レギュラー放送時からの変更点として、MCに次いで分かりやすいのは“声”。今回の出題役は、板東や永井が「森さん!」と呼びかけていた森功至に代わり、日テレの藤田大介アナウンサーが担当した。

藤田アナは自身のX(Twitter)で、本番中は観覧席の最上段に座り、時にMCと会話する特殊なスタイルであることを明かし、「読み間違えられないプレッシャー、力量が試されました」と吐露しているが、“第三の進行役”としてその役割を見事に果たしている。

また、当時から解答者が大幅に入れ替わる中で、名勝負となったのが、「マジカルプッシュ知らなきゃ押しつけろ!!」の丸山桂里奈vs浜口京子。問題を聞いて「分からない」と思ったら相手のボタンを押し、相手に答えさせることができるというルールだ。

かつては対決する解答者同士が向き合っていたが、今回は並列で早押しを構えているため、日本が誇るアスリート出身天然タレントの2大巨頭が、テレビなんてお構いなしに取っ組み合いながら、我々の想像のはるか上を行く爆笑解答を次々にぶっ放していく。

番組では、ほかのクイズや解答者からも、思わぬ爆笑解答が随所に登場。あまりに笑いすぎて、MC卓の後ろにしゃがんで見えなくなってしまう永井のリアクションも健在だ。

  • 「マジカルプッシュ知らなきゃ押しつけろ!!」で対決する丸山桂里奈(左)と浜口京子 (C)日テレ

総合演出・五味一男氏が狙う「極端」

こうした様々な変化がある一方、テロップのテイストや番組のテンポが大きく変わっていないにもかかわらず、全く古臭さを感じない。それは、“分かりやすさ”を徹底的に追求した演出が、現在のテレビ制作の礎となるターニングポイントであったことを裏付けている。

元フジテレビの小松純也氏は、マイナビニュースの取材に、「『マジカル頭脳パワー!!』を見ると、画面上、分からないものが何一つあってはならないという追い込まれ方をされてたんだと思うんです。そのおかげで、テレビマンは(編集作業が増えて)大変になりましたから」と業界への影響を証言している。

このスタイルを生み出したのは、総合演出の五味一男氏。同氏はマイナビニュースの取材に、「とにかく僕は“極端”って言葉が大好きで、極端に小学1年生でも分かりやすい番組を作ろうと言って、ゲームのようにスピード感があるものにした。賛否両論はあるんですけど、やっぱり徹底的に極端なものを作りたかったんです」と語っている。今回の復活版でも五味氏が総合演出を務めており、そのクオリティが担保されているのだ。

代わる代わるクイズが展開されていく中、それぞれにルール説明の時間はほとんど設けられていない。にもかかわらず、初見のクイズでもすぐ理解して楽しめることに、“分かりやすさ”追求の真髄を感じた。

さらなる名クイズの復活に期待

今回登場するクイズは、「マジカルシャウト」「超瞬間お手上げクイズ」「逆から早撃ちクイズ」「マジカルプッシュ 知らなきゃ押しつけろ!!」「マジカルアート伝言バトル」「マジカルアクション伝言バトル」「マジカルインスピレーション」「マジカルものまねワンダーランド」「エラーを探せ」といったラインナップ。

9年間の放送で生み出された252種類の中から選りすぐりであることに間違いないが、日本中にブームを巻き起こした「マジカルバナナ」に、初期の名物コーナー「あるなしクイズ」、所が前述の伝説解答を見せた「マジカルコインいち文字クイズ」など、まだまだ見たい名クイズ・ゲームを挙げることができる。

この記事を読みながら、ヘッドホンで他者の解答が聞こえず、正解すると“檻(おり)”から脱出する早抜けや、「ナイショ」テロップ&効果音が脳内再生された人もいるのではないか。今回のエンディングで、MCの山里は「また次回お会いしましょう!」と締めているので、その言葉を信じてさらなる復活を期待することにしよう。

  • 「マジカルプッシュ知らなきゃ押しつけろ!!」で対決する丸山桂里奈(左)と浜口京子 (C)日テレ