アルバイトがバイト先で悪ふざけをして動画をアップする「バイトテロ」が再び相次いだ

SNSでいじめをするなとか、ツイッターで知り合ったイケメンや美少女アイコンは漏れなくおじさんなので、むやみに会いに行ったり、セクシー自撮りを送ったりしてはいけないなど、ネットリテラシーについて教える学校も増えてきていると思う。

だが、それに加えて、ネットに投稿した悪ふざけ一つで他人に大きな損害を与え、自分の人生が詰む可能性があること、そしてネットの匿名性の無意味さ、鍵アカのガバナンスがいかにガバガバナンスかについても詳しく教えた方がいいだろう。

大人ならSNSを使いこなせている…わけがなかった

しかし、大人がSNSの危険性を熟知し、安全に使えているかというとそうでもなく、今日もツイッターを開けば、大の大人が2、3人は自分が燃えるタイプのソロたき火をしている有様である。

さらに、大人の場合「何者でもない無職が一人燃えた」というなら燃え尽きた時点でこの話は終了だが、会社の公式アカウントやプロフィールに「○○の社員」と立場を明記した上で燃えて、会社もろとも灰になるケースもあるので、ある意味学生より性質が悪い。

バイトテロの場合、店はあくまで「被害者」の立場をとれるが、社員テロの場合は、社員一個人の破天荒な意見が会社の総意と思われて、テロリストを雇うなんて御社の管理体制はどうなっているのか、と会社が責任を問われてしまう。

大昔、ある担当が私の公式ツイッターアカウントを作り、作品とは関係ない不確かな情報をつぶやき、それに苦言リプをしてきた読者とケンカをはじめるという、非常にスリリングなことがあった。

読者とぶっちぎりバトルをしているのは担当個人なのだが、そのアカウントが冠しているのは「カレー沢薫」なのである。

今よりツイッターが牧歌的な時代だったため大ごとにはならなかったが、今やったら皆さまが3時間ぐらい暖をとれる火にはなったのではないかと思う。

このように、社員が所属先を明かして燃えると、「山田」とかではなく「○○の社員」として認識されるため、会社のイメージが大きく損なわれてしまうのだ。

誰もがSNSをやっている時代である。「SNS禁止」とまではいかなくても、社則にSNSについての項目を設けるのがマストとなりつつあるような気がする。

だが、まだ徹底できているところは少ないようで、公式アカウントや社員の個人アカウントでの失言が炎上というのは決して珍しいことではない。

転売ヤー擁護ツイートが炎上、その後の展開も話題に

  • プロフィールは盛らないのが安全かも

    プロフィールは盛らないのが安全かも

正直「またか」のレベルになってきているが、最近久しぶりに世間から注目される大炎上が起こった。

プラモ情報などを扱う雑誌「ホビージャパン」の編集者が、自らのツイッターアカウントで、プラモの高額転売について「転売の何が悪いのか、自分が買えなかったのが悔しくて騒いでいるだけだけ」「努力して買った人にマージンを払うのは当たり前」などと、転売ヤーを擁護し、正規で買えなかった人たちを批判する内容のツイートをして、瞬く間に大炎上となった。

このツイートがここまで炎上したのは転売に対する考え方の問題もあるが、何より「敵を守って味方に火炎瓶を投げつける」という、なぜそんなことをしたのか、もはや不可解、ともいえる言動にある。

至る所にはびこっている転売ヤーであるが、プラモ業界に与えている影響は特に甚大なようで、新作プラモは一瞬で売切れ、そして即日大量にメルカリに並ぶ有様で、正規で買うことがほぼ不可能になってきているという。

欲しいプラモが全く買えない、だからといって転売ヤーから買いたくもない、となったら「もうプラモを買うのはやめよう」となっても不思議ではない、そうやってプラモ人口が減れば当然プラモ会社も経営困難になってしまう。

つまり転売ヤーはプラモ業界全体を衰退させる存在なのだ。

「ホビージャパン」もプラモがなくなれば存在できないのはもちろん、雑誌を買ってくれるプラモ愛好者がいなくなれば存続することもできない。

つまり自分たちのライフラインに攻撃を仕掛けるという、重ね重ね不可解な行動である。転売がプラモ業界に与える悪影響がわからなかったなら、それもホビージャパンの編集者として問題がある。

また、この炎上が大きく注目を集めたのは「その後の処遇」のせいもある。

ホビージャパンは炎上後すぐに「件のつぶやき内容はホビージャパンの考えとは全く異なる物である」と釈明と謝罪の文書を公開。追って、当該の編集者を退職処分、つまりクビ、さらにその上司や責任者にも降格などの処分をしたと発表した。

異例とも言える厳しい処遇に「やりすぎ」という声も上がったが、プラモ業界とプラモファンという雑誌にとってなくてはならない両方に牙をむいてしまったからにはお咎めなしというわけにはいかなかったのだろう。

実際、ツイートが炎上してから「購読をやめる」という声が多数上がっており、迅速な対応が必要だったと思われる。

しかし「クビ」というのはそう簡単にできるものでもない。声明には「社内規則に従って処分」と書かれているので、もしかしたらすでにホビージャパンではSNSに関する規約を設けていたのかもしれない。

このように、黙っていれば「個人の一意見」が、プロフィールに所属を書いただけで、会社の看板を背負っての発言になってしまい、最悪職を失うはめになるので、よほどそれ以外にパーソナリティも自我もない、という場合を除いては、個人アカウントに所属など書かない方がいい。

また、どれだけ腹が立つことがあっても「顧客やメインターゲット層」の悪口は、たとえ鍵付き裏アカでもネットに書いてはいけない。

アイドルが自分のファンを「キモイ」と言ったり、服屋が「うちの服を買うのはBB(貧乏ブス)ばかり」、と言ったりするのがバレたらどうなるかぐらいわかるだろう。思っていても「脳内」でとどめ、肉眼で見える形にはしない方がいい。

それを考えると、作家の一番の顧客である読者とケンカしていた担当はやはりどうかしているので、もう10年以上前のことだが、今からでもぶん殴りに行こうかと思う。