レッドハットは6月23日、米Red Hatのプロダクト・テクノロジー部門を率いるPaul Cormier氏を招き、記者説明会を実施した。本稿では、その内容を基に、同社のクラウドコンピューティングに向けた取り組みを紹介しよう。

トータルなクラウド基盤を提供できるのはRed HatとMicrosoftだけ

米Red HatのPaul Cormier氏

次世代の企業システム基盤として期待され、IT各誌を連日賑わし続けているクラウドコンピューティング。Cormier氏の説明会でも、話題の中心となったのはこの技術だ。

Cormier氏は、まず「クラウドコンピューティングの定義ははっきりしないので一概には言えないが、論点を絞るためにIaaS(Infrastructure as a Service)という観点で話す」と前置き。そのうえで、「私の知る限り、現在提供されているクラウド基盤/IaaSのほとんどはオープンソースのLinuxで構築されている」と説明した。

その理由として一番に挙げられるのはやはりコストメリットだという。環境によっては何千台ものサーバで動かすことになるクラウド基盤。それらを有償OSで動かすとなると、ライセンス料はかなりの額に膨れ上がる。その点を考えると、必然的にオープンソースという選択になるようだ。

こうした現状に触れた後、Cormier氏は、クラウド基盤に求められる重要な要件として、「オンプレミスからクラウドへ、クラウドからオンプレミスへと、アプリケーションを自由に移設できること」を挙げる。そして、「そのためには、仮想化ソフトウェア、OS、ミドルウェア、管理ツールを一元的に提供できるベンダーが、クラウド基盤のプレイヤーとして求められる」と説明。「現在、それに該当するのはMicrosoftとRed Hatだけであり、Microsoftのソリューションはコストを考えると疑問」と結んだ。

クラウドコンピューティングにおける新たな価格モデルも

事実、Red Hatの技術は、すでにサービス展開中のさまざまなクラウド基盤で運用されている。そのなかには、米Amazon.comや米Dellといったクラウドサービスとして実績のあるものもあり、そうしたプロバイダーのビジネスを円滑に進めるべく、クラウド基盤としての技術開発に注力している。

その例として挙げられる既存技術が、グリッド管理機能やメッセージングサービス機能だ。クラウドコンピューティンにおいては、「各種のクラウド/プラットフォーム間においてシームレスにジョブを移せることが大切」(Cormier氏)と言い、そういった部分をサポートするソフトウェアとして「Red Hat Enterprise MRG」を提供している。

Red Hatが提供するソフトウェア製品群

Red Hatが提供するクラウド基盤向けソリューション

さらに、Red Hatでは、「価格モデルにおいても、クラウド分野のリーダーになることを目指している」(Cormier氏)ようだ。

Cormier氏によると、Amazon.comやDellら、クラウドソリューションのプロバイダーと最適な課金体系/システムを協議中だという。インフラの規模やゲストの数に応じたもののほかに、「1分あたりいくら」というように利用時間に応じた価格モデルも検討しており、Dell Cloud Computing Solutionsなどで「年内を目処に提供される予定になっている」(Cormier氏)そうだ。

2年後には仮想化もOSの基本機能に

そのほか、Cormier氏は、今秋リリース予定の「Red Hat Enterprise Linux 5.4」で搭載予定の仮想化機能「KVM」についても言及。Linuxカーネルに取り込まれ、多くのシステムで繰り返しテストされ、ブラッシュアップが行われていることから、信頼性という点でXenなどを上回ると説明した。

そのうえで、「仮想化が特別なものとして扱われる期間はもうそれほど長くはない。2年後には、OSの基本機能の1つという位置づけになっているだろう」とコメントした。