世界中がiPhone 5の発売で盛り上がっている中、別の「5」の付く製品が熱い戦いを繰り広げている。5インチクラスのディスプレイを搭載した「ノート」カテゴリのスマートフォンだ。SamsungがGALAXY Noteで先鞭をつけた5インチノート市場、今アジアで熱い戦いが始まっている。

GALAXY Note IIで独走を図るSamsung

スマートフォンとしては大型の5.3インチディスプレイを備え、またワコムの技術を利用した専用スタイラスペンを採用したSamsungのGALAXY Note。新しいコンセプトの製品として1年前の2011年8月に発表されたものの、当時はそのサイズなどからニッチ向けの製品という印象を受けたものだ。だが蓋を開けてみれば毎月100万台を売るヒット商品となっており、2012年8月には累計販売台数が1000万台に到達している。

5.3インチというサイズは携帯電話としては大きめだろう。だが通話よりもWEBサービスや動画の利用が多いのであれば、4インチ台のサイズでは若干物足りないかもしれない。また欧米では電子書籍端末としてAmazonのKindleなど7インチクラスのタブレットの売れ行きも好調だが、電話として使うには大きすぎる。5.3インチのGALAXY Noteは「スマートフォン以上タブレット以下」というこれまでには無かった絶妙なサイズが受けているのだろう。その人気は欧米だけでなく、アジア各国など世界中に広がっている。

GALAXY Noteは中国でも事業者の一押し製品だ

欧米でも売り上げは好調だ

そのSamsungはGALAXY Note発表から1年後となる2012年8月、後継機種であるGALAXY Note IIを発表した。初代からの変更点としては5.5インチと画面サイズのさらなる大型化やクアッドコアCPU搭載による高速化などがあげられるが、最大の特徴は専用のスタイラスペン「S Pen」の機能向上だ。太く握りやすくなった新型S Penは、大きな画面上でメモを取ったりスクリーンキャプチャを撮るときにより使いやすくなった。またディスプレイに触れずともメールの内容などを画面上に表示できる。そしてペンの筆圧感度はこれまでの256段階から1024段階と大幅に向上。本格的なスケッチなどプロユースにも対応している。

大画面化とペンの操作性を上げたGALAXY Note II

S Penは持ちやすいサイズになりディスプレイ側の反応も向上

GALAXY Note IIは5.5インチという他社を引き離す大画面化とより自然な操作が可能になったS Penにより、新しいスマートフォンの使い方を消費者に提供、初代同様人気製品となるだろう。だが市場の状況は1年前とは大きく変わっており、他社からも多数のライバル商品が登場している。果たして5インチ市場を制するのはどの製品・メーカーなのだろうか?

シャープも参入、アジアでも続々登場

GALAXY Noteの最大のライバルと見られていたのがLGのOptimus Vuだ。2012年3月に韓国で発売されたこの製品は電子書籍の閲覧にも適した4:3のアスペクト比を持つ5インチディスプレイを搭載。ワンタッチで手書きメモが取れるなどGALAXY Noteも意識している。だが韓国外での展開は進んでおらず、ようやく8月に日本向けモデルを投入するなどGALAXY Noteの対抗馬にはなりきれていない。その韓国ではPantechが5インチスマートフォンを昨年から投入しており、初代GALAXY Noteに先駆けてVega No5を、2012年にはVega S5、Vega R3と立て続けに大画面モデルを発売している。Panechも5インチ製品は「タブレットスマートフォン」と呼んでおり、GALAXY Noteと真っ向から対抗する製品と位置づけている。5インチ製品の人気が高い韓国ではPantechのシェアがこの1年で急上昇中だ。

韓国で先行発売されたOptimus Vu。国際展開は遅れている

韓国で5インチ製品を続々投入するPantech

一方中国でも5インチ製品が続々と登場。LenovoやCoolpadといった大手メーカーのみならず、Gieneeなどの中小メーカーも他社との差別化を図り5インチクラスのスマートフォンを投入している。未認可携帯電話、いわゆる「山寨機」(さんさいき)もGALAXY Noteのコピー品や類似品が多数出ており、中国では今やちょっとした5インチスマートフォンブームが起きているのだ。最近スマートフォン市場に参入を始めた弱小メーカーもいきなり5インチクラスの製品を出すなど、大画面スマートフォンが続々と市場に出回り始めている。

そして日本のシャープも中国や香港、台湾などで5インチスマートフォンを発売している。シャープはスマートフォン向けに5インチのフルHDディスプレイを開発していると伝えられているが、発売中の「SH530U」はMedia Tekプラットフォームを利用したおそらくOEM/ODM製品。価格は3万円以下と安く抑えられている。海外展開が思うように捗らないシャープとしては、巨大市場・中国で今最も受ける製品を投入することでプレゼンスを高めたいのだろう。

中国でLenovoが販売するK860。5インチ+クアッドコアCPU

日本のシャープも中国語圏で5インチ市場に参入している

各社のスペックを比較するとGALAXY Note IIが一歩リードしている格好だが、今後続々と他社からも同クラスの製品が登場すれば、Samsungとしてもうかうかしていられない状況になるだろう。特に特にスマートフォン利用者が急上昇中の中国では消費者にとって最大の関心は端末価格であり、コストパフォーマンスに優れた製品に人気が流れる動きも見えている。SONYやHTCなど大手メーカーが5インチ市場へ参入を図るかどうかも興味深いところだ。5インチスマートフォン市場はこれからも着々と市場規模を広げていくだろう。