北海道土産に、妹から生キャラメルをもらった。うちの家系は行列嫌いなのだが、これを買ってきたということはもうそれほど並ばずに買えるような状況にまでブームは落ち着いてきているのだろうか。Googleで調べてみた。

そこで役に立つ「Google Insights for Search」とは?

8月に日本語版が開始された『Google Insights for Search』は、Googleの検索トレンドを見ることのできるサービスだ。

日本での全体的な検索動向を調べてみると、GoogleでYahoo!を探す人が多いことがわかる。YouTube、mixiなど人気の高いWebサービスも上位に入っている。「注目検索クエリ」では特に検索数が増加しているワードが表示される。年ごとの推移を比較すれば、毎年のネット上の流行を大まかに把握することができそうだ。

比較軸を「検索クエリ」、「検索クエリ」は空欄、フィルタで地域を「日本」にして「検索」ボタンを押すと、日本において検索ボリュームの多いワードが表示される

比較軸を「地域」にして各国の「YouTube」の検索ボリュームを比較すると、日本・アメリカでの検索量はペルーに遠く及ばない

「インフルエンザ」の検索動向を調べてみると、4月・5月に急激な増加があったことがわかるが、8月の再流行ではそれほど大きな反応を見せていない。しかし、いち早く大規模な再流行が報じられた沖縄では、4月・5月よりも8月のほうが検索量が増加していることがわかる。

検索クエリに「インフルエンザ」、フィルタで「日本」「過去12ヵ月」を指定すると、この期間の動向がグラフで表示される

地域を「日本」>「沖縄」に設定。9月時点でも高いレベルを保っている

このように、同サービスでは検索クエリ・地域・期間を軸に、様々な動向を見ることができる。

生キャラメルブームの動向を探る

ということで、生キャラメルだ。流行りだしたのが昨年頃だと思うので、その前の2007年から現在までの動向を調べてみよう。

"生キャラメル"のWeb検索の人気度の推移をグラフで表示(2007年1月-2009年9月)

見事な山脈ができあがっている。最初のピークは2008年2月最初の週。そして5月の連休以降ぐっと平均値が上がり、12月の第2週に2008年の最高値を記録する。しかしそれを凌駕する勢いで2009年2月第2週に最高値に達した後、3月、5月に山を築いてその後はゆるやかに沈静化を見せている。

過去のニュースやブログによると、2008年2月始めのテレビ番組で生キャラメルが紹介され、同じ時期に北海道土産やデパートの物産展で入手した人たちが「大人気」「入手困難」などの言葉とともに感想を記している。5月の増加は連休の北海道旅行で買い求める人が多かったのだろうか。この頃コンビニで限定販売されたというニュースもあった。そして、2009年2月には"家元"が東京に直営店をオープン。バレンタイン需要も重なったせいか、検索人気度は過去最高となる。ちなみにホワイトデーのある3月中旬、また5月の連休前後にも増加が見られる。

地図上で検索ボリュームの変化を見ると、北海道が最も早くからボリュームが多く、首都圏・中部・関西へと広がっていく様子がわかる。今年7月~8月には全国的にほぼ低レベルに落ち着いているが、北海道ではまだ中レベルを維持している。

検索ボリュームを色の変化で表示。時間を追ってアニメーションで見ることができる(画面は、2008年7月-2009年8月の変遷)

「地域」「期間」を切り口に観察する

では、地域別に詳しく見てみよう。比較軸を「地域」にして、本場北海道、直営店のある東京と長野(軽井沢)、もうひとサンプルとして北海道から遠い福岡を選択した。比べてみると、やはりほとんどの期間において北海道が検索ボリュームトップを占めている。長野はテレビの影響か2008年2月と7月に小さなピークがあった後、9月後半には一気に増加。その後高レベルを保つが、今年7月頃からパッタリ消えている。東京がダラダラと緩い上下を続けていた一方で、意外にも福岡はそれを上回る反応を見せている。平均値でも福岡は東京の約1.5倍だ。

「地域」を軸に検索ボリュームの変化を比較できる

比較軸を「期間」にして2007年・2008年・2009年を比べて見ると、何度かのピークを繰り返しながらじわじわ平均値を上げてきた2008年に比べ、2009年はピークから始まって徐々に値を下げている。そして7月頃を境に昨年を下回るレベルに。

年間の月別検索ボリュームを比較できる。期間は月単位で設定が可能だ

このままブームは終わるのだろうか。その他の代表的なお土産菓子と比較してみた。

複数の検索クエリの検索ボリュームを比較。and/or検索、除外などの指定も可能だ

お土産人気トップクラスの商品は、少数だがほぼ決まった量の検索があるこようだ。生キャラメルの検索量は確実に減っているが、それはその商品の情報がある程度行き渡ったことを示していると捉えることもできる。

最終的に、生キャラメルブームはだいぶ落ち着いてきたと思われる、という結論に達した。急激なブームに揉まれた生キャラメルだが、このレベルで安定が続くようになれば"定番商品"として成熟してきたと考えられるのではないだろうか。