「とにかく吉本新喜劇を良くするために」という使命に溢れているという寛平。そのために自ら舞台に立って座員を鼓舞するが、プレイヤーとしては、昔から何一つ変わらないという。
「舞台に上がったらGMとか関係ない。大暴れしてむちゃくちゃやる。アドリブも多い。台本通りなんてほとんどやらん(笑)。その場の感覚でどうやったら面白くなるのか……ただそれだけ」。
寛平に引っ張られるように座員たちが躍動する。その勢いは確実に関西だけではなく、全国に広がりを見せている。企画もどんどんあげて、何でもチャレンジする。そんななか、5月30日にはピン芸人の濱田祐太郎主演の舞台『盲目のお蕎麦剣士が巻き起こす新喜劇』が、なんばグランド花月で開催される。
「濱田くんはR-1グランプリで優勝したときから、うちの嫁が『あの子は頭ええで』と注目していたんです。そうしたらたまたま大阪マラソンで一緒になって。話をしていたら、うち(新喜劇)のレイチェルと仲がええっていうので『飯でもいこう』となって。そのとき嫁が『あんたみたいに頭のええ子、会社は何してんねん。このまま放っておいたらあかん!』って言い出して(笑)。そこで濱田くんと殺陣をやろうということになったんです」。
そこから話が進み、盲目でありながら派手なアクションを行う舞台構成になった。寛平は「目が見えへんということは、セリフを覚えるのも大変。しかも殺陣をやる。映像ではなく舞台なので、カットを割るわけではないので、下手なことをしたら舞台から落ちて怪我をしてしまう。とんでもない努力をしたんです」と濱田の頑張りを称賛し、「舞台で目が見えへんのに殺陣をやるなんて、世界でただ一人ちゃうか?」と奇想天外な舞台になることを強調した。
「吉本新喜劇は大阪、関西の宝や」と語った寛平。だからこそ「もっと全国の人に知ってほしい。子供からおじいちゃん、おばあちゃんまでみんなが笑える新喜劇を作っていきたい」と意気込み、「どんどん若手が出てきて、僕らみたいな古い人間を脅かす存在にならんとあかん。新しい風をどんどん吹かせて、もっと面白いものを作っていきます。まだまだ舞台の上でむちゃくちゃやるで! だから皆さんもぜひ劇場に足を運んで、生の笑いを体験してほしい。絶対に損はさせへんから!」と熱いメッセージを送ってくれた。
1949年7月20日生まれ、高知県宿毛市出身。1970年に吉本新喜劇に入団し研究生となる。1974に吉本新喜劇の座長に昇格。「アヘアヘ」「ア~メ~マ~」「かい~の」などヒットギャグを続々と放ち、関西で絶大な人気を獲得する。1989年に退団し、東京進出。2008年12月~2011年1月、ヨットとマラソンによる地球一周「アースマラソン」を完走。2013年より「淀川寛平マラソン」を開催。2022年2月に吉本新喜劇GMに就任。