エコ発電とFlashの関係とは?

東京・渋谷駅のハチ公前広場にて、振動により電気エネルギーを発生させるという「振動力発電」を利用したクリーンエネルギー実証実験が行われている。通行者が知らずに発電床を踏むことで発電され、その発電力量をモニターで確認することができる。12月25日のクリスマスまで設置されているこの振動力発電のイベントには、アドビ システムズのFlashが深く関わっている。このプロジェクトに関わったクリエイターたちは、Flashを活用し、どのような表現を目指したのだろうか?

これが渋谷駅前にさりげなく設置されている発電床。ここを歩くだけで、発電するというエコな技術だ

ここでは発電床の実演が楽しめる。自分で電力を発生させる様子をモニターで実感。この画面にFlashの技術が使われている

今回、「振動力発電」のクリーンエネルギー実証実験に、アドビ システムズはどのような関わりを持っているのだろうか? アドビ システムズ、マーケティング本部クリエイティブソリューション部Webグループ、フィールドマーケティングマネージャーの西村真里子氏によると、アドビ システムズは今回のプロジェクトに電力表示や全体のデザインなどで協力しているだけでなく、電力測定やFlash表示のためのPCを提供しているという。このプロジェクトに参加した意義について西村氏は「今回の振動力発電の実証実験では、発電した電力がリアルタイムで表示されるモニターがあります。それにFlashの技術が使われています。デジタルサイエンスとしてのFlashの役割も大切ですし、デザインが人や街、すべてを元気にするとアドビ システムズは信じています。インタラクティブな動きのある広告表現にFlashが使われるというのは意義あることです」と語った。

新しい技術をクリエイターがわかり易い表現で伝える

今回のプロジェクトの中心人物といえる小泉望聖氏

この振動力発電のイベントはイメージソース取締役クリエイティブディレクター/音力発電 経営企画・宣伝PR担当の小泉望聖氏を中心に実現された。小泉氏は「クリーンエネルギー実証実験」という硬いイメージの「素材」を、親しみ易い「イベント」として見せるために、クリエイターとして尽力した。小泉氏は今回のイベントについて「渋谷区からの『音力発電が持つ振動力発電の技術を使い、渋谷区ハチ公前広場でクリーンエネルギーの実証実験を行いたい』という依頼で実現しました。振動力発電の技術自体は既存のものなので、イベントとしてのユニークな見せ方を考えました。発電というと理系というか工業的な感じがするので、街の中に自然と溶け込んだ感じのクリエイティブを目指しました。クリーンなエネルギーに合うイメージの表現ができたと思います」と語った。

振動が床に伝わることで発電するという振動力発電の認知度は、正直まだ低い。しかし、この技術はすでに、首都高速では一部で実際に採用されているという。これは、首都高の橋の橋脚部分に振動発電装置を仕込み、橋上を車が通過する時の振動で発電するというユニークなシステムだ。小泉氏によると、もしこのシステムを首都高全域に導入すると、1日の23区の消費電力の半分が賄えてしまうというという。つまり首都高が電力会社として機能することも可能なのだ。小泉氏は大きな可能性を持つクリーンエネルギー実証実験を、渋谷ハチ公前という場所で行う意義についても言及した。

小泉「渋谷駅前のスクランブル交差点は平日の1日の通行量が90万人で、信号が1回青になる度に2500人もの人が往来するという場所です。つまり、エネルギーポテンシャルが凄く高い場所なんです。ここには、凄い量のエネルギーが捨てられている。だから歩くだけで発電するという技術をアピールするには最適な場所でした。そこで、ハチ公前の一部の路面に発電床を埋め込んだ。自然に歩きながら、実は発電されているというのを目指したんです」

この街を行き交う人々の出す振動すべてを電力に変えることも将来は可能に?