昨今、YouTubeやニコニコ動画などの動画サイトは、ユーザーの関心を常に集めており、もはや巨大な動画コンテンツを持つポータルサイト。これらの動画サイトの人気を背景に、動画をビジネスに積極的に活用していこうという試みもまた増えてきている。このような状況において動画作成ソフトの重要性は、ますます上がってきていると言えるだろう。

Camtasia Studio 6

今回はそれら動画作成ソフトの中でも比較的簡単に使用できるソフト「Camtasia Studio」に焦点を当て、虎ノ門で行われたTechSmith(テックスミス)社公認の動画作成講座をレポートしたい。Camtasia Studioは、TechSmithのパソコン画面を録画・編集するためのソフトウェア。ボタンひとつでデスクトップ上を録画する機能や簡単に操作できる編集機能が特長となる。編集機能は大きく分けて、ズームとパン機能、吹き出し機能、画面切り替え機能、キャプション機能の4つに分かれており、絞った機能で本格的な動画を作成できることも特徴だ。同社のWebサイトでは、体験版も公開しているので「動画の編集なんて難しいのでは?」という先入観がある方は、自分のデスクトップのちょっとした動きを録画してみると良いだろう。

ボタンを押すだけで録画開始する手軽さ

タイムラインを利用した動画編集も比較的簡単な操作で可能

講座を受け持つのは、ジーニアスウェブ代表取締役小園浩之氏。現在、Webコンサルタントの仕事を中心に活動している。講座の内容は、Camtasia Studioを使って4つの課題を作成しながら技術を習得していくという内容で、それらの話の合間に実際のビジネスの現場でどのように動画が活用されているのかなども解説する。

動画作成講座の様子

ジーニアスウェブ代表取締役小園浩之

講師の小園氏によれば、動画作成上達のコツはとにかくたくさんつくること。それには初心者でも直感的にわかるシンプルな操作性をもちつつ、高度な技術や処理などは必要ないが重要なところはしっかりおさえているそんなソフトウェアが望ましい。そういう意味で、動画制作のためのさまざまな機能がモジュールとしてまとめられているCamtasia Studioは動画作成初心者には、最適なソフトウェアだという。講座では、最終的に次の4つの動画を作成できるようになることを目標としている。

  • 社内システムの動画マニュアル
  • WEBプレゼンテーション
  • プロモーション動画
  • 教育システム

これらの動画の作成方法をマスターすれば、あとは大体応用がきくようになるという。Camtasia Studioは、こういった"ビジネス用途に使う動画を手軽に作る"というコンセプトのソフトでもあり、例えば、社内システムの動画マニュアルでは「Camtasia Recorder」という録画機能、WEBプレゼンテーションに関しては、「PowerPoint」をそのまま動画にして書き出すアドイン機能、プロモーション動画に関してはオーディオ編集機能やビデオクリップを挿入する「Picture in Picture」機能、教育システムには、「クイズ作成機能」といった具合に明確な目的を持って動画を作成できる。

講座では実際にCamtasia Studioを操作しながら、画面の録画からはじまりズームとパン、キャプション機能、吹き出しの作成、音楽の挿入といった編集工程からWEBプレゼンテーションの作り方、クイズやアンケートシステムの作成と、作品の完成まで幅広い。約4時間ミッチリ動画作成を受講することで一連の操作をそつなく学習できる。

小園氏は、ビジネスシーンにおける動画作成のメリットは、なんといってもそのわかりやすさにあるという。"百聞は一見にしかず"ということわざが明快に示すように、長い文章や画像で説明するよりも、よりわかりやすく、より多くの情報を相手に伝えることが可能になる。実際に商品の説明を動画を使って配信することによって、書籍の売り上げや専門学校の入学希望者が大幅に増加した事例もあるという。また、その"わかり易さ"はそのまま、社内システムでの教育マニュアルなどにも活用されはじめているという。

今回も含めて講座の参加者の大半はビジネスで使用することを考えている人がほとんどだという。「大体2/3がなんらかのプロモーションとして動画を使いたいと考えており、残り1/3が会社の業務改善のため動画を活用したいというユーザーで、システム関連の方が多い」(小園氏)。 特にネット関連のIT企業などは社内マニュアルに動画を積極的に使用するケース多くなっており、他の企業にも広がりを見せ始めているということだ。

また、講座に参加する人の中には社内で動画を作成して"コスト削減を"という人が多いとも。ただ、コスト削減のみの理由で、パソコンを使った写真や音楽ファイルの操作経験がまったくない場合などは、基本的に自分で作成するのは難しい上、作成しても時間がかかる。コスト削減のみを何よりも優先する場合は、とにかく一度、動画作成のプロセスを理解し、"自分でできるところ"と"できないところ"を見分け、自分のできない部分は外注してしまうという考えも重要だという。今回のように、ビジネスシーンでの動画活用を前提とした一連の作成工程を見ておくことは、コストを考える上でも同様に重要であるということになるだろう。

YouTube

広告に関してもYouTubeの検索連動型広告"プロモート動画"が昨年日本でも開始されるなど、個人や企業を問わずに今後、広告の分野においては、動画作成技術を持っている人と持っていない人との差が出てくると小園氏は予測している。