CMプランナーは、クライアントのカウンセラーである
中央酪農会議の「牛乳に相談だ。」シリーズ、ソフトバンクモバイルの「ホワイト家族 24 予想外な家族」シリーズ、東京ガスの「ガス・パッ・チョ!」シリーズなど、おなじみの人気CMを生み出している電通の澤本嘉光氏。クリエイティブディレクター / CMプランナーとして広告表現の最前線で活躍する澤本嘉光氏に話を訊いた。
――そもそも澤本さんはCMのお仕事に関して、どういった部分を担当されているのでしょうか?
澤本嘉光氏(以下、澤本)「クリエイティブディレクターでCMプランナーを兼任しているという感じですね」
――具体的にクリエイティブディレクターとは、どんなお仕事なのですか?
澤本「宣伝のチームリーダーと考えてもらえば、わかり易いと思います。まず、クライアントから課題が来ます。その課題を聞いて、『グラフィックは誰で、演出は誰で』という感じに、課題に適した人選をしてチームを作ります。ただ、これはあくまで僕の場合です。クリエイティブディレクターの仕事は千差万別なので、人によって違います。僕の場合は、課題や、プロジェクトに関する方向付けをチームに対して行います」
――プロジェクトへの関わり方にクリエイティブディレクターごとに差異が出るものなのですか?
澤本「そうですね。クリエイティブディレクターはコピーライター出身の人も、アートディレクター出身の人も、CMプランナー出身という人もいるので、関わり方に違いはあります。僕の場合はCMプランナー出身なので、プロジェクトの中でその役割も務めるというわけです」
――では、CMプランナーというのは、どんなお仕事なのでしょうか?
澤本「わかり易くいうと15秒や30秒のCMの脚本を書くという仕事です。勿論、誰が出演するとかいう部分まで考えて、それをクライアントに提案して成立させるという役割です」
――プレゼンまでする脚本家という感じでしょうか?
澤本「やってることは、クライアントのカウンセリングという感じです。クライアントの求めている事をクリアにしていくのです。例えば、クライアントが"爽やかさ"を売りにしている目薬があったとします。それに対して『爽やかより"刺激的"という声が強い。だから今回は"刺激的"というキーワードでCMを作ります』というように、方向付けをする場合が多いです。医者やカウンセラーに近い感覚で表現を作っています」
――カウンセリングと、CM制作の仕事の比率はどんな感じなのでしょうか?
澤本「ほぼ半々という感じですね。ずっとCMの中身ばかり考えているわけではないです」
――CMの制作の部分に関して教えてください。
澤本「CMプランナーは脚本までで、演出家まではやりません。あくまでも、撮影の調整、CMの案を通すまでが仕事です。監督を選ぶ、キャストを選ぶ、CMを考えるまでは、僕の役割はCMプランナーで、クライアントに案が通った後はプロデューサーになります。僕の作業としては、このふたつを平行して進めている感じです」