アイデアにおいて正規メーカーより勝る部分も

実際、山寨機の生命力と創造性は、業界筋の想像をはるかに超えている。一般の人にとって山寨機は模造品の代名詞だが、まさにそれこそが山寨機の大きな特徴なのである。現在、腕時計型携帯電話が山寨機文化のシンボルとなっているが、その他にもテレビ携帯電話、キャラクター携帯電話など大手メーカーではなかなか思いつきそうもない携帯端末がある。少なくともアイデアにおいて、彼らは正規軍よりはるかに勝っている。

客観的に言って、山寨機に欠けているのは「ネットワーク入りするための許可証」だけだ。長らく非難の的になってきたアフターサービスにおいても、全国規模のサービス網こそないものの、販売店を通じ、基本的には問題解決ができるようになっている。

政府の通信ネットワーク入り許可制度の規制緩和に伴って、許可証を取得すること自体、ある程度の規模の山寨機メーカーにとってはそれほど難しいことではなくなっている。しかし彼らが本当に許可を取得すれば、それはむしろ彼らにとっての破綻の始まりとなる可能性が高い。なぜなら携帯電話ブランドを築き上げるには、言うまでもなく大量の資金を投入する必要があるからだ。

深センの電子機器市場に行ってみると、携帯電話が、まるで大根や白菜と同じように売られているのを目にするだろう。これらの携帯電話を組み立てたメーカーは、地下加工工場でも「正規軍」でもない。

「待機時間1年」とうたう山寨機メーカーも

それゆえ、「山寨機」というあだ名を頂戴したわけである。前述のように、山寨機はしばしば独特の形をしており、腕時計型の携帯電話もあれば、光学レンズ付の携帯電話、偽札識別機能付の携帯電話、タバコケース型の携帯電話などがある。さらに、BMW、ベンツ、ポルシェなどの自動車模型の携帯電話もあり、隠れた人気を博している。

独特の趣のあるこうした携帯電話端末は、多くの技術とアイデアを組み合わせており、超大型ディスプレイ、テレビ機能、ダブル撮影機能、マルチメディアプレイヤー、ダブルカード装着など、考えられる機能がすべてそろっている。

また、人々の注目をより集めるため、山寨機のメーカーはほとんどバッテリーが大容量であると掲げており、中には待ち受け時間が一年あるとうたうなど、とても信じがたいものまで現れている(もちろん消費者を引き寄せるための誇大広告である)。

先ほど述べた「高倣(模倣レベルの高い)携帯」も山寨機の一種だが、山寨機のなかで価格が最も高く、グレードの高い携帯端末だ。高倣携帯と同様に人気があるのは、国産携帯電話のブランドを貼り付けた、低価格でしかも機能のそろったOEM製品と無名ブランドの各種携帯である。無名ブランドの端末にはそれぞれ一風変わった名前が付いており、各メーカーが独自に付けた名前である。