スクリプトに頼らない自然な会話術
電話をする際、トークスクリプトを準備する企業もあるかもしれません。トークスクリプトがあることで顧客に伝える情報の一貫性を保つことができ、誤った情報伝達やクレーム発生のリスクを低減するメリットがあります。
しかし、顧客からの想定外の質問や反対意見などがあると思わず焦ってしまいますよね。
そのような状況では、無理に説得したり言い返したりするのではなく、相手のニーズを再確認する質問を投げかけ、本当の要望を引き出すことを意識するのが重要です。
相手の意見や感情を受け止めながら、自分の意見を伝える話し方として下記のような「クッション話法」があります。
イエスバット(Yes But)法
「そうですね」と相手を肯定しつつ「しかし」で反対意見を述べ、尊重しながら会話を進めます。イエスアンド(Yes And)法
否定の接続詞を使わず「そして、ちなみに」など、柔らかな印象を与える話し方です。イエスイフ(Yes If)法
「もし、〇〇の場合ならどうか?」と条件を提示し、再検討を促します。イエスハウ(Yes How)法
「どのような〜?」と希望を尋ね、納得できる条件を聞き出す方法です。イエスワット(Yes What)法
「購入に迷われる不満な点は何ですか?」と深掘り質問し、具体的な要望を把握します。イエスソーザット(Yes So That)法
「だからこそ〇〇なんです」と自分の意見に引き込み、顧客の背中を押してクロージングに進めるための方法です。
好印象を与えるクロージング
クロージングは、商談等のアポイントメントの取得や次回のアクションの確認など、次のステップに進むための合意を得る会話のまとめ役を担います。
クロージングのステップ
STEP1:ニーズの確認と共感
顧客の課題を理解し、相手の状況に共感しながら自社の関連性を伝えることで、信頼感と親近感を醸成します。
例:「〇〇という課題でお困りなんですね。」「弊社のサービスをお使いの企業様も同じようなお悩みをお持ちでした。」
STEP2:アポイントメント提案
顧客のニーズに合わせた解決策を示し、具体的な商談の機会を提案します。
例:「その解決方法を詳しくお伝えするために、一度直接お話しさせていただけませんか?」「〇日と△日のどちらがご都合よろしいですか?」
STEP3:確認とフォローの告知
アポイントメントが確定したら、今後の流れについて伝えます。
例:「それでは、〇月〇日の△とき改めてご連絡いたします。」「この後、メールに当日のオンラインお打ち合わせのURLをお送りしますので、ご確認下さい。」
STEP4:お礼
時間をいただいたことへの感謝を伝え、丁寧な言葉で会話を終えます。
例:「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。」
電話は短い会話で進むケースが多いですが、だからこそクロージングで顧客に安心感や信頼感を与えることが大切です。
営業は「話す力」よりも「聞く力」で差がつきます。どれだけ相手の話に耳を傾け、丁寧に拾い上げられるかが、営業としての信頼と成果を生み出します。
新人の皆さんにとって、ヒアリングは最初の関門かもしれません。ですが、聞くことの本質と技術を意識して習得すれば、必ず強力な武器になります。
まずは一歩ずつ、基本から、自信を持って、お客様の“声”と向き合っていきましょう。