アンパンマンを生み出した漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さんをモデルにした連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)が放送中のいま、やなせさんの出身地で、かつロケ地でもある高知県では、同作を盛り上げるべく、さまざまなキャンペーンを実施中だ。そんな地元の盛り上がりぶりについて、高知県観光政策課の西森大祐氏に話を聞いた。

  • 「ひろめ市場」で「朝田パン」のセットを再現 “のぶ”今田美桜と“嵩”北村匠海のパネルも

112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、やなせさんと暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶを今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じている。

西森氏は『あんぱん』について「最初に驚いたのは、高知県での視聴率です」と語るが、3月31日の初回放送は、県内世帯の総合視聴率が驚異の41.6%(ビデオリサーチ調べ)を記録したことは記憶に新しいところだ。この数字は、放送と同時に見るリアルタイム視聴率の26.2%、録画などで時間をずらしてみるタイムシフト視聴率の18.4%を合計したものから重複分を差し引いた数字だが、関東の22.6%、関西の21.3%と比べても圧倒的な数字を誇る。

そんな注目度の高さを見せつけた『あんぱん』だが、放送が始まると、レビューでも軒並み高評価となり、それを受けてか観光地としての高知にも今、スポットが当たっている。西森氏も観光客の伸び率については、手応えを感じているそうだ。実際に今年のゴールデンウィークに関して、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が扱う旅行予約者のうち、高知県を行き先に選んだ人が前年の2倍となり、国内での伸び率としては現在「EXPO 2025 大阪・関西万博」が開催されている2位の大阪を上回り、最大の数字となったそうだ。

ちなみに、植物学者・牧野富太郎博士をモデルにした『らんまん』で取材した時も、高知県立牧野植物園の動員数が対前年比245%、地元の佐川町の観光客に至っては対前年比506%と聞いて、すさまじい朝ドラの経済効果に驚いたが、今回はやなせさんが描いた子供たちのヒーロー「アンパンマン」も絡んでくるということで、ファミリー層の集客もさらに多くなりそうだ。

『あんぱん』について地元ならではの評判を聞くと、西森氏は「出演者の方々の土佐弁が、県内の人が聞いても違和感なくすっと聞けるところもいいですね。いろいろな土佐弁が出てくるのも楽しいです」とコメント。驚きや嘆きの気持ちを強調する感嘆詞「たまるかー!」はすでにネット上でも話題を呼んでおり、今年の流行語に絡んでくる可能性も。

実際に、町中を歩いてみると、商店街には『あんぱん』のキービジュアルの看板やポスターがあちこちに掲げられている。また、鮮魚店や精肉店、雑貨、洋服屋、飲食店など、個性的な店舗が集まっている「ひろめ市場」では、『あんぱん』のヒロイン・のぶの実家が営む「朝田パン」のセットを再現。のぶ役・今田と嵩役・北村のパネルも展示され、人気フォトスポットとして連日賑わっている。