クラリオンは1940年に設立された、カーオーディオ、カーナビゲーション、車載PCなどの製造メーカーだ。世界各国の拠点を中心として、国内・海外の主要な自動車メーカーに対してOEMも行っている。また、同社は企業の社会的責任を果たす「CSR経営」に向けた取り組みを行っており、社会、経済、環境の3つの側面からCSR経営の確立を推進している。さらに、同社は各拠点各部門とのシステム的な連携を行うなど、先進的なIT化を遂げている企業でもある。今回はクラリオンが仮想化技術に取り組み、サーバ統合を成功させた事例を紹介しよう。
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クラリオンといえば、カーナビ、カーオディオで有名だが、こちらは業務用ナビゲーションとして初めて操作画面のレイアウト機能を装備した「Solid Navi」。物流・輸送業界においても業務効率化を目的とした業務用車両向けカーナビゲーションの需要が増加している |
有限なリソースに対する課題を克服する
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クラリオン 経営推進本部 |
「弊社が仮想化技術に取り組み始めたのは、2007年末のことです。IAサーバへの要求が急増し、サーバルームに対する課題も多くなりました。また、従来から使い続けている老巧化したシステムの延命という問題を解決するため、導入を検討し始めました」と当時を振り返るのは、経営推進本部 SCM推進部 情報企画グループ 郷修治氏だ。
クラリオンは2007年1月に「ザナヴィ・インフォマティクス(以降、ザナヴィ)」を日立製作所から株式を取得する形で、100%子会社化しているが(2009年4月に合併予定)、この2つの企業間においても同じIT基盤を構築していかなければならないという、経営戦略上の課題も浮上していたという。この課題に対しては、その多くのテーマに対応するためにそれぞれ検証、さらには本番稼動の環境を用意する必要があり、従来の発想なら、その分だけ物理サーバを用意しなければならない。
本番稼動だけならまだしも、短期間の検証のためにまで専用の物理サーバを構築することは、コスト的観点だけでなく、IT管理的な観点でも効率が良いとは決して言えない。「実際の要件に合わせながらそれぞれの環境を全て物理サーバとして構築することが、人的・リソース的に実に困難な作業であることは想像に難くありませんでした。そこで、日立電線ネットワークスさんとネットワールドさんに相談したところ、仮想化の提案を受けたのです」と郷氏はVMware Infrastructure 3導入の背景を語る。