23日、アドビが放つ次世代のRIAプラットフォーム「Apollo」に関する技術セミナー「Apollo mini Camp@Tokyo」が開催された。このセミナーでは、米Adobe SystemsからApolloの開発に携わる技術者を招致。Apolloのコンセプトや機能概要、基本的なコーディング方法、今後の予定などが明かされた。質疑応答でも活発に発言が行われ、わずか2時間足らずであったがApolloの盛り上がりを顕著に示すイベントになった。本レポートでは、同イベントの概要と雰囲気をお伝えしたい。

Apolloはまだα版が出たばかりの開発途上の技術である。しかし、その認知度/期待度は非常に高く、今回のイベントも限られた範囲での告知しか行っていなかったにもかかわらず、参加登録サイトのオープン後、約6時間で定員に達したという。しかも、この「Apollo mini Camp@Tokyo」は当初、「Apolloエンジニアを呼んで勉強会をできれば面白いだろう」という軽い思いつきから始まったものだったが、開発者の期待があまりにも大きかったために予定を変更して規模を拡大したというのだから、参加者たちのテンションは推して知るべし、だ。

Mike Chambers氏

今回のイベントに招かれたのは、米国Adobe Systems シニア プロダクトマネージャーのMike Chambers氏とApollo エバンジェリストのDaniel Dura氏。まずは、Mike Chambers氏が登壇し、Apolloの説明とデモンストレーションを行った。

同氏によるとApolloのコンセプトは「Webアプリケーションをデスクトップに持ってくる」になる。すなわち、Webアプリケーションのオンラインならではの利便性と高い生産性をデスクトップアプリケーションの開発においても実現できるようにするということだ。開発に必要なスキルはHTMLやJavaScript、FlashといったWeb開発技術。そういう意味では、Apolloの対抗技術とされるWPF(Windows Presentation Foundation:MicrosoftによるUI開発フレームワーク)とは「必要とされる技術スキルが全く異なるため、競合しないと考えている」(Chambers氏)という。ちなみにSilverlightについては、「ApolloではなくFlashと競合する技術」と説明している。

もちろん、Apolloは、単なる"オフラインでも動作するWebアプリ"というものではない。近年はWeb上のサービスを組み合わせる「マッシュアップ」が盛んだが、Apolloを利用すれば、そうしたWeb上のサービスにローカルマシン上のデータをマッシュアップすることも可能になるという。

finetuneが提供するApolloベースのデスクトップアプリケーション

Chambers氏は、こうしたコンセプトを具現化したアプリケーションとして、音楽配信サイト「finetune」をデスクトップ上で利用できる「Finetune Desktop」を紹介した。

このアプリケーションは、Webアプリケーションであるfinetuneのコードを有効活用して作られている。注目は、ローカルのiTunesライブラリを認識できる点。こうした「Apolloならでは」の利便性は具体的に目に見えるものだけに、かなりの訴求力を感じる。

Chambers氏のデモンストレーションは、Adobe labsで公開されているサンプルを中心としたものであった。それらをローカルで動かした際のスクリーンショットを以下に掲載する。いずれもApolloの持つ可能性を如実に示すものばかりだ。

ローカルに保存されたvCardから抜き出した所在地情報をGoogle Mapsで表示できる「Maptacular」

ロードしたWebページの各種情報(HTMLソース、DOM、JavaScriptオブジェクトなど)を表示し、編集できる「Scout」

Chambers氏のセッションでは、最後にApolloのロードマップが示された。

Apolloのロードマップ

それによると、β版がリリースされるのは今年夏、バージョン1.0が登場するのは今年の秋から冬にかけて。ランタイムにローカライズを施すなどの改善を行ったバージョン1.xが登場するのは2008年初頭だとのことである。