中国では、最近、ノキア、サムスン、モトローラといった国際ブランドでも、寧波波導、夏新電子、中興通迅などの国産ブランドでもない、まるで聞いたことのないブランドの携帯端末を使っているユーザーが軒並み増えている。

このような携帯電話端末のことを、人々は「山寨機(さんさいき)」と呼ぶ。山寨というのは、山賊が住んでいた山の砦のことを指す。一体、どのような携帯端末なのだろうか。本稿では山寨機の由来とその現状、今後の行方について検討してみたいと思う。

徹底したコスト管理や小売の巧妙さで低価格を実現

「山寨機」をその字面から解釈すると、山の砦の中で政府の管理から逃れているということになる。つまり、生産者が勝手に有名ブランドの名を付けているか、ブランド携帯電話の機能やデザインを巧妙に真似しているものを山寨機と呼ぶのである。

政府の管理から逃れていることから、付加価値税や販売税を納めないで済むし、端末開発費や広告費、販促費もさしてかかっていない。徹底したコスト管理や小売手段の巧妙さなどもあって、末端販売価格はブランド携帯電話の2分の1~3分の1程度ときわめて安価だ。

山寨機はまた、「野良携帯」「ブラック携帯」「高倣(高いレベルの模倣の意)携帯」などとも呼ばれているが、携帯電話の製造ライセンスが必要なくなったのに伴い、多くの山寨機が一気に合法となった。

さらに一部の低価格品、機能で優れたOEM製品、無名ブランドの携帯電話も山寨機の範疇に属する。

山寨機や多くの国産端末で使用されているソリューションは、台湾のMediaTek (MTK)のものを使っている。山寨機はさらにWindows Mobileシステムのソリューションも使っていると言われる。