント)、Liveメッセンジャー(インスタントメッセージング)、フォトギャラリー(画像編集)、ムービーメーカー(動画編集)、Live Sync(ファイル同期)のベータ版5種類を含む11のソフトウェアで構成される。新ベータ版では、UIがMicrosoft Officeと同じリボンインタフェースに変更されたほか、各種機能を追加している。

Liveメールでは、オンラインストレージのSkyDriveと連携。1通あたり最大10GBまでの画像を一度にSkyDriveにアップロードし、HTMLメールとして送信できるフォトメール機能を搭載。送信メールには画像がサムネイルで表示され、実際の画像はSkyDriveのオンラインアルバムを閲覧する形になる。カレンダー機能では、別ユーザーの共有カレンダーを登録できるようになり、仲間内でのスケジュール共有などがしやすくなった。

Liveメールのインタフェース。画像を送信する場合、自動的にSkyDriveにアップロードされ、そのサムネイルがHTMLメールの形で添付される

Liveメールのカレンダーの画面。「サークル仲間」として共有されているカレンダーを登録できる

マイクロソフトのLiveアカウントを登録しておけば、Hotmailのカレンダーやアドレス帳との同期も可能だ。

Liveメッセンジャーは、画面左側に各種SNSの情報を表示し、アドレスに登録したユーザーの現在の状況を一目で把握できるようにした。現在はFacebookとMySpaceに対応する。チャット中の画面内でSkyDriveのオンラインアルバムを相手と共有する機能も用意されている。

画像を共有してチャット相手と同じ画像を見ながら会話ができる

フォトギャラリーでは、顔検出機能によって写真の人物に名前を付ける「人物タグ」機能を備えた。同一人物らしき写真が自動で抽出され、それに名前を設定できる。画像修正機能では、画像の一部を選択するだけでゴミや肌のシワなどを消去する「修整」機能、2枚の画像を合成し、目つぶりなどがない部分だけを残して失敗写真を修復する機能などが追加されている。

フォトギャラリーの合成写真機能。2枚の失敗した集合写真──たとえば、目をつぶっている人とうつむいている人のもの──を合成することで、全員がこちらを見ている写真が完成した(写真右)

ムービーメーカーでは、複数の画像から自動でスライドショームービーを作成するオートムービー機能が追加され、7種類のテーマから選択して音楽を設定すれば、簡単にスライドショーが作成できるようになった。

数クリックできれいなスライドショームービーが作成できる

SkyDriveはSiliverlightによる動画の埋め込み表示に対応したので、そのまま共有することもできる

Live Syncは異なるPC間で任意のフォルダを同期するソフトだが、新たに既存サービスの「Live Mesh」と統合され、ファイル同期だけでなく、PCにリモートアクセスできるようになった。WebブラウザからActiveXコントロールによって、外出先から自宅PCをリモート操作することが可能になる。

任意のフォルダを複数台のPC/Macで同期できるLive Sync。Windows同士であれば、リモートアクセスも可能

2GB限定ながら、SkyDrive上の同期フォルダにもファイルを保存できるので、PCがない環境でもファイルにアクセスできる

クライアントとクラウドの橋渡し

こうしたWindows Live Essentialsの機能を強化するのが同社のLiveサービスだ。メールサービスのHotmail、オンラインストレージのSkyDriveも機能が向上。Windows Live Essentialsは、そうしたクラウドサービスとの橋渡しという位置づけになる。

Hotmailは、今夏に向けて新バージョンへと刷新され、Liveメールにもあったフォトメール機能を搭載。フォトメールを受信した場合、いちいち画像を保存しなくても、メール上から直接SkyDriveの画像を読み込み、Hotmail上で画像を閲覧できるようにした。

Hotmail上でのフォトメール作成画面

受信したフォトメールでは、その場で直接画像を開くことも可能

Hotmailではスレッド表示や一括処理など、大量のメールを管理する方法も改善。メール保存容量は無制限になっており、複数のアカウントのメールをHotmail上にまとめても容量が気にならない。

携帯電話向けの機能も強化された。UI変更などで使いやすさを向上させたほか、前述のフォトメール機能では、国内のほぼすべての携帯画面サイズに合わせて画像を表示できるようになった。このあたりはSkyDriveの新機能でもあり、海外も含めてほとんどの携帯電話向けに画像をリサイズして表示できるという。携帯画面サイズに合わせられるので、そのまま画像を保存して待受画面に使う、といった活用も可能だ。

携帯電話向けのHotmail

添付画像も最適なサイズで表示してくれる

すでに「Microsoft Office 2010」ユーザー向けに提供されているオンラインの「Office Web Apps」との連携機能も搭載する。メールに添付されたOfficeファイルを、ダウンロードせずにSkyDriveへ自動アップロードしてOffice Web Appsで開き、編集などが行えるようにした。編集データはSkyDrive上の共有ファイルとして保存し、そのURLを相手に返信するといったこともできる。

Officeファイルが添付されたメールをそのままOffice Web Appsで閲覧できる

ファイルを編集できるほか、SkyDriveに保存した編集ファイルのURLを簡単に返信できる

マイクロソフトでは、クラウドサービスやOSのWindows 7を「より改善するため」(米Microsoft Windows Live & Internet Explorerゼネラルマネージャー・ブライアン・ホール氏)としてLive Essentialsをアピールしている。