先日、KDDIのネットワークに大規模な通信障害があったそうだ。

どのぐらい大規模だったかというと、2022年7月2日1時35分に始まり、4日15時に解消されるまで、61時間25分にも及んだらしい。

KDDI以外のキャリアユーザーで高みの見物だったから、そんなに他人事なのかというとそうではなく、むしろ私はau歴20年以上の大ベテランである。

ただ、私はこの通信障害の影響を受ける状況下にいなかったため、実質全く無影響だったのだ。

つまり61時間25分の間、一歩も外に出なかったのである。

私はいつも自分をひきこもりと言っているが、それが決して大袈裟ではないと証明できたという点で、この通信障害は私にとって「むしろプラス」まである。

KDDI回線が通話不能、影響は広範囲に

そもそも私は電話がかかってきても取らないし、メールの返事もなかなか返さないセルフ通信障害なのだが、世の中全ての者が私のように音信不通になっていることにすら気づかれない生活を送っているわけではない。

今回の通信障害で業務上の連絡が滞ってしまった人が多数いるのはもちろん、深刻なところでは、北海道で遭難者が救助を呼ぶことができずLINEでなんとかことなきを得るという事件もあった。本件以外にも救急や通報など、緊急を要する連絡ができなかったケースは多々あったと思われる。

他にも気象庁のアメダスやヤマト運輸など、人々の社会生活に大きな影響を及ぼした。逆に言えば、全く影響を受けていない自分がいかに社会に属していないかを痛感することができた。

通信障害中、KDDIは複数回にわたり状況説明のため記者会見を実施。当座の対策として、auの公衆Wi-Fiを使うようauユーザーにメールを送るも、何せ通話ができない状態ゆえにSMS認証ができず、実質使えなかったようだ。

自宅が燃えているという通報に対し、救急隊員が「救助が来るまで家の中で待機してください」と指示しているようなものだ。現場の焦りも相当だったことがうかがえる。

あまりにも広範囲かつ長時間に及ぶ障害だったため、社会から解脱済みのユーザー以外では怒りをあらわにする人も多かったのだが、総務大臣が一緒になって怒っていたことに関しては「何でお前がこっち側で怒ってるのだ」と総ツッコミが起こっていた。

だが、今思えばこれもコミケで「拙者は東館!お主は西館!」と二手に分かれて任務を遂行するように、国民の怒りを分散させる作戦だったのかもしれない。そうだとしたらなかなかの孔明だ。

そもそも何故この障害が起きたかというと、まず設備交換の際の操作でデータ通信が不通となり、それを解消するや否や再接続が殺到し、通信網が渋滞。その渋滞に対処していたら別のところで渋滞という連鎖が起き、被害が拡大してしまったようである。

私が担当者だったら最初の渋滞を起こした時点で国外逃亡を図り、復旧に28日ぐらいかかる状態にしてしまったかもしれない。

それと比べれば、61時間25分など、刀剣男士が修行から帰ってくる時間よりもはるかに短い。現場が逃げないタイプで良かった。

最大のリスクヘッジは●●しないこと

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昨年(2021年)10月にもNTTドコモで通信障害は発生しており、今回のことで大手キャリアも割と通信障害を起こすということがより明らかになった。

通信障害を起こすキャリア側が悪いにしても、通信手段を一点集中させ、それに障害が起こったら詰む状況で暮らしている我々も油断しすぎと言えるかもしれない。

しかし、どこのキャリアも「家族割」など、一家で契約すると割安になるサービスを設けているため、「拙者はdocomo!お主はau!」などキャリアを手分けしている家庭は稀である。

違うキャリアでスマホを2台持つのが一番早いかもしれないが、不倫をしているならまだしも、通信障害に備えるためだけにそんな持ち方をするのはハードルが高い。

一台のスマホで異なるキャリアの回線を2つ利用する「デュアルSIM」が注目を集めているようだが、結局2つのキャリアで契約しなければいけないので、そう簡単ではない。

停電時の懐中電灯のように、通信障害の時に備えて誰でも手軽に常備できる何かが必要である。

しかし、重ねていうが、これだけ大規模な通信障害下で、auユーザーでありながら、私は全く何の被害も受けなかった。

つまり「社会からセルフ断絶し、家から出ない」というのが最大のリスクヘッジなのである。