昨年芸歴50周年を迎えた女優の浅野ゆう子。近年は舞台にも精力的に出演するなど、64歳の今もパワフルに活動しており、5月5日にスタートするNHKの夜ドラ『ワタシってサバサバしてるから2』(NHK総合 毎週月~木曜 22:45~23:00)ではカリスマ婚活コンシェルジュ・東堂百合子役を熱演している。浅野にインタビューし、これまでのキャリアを振り返りつつ、今の仕事に対する思いを聞いた。

  • 浅野ゆう子

    浅野ゆう子 撮影:仲西マティアス

浅野は「あっという間に50年経ったんだなと感慨深いものがありました」と述べ、「好きだからこそ続けてこられました」としみじみと語る。

母親が芸能界に進ませたいと願っていた影響もあり、小さい頃から芸能界に進むことを意識していた浅野。中学生で歌手デビューした当初、「ただただ憧れで始めた世界。でも実際に入ってみて芸能界は厳しい世界なんだなと14歳で感じました」と厳しさを知るも、「割と楽天的なので、いつかいいお仕事ができるのかなと思っていました」と前向きだった。

歌と芝居の両方で活動していたが、年齢を重ねていくうちに「私は歌よりも芝居を演じる方が好きだし向いているのではないか」と気づき、25歳のときに事務所と相談した上で芝居に専念することを決意した。

「芝居1本でやっていきたいと心に決めてから、3年ぐらいして出会ったのがトレンディドラマでした。その後、30歳過ぎて『藏』という映画のお話をいただき、40代になってから『大奥』に出演させていただき、年齢とともにいろいろなきっかけとなる作品を頂戴していて、そのたびに幸せな人生を歩んでいるなという気持ちになります」

女優業において一番やりがいを感じる瞬間は、キャスト・スタッフ全員で作品を作り上げ、完成して喜びを分かち合うときだという。

「いろいろな方とセリフのやり取りをしたり、演出家の方のご指導をいただいたりしながら作品を作り上げていくのですが、出来上がって『楽しかったね』とみんなで話しているときが一番楽しいです」

そして、「いただいた役を精一杯演じることが、お声をかけていただいたお返しだと思っています」と述べ、年齢を重ねてより一つ一つの作品や役への思いが強まっていると明かす。

「50代を迎えたあたりから一作一作が本当に大切なものだとすごく感じるようになりました。人生の後半に入っていますし、いつ何が起きても不思議ではない時代ですし。刹那的に『これが最後かもしれない』という考え方はしませんが、1本1本を大切に演じていくことが自分の人生の幸せなのだと考えるようになりました」

そんな思いで『ワタシってサバサバしてるから2』も大切に演じたという。本作は、2023年に同名の大ヒットコミックを初ドラマ化した『ワタシってサバサバしてるから』(通称“ワタサバ”)の続編。丸山礼が再び“自称サバサバ女”の主人公・網浜奈美を演じ、私立の有名進学高校の教師となって大暴れ。さらに、有名婚活コンシェルジュの相談所の門をたたき、婚活パーティーでも騒動を巻き起こす。

「もともと原作を読んでいた作品にオファーをいただけて、漫画原作の作品が非常に多い今の時代ならではのお仕事ができるということはすごくうれしいですし、自分が『面白い』と思っていた作品に声をかけていただき、本当に幸せな仕事をさせていただいているなと改めて感じました」