音楽制作も可能なオーディオ編集ツール

Adobe Soundbooth CS3は今回から新たに加わったソフトウェアである。わかりやすいインタフェースのオーディオ編集ツールで、オーディオファイルを取り込んで波形を見ながら加工することができる。一部分をカットしたり、一部分をループしたり、別のオーディオファイルとミキシングしたり、ピッチやテンポを変更するといった作業を簡単に行うことができる。またイコライザー、リバーブ、ディレイ、コンプレッサー、ディストーション、コーラス、フランジャーなど多彩なエフェクターを使用して音を加工したり、最終仕上げのマスタリングを行ったりという作業を、プリビュー機能で音の変化を聞きながら設定することが可能だ。

また、ノイズ除去機能は非常に強力で、波形エディターでノイズのみの部分をサンプリングすると全体からサンプリングされた音に含まれる周波数成分だけをカットすることが可能だ。スペクトルを表示させて周波数分布を目で確認しながら不必要な音を除去することもできる。

波形だけではなく、スペクトル表示機能によって周波数分布から不要なノイズを除去することも可能だ。この例ではスペクトルからクラクションの音を除去しようとしている

オートコンポーザを使用すればスコアと呼ばれるループ音源を使用して、著作権フリーのBGMを製作することも可能だ。まず、ジャズ、ロック、エレクトリックなどジャンルを選択し、次にそのジャンルで気に入ったスコアを選択する。スコアエディタでBGMを付けるビデオを確認しながら音の厚みやメロディーの出し方などを変化させてシーンにあったBGMを製作することができる。Final Cut Studioに付属するSoundtrack Proほど多彩なことはできないが、もっと手軽にBGMを作りたい場合には重宝するだろう。

Soundboothには各種エフェクターが搭載されているが、最終仕上げ用のマスタリングエフェクトが非常に使い勝手がよい。音質の補正からダイナミクスの補正までを1つのエフェクトで行うことが可能だ

オートコンポーザによるBGMの製作。ビデオのカットを確認しながらスコア上の要素をキーフレームコントロールすることで「最初はリズムのみ→あるポイントから盛り上がる→あるポイントからメロディー入る」というように自動的にBGMを製作することができる