「電話応対は苦手……」そう感じている新社会人や就活生は多いのではないでしょうか?近年、SNSやチャットツールが普及し、電話を使う機会が減っているため、苦手意識を感じるのは当然かもしれません。しかし、ビジネスシーンにおいて電話はまだまだ重要なコミュニケーションツールです。
本連載では、電話への抵抗感をなくし、社会人の基礎スキルを磨く機会となるような電話応対のコツやテクニックを紹介します。
今回は、前回解説した3つの基本的なステップから、ヒアリングとクロージングについて、より具体的に紹介します。
ヒアリングとは、単に情報を集める作業ではありません。顧客自身が“課題やニーズに気づく”手助けをすることが真の目的です。 例えば「課題は何ですか?」といきなり聞いても、多くのお客様は答えられません。そこで大切なのが、答えやすい順番で質問を組み立てることです。
質問の順序は「現在 → 過去 → 未来」答えやすい内容から質問する
ヒアリングを行う際は相手が答えやすい内容から質問を始めましょう。
まずは今の状況(現在)を聞き、次にこれまでの経緯(過去)に遡り、最後に今後どうしたいか(未来)を尋ねます。
順序を工夫することで、お客様は安心して話せるようになり、より本質的なニーズや悩みが見えてきます。
顧客から出てきた課題に対し、自社商品やサービスで、どのように解決できるのかを提案することで相手に興味を持ってもらえます。
深堀質問で本質を探る、展開質問でニーズを広げる
ヒアリング力を高めるために使いたいのが、以下の2種類の質問法です。
深掘り質問とは、相手が言ったことに対してさらに詳しく聞き、真の課題を明らかにする方法です。例えば、「具体的に言うと、どんなことですか?」、「それは、どうしてそうなったんですか?」といった質問をすることで、相手の考えや課題をより明確に引き出せます。
一方で展開質問は、相手の視野を広げ、新しい視点を提供するための質問です。例えば、「他に何かありませんか?」「〇〇の視点から見たら、どう思いますか?」といった形で、相手がまだ考えていないことや見逃していることに気づかせるような質問をすることが目的です。
この二つの質問方法をバランスよく使い分けることで、顧客理解の解像度が一段と高まります。
拡大質問で顧客の考えを広げる、限定質問で素早く確認する
拡大質問は、「このサービスの資料をご請求頂いたときに特に気に入ったポイントはどこですか?」「どういった点に魅力を感じて頂きましたか?」といった質問で、顧客が自由に考えを広げて答えられ、潜在的なニーズや背景、目標を引き出すときに役立つ質問です。
一方、限定質問は、YesかNo、もしくは数字で答えるような回答がある程度限定される質問です。限られた時間の中で素早く確認したいときや、顧客がこれまでに言った内容を確認するときに使うと効果的です。例えば、「競合他社の商品と比べて、操作性は優れていると思いますか?」「このサービスが御社の課題を解決するのに役立つと思いますか?」といった質問です。
拡大質問と限定質問は、顧客がどのように答えるかを考えながら、どちらを使うか決めていきましょう。