テキストを加工してロゴを作ろう.2

つぎに、文字をフチ取りします。文字のパスを選択して、右クリックメニューの「複製」を選んでください。一見すると変化がないようですが、同じパスがふたつ重ねて表示されています。文字を任意の色で塗りつぶしたら、背面に移動してください。その後、「パス」メニューの「アウトセット」を選ぶと、文字をフチ取りにできます。

(図37)コピーしたパスを背面に配置して、濃い色で塗りつぶす。アウトセットを実行すると、文字がフチ取られる

アウトセットは、パスの輪郭を拡大する機能です。「インセット」を選ぶと、反対に輪郭を縮小します。Inkscapeには「ストローク」と呼ばれる輪郭の編集機能も用意されていますが、ストロークを太くするとパスの内側まで塗りつぶされてしまうことがあります(図38)。文字の輪郭を作る場合は、新たにパスを作りアウトセットで輪郭を太くするといいでしょう。ちなみに、このような処理のことをデザイン用語では「袋文字」と呼びます。

(図38)ストロークはパスの輪郭を編集する機能。ただし、あまり太くしすぎると、内側まで塗りつぶされてしまうことがある

文字に影をつけるには、フチ取り使ったパスを複製してグレーで塗りつぶし、平面に移動します。さらにぼかしを加えて下方向にずらせば、影の完成です(図39)。文字の位置や色を変えれば、さまざまなパターンのロゴを作れます。とても手軽に作れるので、ぜひ試してみてください。

(図39)文字に影を加えればロゴの完成

作成したロゴを画像ファイルに保存するには、「ファイル」メニューの「ビットマップにエクスポート」を選びます。ダイアログが開いたら「参照」ボタンでファイル名を設定して、「エクスポート」をクリックしてください(図40)。画像がPNG形式で保存されます。「幅」や「高さ」で画像サイズを変更できますが、あらかじめオブジェクトのサイズを変更しておくといいでしょう。

(図40)作成した画像をPNG形式で保存する

ちなみに、InkscapeのプロジェクトファイルはSVG形式で保存されます。SVG形式とはXMLで記述されたベクトル画像のデータ形式です。対応ブラウザやプラグインがあれば、HTML上で画像を表示できます(図41)。また、「ファイル」メニューの「名前をつけて保存」でファイルを保存する際に、PDF形式やEPS形式なども選択可能です。このとき、オブジェクトがキャンバスのページ内に収まるように配置しなさないと、画像の一部が表示されないので注意してください。

(図41)プラグインを使って、インターネット・エクスプローラでSVGファイルを表示したところ。拡大しても画像の劣化がない