現状、自ら活動休止を選んだ大野智を除く4人は順風満帆そのもの。嵐の活動休止前よりも精力的であり、彼らを起用する側との相思相愛ぶりがうかがえる。だからこそラストツアーの日程調整は難しかったことが推察されるし、逆に言えば連ドラ主演のオファーを受けられるタイミングが今夏にそろったのだろう。

嵐の彼らにとっては活動終了後のソロ活動に弾みをつけるような主演そろい踏みであり、各局の制作サイドにとっても話題性は十分。現在、櫻井(43歳)、相葉(42歳)、二宮(41歳)、松本(41歳)と全員が40代前半であり、連ドラの男性俳優主演としては脂の乗った年齢と言える。特に「21時台の連ドラは22時台よりもコア層(主に13~49歳)の個人視聴率獲得が難しい」と言われるだけに、幅広い年齢層からの知名度を持つ嵐はトップリストに記載される。

一方、飛ぶ鳥を落とす勢いのSnow ManやSixTONESら若手グループは、固定ファン層からの強烈な支持を得ている一方で、幅広い世代からの知名度や信頼感は発展途上。「21時台のドラマ主演にはまだ早い」「無理にリスクを背負わせる必然性はない」とみられている。二宮と松本は独立し、櫻井、相葉、二宮の3人は結婚して父親となるなど、アイドルとしてのイメージは薄れつつあるが、「若手グループが育つまで先輩の嵐に頼る」ことは制作サイドとして当然の選択なのだろう。

夏ドラマでの主演そろい踏みが終わる9月末、おそらくラストツアーまでの残り期間が半年間を切り、嵐を求める声がより増えていくのではないか。この間、ツアーの詳細が明かされ、チケット争奪戦はもちろん宿泊の予約なども含め、ネットニュースやコメントの数は増えていくはずだ。

“同志”であり“ライバル”の関係性へ

はたして『NHK紅白歌合戦』を筆頭にテレビ番組への出演はあるのか。「音楽番組だけ」「冠番組の一夜限定復活だけ」などの可能性も含め、ネット上を賑わせるだろう。なかでもツアーチケットが取れなかった人は、少しでも嵐の存在を感じるために「せめてテレビで見たい」という声をあげるのではないか。

一方、嵐の5人はラストツアーや活動終了の発表をファンクラブサイトで行い、「解散」という言葉を避けるなど、とことんファン優先の姿勢を貫いてきた。彼らは「ずっと待っていてくれた人の気持ちに応えたい」という気持ちが強いだけに、ファンを中心に世間の機運が高まればその可能性はまだ残されているのかもしれない。各局のテレビマンにとって腕の見せどころであることは確かだ。

さらに来年春、「嵐の5人がどのようにグループ活動を締めくくるか」も注目されるだろう。ファンに対してはもちろん世間に向けてどんな姿を見せ、どんなメッセージを送り、どんな去り方をするのか。

その意味で夏ドラマでのそろい踏みは、そんな締めくくりの一部になるのかもしれない。単に「ラストツアーに向けたスケジュール的なタイミングの一致」というだけでなく、「もしアイドル・嵐のメンバーとして最後のドラマ主演」だとしたら、活動終了に向けたこれまでとは異なる俳優像を見せてくれるのではないか。

夏ドラマにおける彼らは、嵐というグループのすごさをあらためて証明する“同志”であるとともに、同じクールである以上、互いの存在が“ライバル”ともなるのだろう。また、その「同志でありライバルでもある」は活動終了後の関係性とも言えそうだ。だからこそ、これまで以上に気合いを入れて役作りに励む彼らの奮闘に期待したい。