Excelでは間に合わない中堅企業のためのサービス

Adaptive Planning CEO ウィリアム・ソワード氏

不況が続くなか、企業が生き残っていくには、予算・実績の管理やレポートの作成を確実に行って改善策をとることが必要だという考えが広がっている。また状況の変化の激しさに合わせて、従来は年に1度行われていた予算編成や実績評価をもっと短い間隔で行うべきという見方も増えている。

予算編成や実績管理の分野で、最も活用されているソフトウェアはExcelだ。小規模な企業ほどExcelで管理をしていることが多い。この場合、時間がかかり、ミスが出やすいという大きな問題がある。年に1度のことならば対応しきれても、短期間での予算組み替えや実績レポートの迅速な作成などは、Excelでは間に合わない。

一方、大企業は当然Excelではまかない切れないため、専用の製品を導入しているケースが多い。最も活用されているのはオラクルのHyperionだが、導入・運用コストが非常に大きく、中堅企業にとって敷居が高い。

では、大きなコストは負担できないが、Excelでの手作業でも対応しきれないという中堅企業はどうしたらよいのだろうか?

この層にターゲットを絞り込み、BPM(Business Performance Management)に特化したサービスを提供しているのがAdaptive Planningだ。「成長と共にビジネスが複雑になり、Excelによる予算編成や実績管理では対応しきれなくなるのが中堅規模の企業。当社は従業員数100~2,500人程度の企業をターゲットに安価で使えるサービスを展開し、すでに世界で750社以上の顧客を得ています」とCEOであるウィリアム・ソワード氏は語る。

3週間で導入可能、料金は従量課金の低コスト

アダプティブ・プランニング 日本代表 吉岡賢司氏

同社が提供するBPMソフトウェア「Adaptive Planning」の特徴は、SaaSによる提供で低コストかつ短期間での導入を実現していることだ。ブラウザベースで利用できるインタフェースはExcelと非常に似ており、既存のExcelシートをインポートすることもできる。作成したデータは公開範囲を指定することができ、部署単位や全社単位での情報共有も可能だ。

「日本語に対応したVer.6.5は2009年末に発表しましたが、2007年から日本企業のユーザーも存在しています。国内ユーザーの声も十分ヒアリングしており、十分期待にこたえられる製品になっています。日本人ではこだわる方が多い罫線機能も充実していますよ」とアダプティブ・プランニング 日本代表の吉岡賢司氏は語る。

同製品を導入した企業では、3ヵ月かかっていた予算編成が1ヵ月で完了し、四半期ごとの見直しが可能になった。また、作業が迅速に行えることから状況の変化にも柔軟に対応できるようになり、業績の落ち込みを最小限に抑えられたという実績もある。「Adaptive Planningはオペレーションコストの削減、予算・業績見通しデータの簡単なブレークダウンを実現します。また、経営層が欲する経営管理指標の臨機応変に作成できるのもメリットです」と吉岡氏。

Adaptive Planningの操作画面

Adaptive Planningのユーザー数は、2008年末以降急速に伸びている。これはリーマンショックで経済環境が不安定になり、従来のような年に1度予算管理を行うのでは間に合わないという需要が出てきたからだという。

「企業が生き抜くことが難しい現代において、業績・予算管理には厳密さと迅速さが求められています」とソワード氏は語る。Adaptive PlanningはSaaS型であることにより、3週間という短期間での導入を実現。費用も基本料金として年額25万円のほかに、部門単位のユーザーライセンスが10万円と安価だ。導入が容易であること、従量課金であることの2つのメリットが、企業にとって選択しやすいサービスとなっている。

また、セキュリティについても監査が行われており、米国に設置されているデータセンターは高い評価を得ているという。それでも社外にデータを出すことに不安を持っている企業や、日本国外でのデータ管理はポリシー上受け入れられない企業には、オンプレミスでの利用という選択肢がある。「現状ではSaaS型を選択している企業が95%です。しかし、さまざまな事情からSaaSは利用できない企業も存在します。そのために、当社はオンプレミスとのハイブリッドサービス展開を行っています」と吉岡氏は語る。

IT部門ではなく経営管理部門へのアプローチを強化

現在、Adaptive Planningは日本市場に向けた適切なアプローチができるパートナーを探しているところだ。ワールドワイドパートナーとして活動してきたネットスイートは日本向けの販売活動を今後も継続するが、さらに幅広くアプローチできるパートナーが必要だという。

「Adaptive Planningを必要としているのは、企業の経営管理部門です。IT部門が直接導入を検討するものではないため、IT部門向けではなく、経営管理部門向けのアプローチが必要となります。われわれとキーメッセージを共有し、共に歩めるパートナーを求めているところです」と吉岡氏。

近年急激に需要が増加しているものの、予算・実績管理の分野はいまだにシステム化されていない企業が多い。「過去10年であらゆるものが自動化されてきましたが、残っているのがこの分野です。世界的に見れば25億ドルの市場規模があると見ています。米国でも65%がマニュアルで処理していると言われますが、日本ではさらに多い75~80%がExcelで処理をしているのではないでしょうか。日本とアジアには大きな市場があると考えています」とソワード氏。

厳しい経済環境下で生き残る企業の選択肢として、Adaptive Planningは日本企業にも注目されるソリューションとなりそうだ。