2番目に注目されたのは20時42~43分で、注目度71.5%。蔦重が唐丸(渡邉斗翔)の生存を確信するシーンと次回予告だ。

蔦重はふじ(飯島直子)とともに、他所の版元が出した本の出来栄えを調査していた。「これ、絵は重政先生かい?」ふじは西村屋の本の挿絵を見ていた。蔦重も一見、北尾重政の絵かと思ったが、絵師の名は北川豊章と記されている。しかも、他の豊章の絵には勝川春章や磯田湖龍斎の絵に似せて書いた物があった。

それらを見た蔦重は、5年前の唐丸とのやり取りを思い出した。蔦重は唐丸に、謎の絵師として同じ花魁を重政や湖龍斎など当代一流の人気絵師風に次々に描いてみてはどうだと話したのだ。蔦重は唐丸が生きて豊章と名乗り、かつての蔦重が提案した通りに錦絵を描いているのだと確信した。

続く次回予告では、唐丸と明和の大火や鳥山石燕(片岡鶴太郎)との関係など、唐丸の秘められた過去がようやく判明することが期待されるシーンが公開された。

  • (C)NHK

唐丸は歌麿か、写楽か、北斎か

このシーンは、消息不明だった唐丸の生存の可能性に、視聴者の関心が集まったと考えられる。

唐丸が蔦重の前から姿を消してはや5年。蔦重は唐丸は生きていると信じているが、いね(水野美紀)は「生きてるわけないだろ!」と現実的。唐丸を強請(ゆす)っていた向こう傷の男(高木勝也)が水死体で発見されているので、いねの意見はもっともかも知れない。しかし蔦重は、北川豊章の絵を唐丸の筆によるものと確信している。

SNSでは、「ついに唐丸ちゃんがカムバックするの!?」「唐丸くん、あなた歌麿なの? 写楽じゃなくって?」「北川豊章の変幻自在な画風を見て唐丸かと気づけるのは蔦重だけだね」と、唐丸の生存をほのめかす展開に大いに盛り上がった。

唐丸の正体についてはこれまで、喜多川歌麿や東洲斎写楽、葛飾北斎などが予想されていた(※公式ではネタバレされている)。歌麿は1753(宝暦3)年の生まれで蔦重とは3歳しか変わらないので年齢が合わないと推察する意見も多かったが、歌麿の生年は1806(文化3)年に54歳で亡くなったという没年から逆算されたもの。生年だけでなく出身地なども不明なので、蔦重との年齢差が3歳よりもっと離れていた可能性は十分にある。

蔦重が豊章を知るきっかけになった本の作者である松泉堂は作中では、西村屋与八(西村まさ彦)が使っていた号だったが、史実では二代目西村屋与八となっている。西村屋に婿養子で入った鱗形屋孫兵衛の二男・万次郎(野林万稔)。二代目は松泉堂以外にも山巴亭青江、栄寿斎の号を使い戯作を送り出している。吉原で育った少年が長じてスゴ腕の絵師となり、蔦重のプロデュースによって鮮烈なデビューを飾る、というサクセスストーリーを視聴者は期待しているのか、唐丸のエピソードを含んだ予告も高い注目度を獲得している。生い立ちなど謎の多い唐丸だが、次回でいよいよ明らかになるのだろうか。