MySQLのコミュニティは世界で1,100万人と言われる。そのような巨大なコミュニティと良好な関係を築くにはどのような活動が必要になるのか。MySQL VP Community RelationsのKaj Arno氏に話を聞いた。
コミュニティはピラミッド型 - 上層は開発者や貢献者、下層は幅広いユーザ
MySQL VP Community RelationsのKaj Arno氏 |
Kaj Arno氏はコミュニティとのやりとりを担当している総括役だ。広くMySQLを使っているコミュイティに対するサポートを担当している。
同氏によると、MySQLのコミュニティはピラミッドのような層を形成しているという。ユーザ側を下層、開発や積極的な貢献者側を上層とすると、下層は広く大きく、上の層は狭く小さいというピラミッド型になるそうだ。
上層には技術に詳しい人が多く、MySQLの機能的な方向性にも関与している。そういった上層のユーザに対しては、MySQLから直接アクセスして話を進めることも多いそうだ。
一方、下層の人々とのやりとりは、Web上でのドキュメントやプロダクト提供が中心となる。MySQLでは「安定性」「パフォーマンス」「使いやすさ」を3大価値としており、下層のユーザに対してこれらの価値を常に確実に提供していくことに注力しているという。
上層コミュニティはドキュメントや品質向上活動で貢献
上層の人々はユーザであると同時に、開発者や教育者といった役割を担っている人が多いという。ドキュメントの作成をはじめ、ブログ、フォーラム、Webエントリ、メーリングリスト、質問への回答などにより、他のユーザをサポートしているほか、書籍や記事なども執筆する。MySQLの会議にも参画してもうこともあるそうだ。
こうした活動は多くの国や地域でそれぞれの言語で行われている。当然、日本もそのひとつなわけだ。ユーザグループがメーリングリストで活動したり、実際にミーティングを開催していることもある。MySQLではネイティブな言語でこうした活動を進めてほしいと考えており、少ないながらもMySQLからの支援も行っているという。
コミュニティからの貢献形態にはさまざまな種類があるが、最も歴史が長いのは品質保証/改善だ。特にバグの発見に関しては貢献度が高い。社内では用意できないようなプラットフォームで実際に運用され、多くのバグが発見される。こうした取り組みによって品質改善が進められている。
今年の頭ごろからは組織的に新しい品質管理の取り組みを開始しており、品質向上に貢献したユーザにはポイント制での還元活動を実施している。ポイントは最終的にMySQLのサブスクリプションに変換される。日本にも貢献者がおり、特に2名注目すべき貢献をしている人物がいるという。ほかにもドイツ、スウェーデン、米国、中国など、多くの国や地域で同様の貢献が行われている。
トップの貢献者に対しては、MySQLに招聘して内部開発者ミーティングに参加してもらっている。近々ドイツで開催されるミーティングでは、外部から招聘した開発者に2日間参加してもらうそうだ。