アドビは9月14日、AIおよび3Dの新機能を搭載した「Adobe Premiere Pro(ベータ版)」と「Adobe After Effects(ベータ版)」の最新バージョンを発表した。同日より提供開始する。
アドビが今回リリースしたのは、Adobe Premiere Pro、Adobe After Effects、Frame.ioそれぞれのベータ版。AI搭載の新機能によって時間のかかる作業を自動化し、映像編集者やモーションデザイナーが想像力そのままのスピードでアイデアを具現化することが可能になったほか、ユーザーから要望の多かったワークフローの強化が施され、生産性が向上した。
「Adobe Premiere Pro(ベータ版)」には、音声の会話部分のノイズをAIで消し去り、録音状態が悪い会話の音質をプロスタジオで録音されたかのように向上させる「スピーチを強調」機能や、AIを使ってクリップを「会話」「ミュージック」「効果音」「環境音」に分類する「オーディオタイプの自動タグ付け」機能を搭載した。
また、文字起こしベースの編集に、会話に含まれる「あの」や「えーと」を自動的に識別する「フィラーワードの検出」機能を追加。無音の「間」やその他の不要な言葉を一括処理によりすばやく削除できる。
さらに、より一貫性のあるカラーアウトプットのための自動トーンマッピングが改良され、新たに3つのトーンマッピング手法が追加されたほか、Lumetriカラーパネル上のUI再編成、LUTの管理と再リンク強化などがなされている。そのほか、タイムラインの応答速度が5倍になり、より高速な編集が可能になったのに加え、互換性のないプラグインを検索してシステムパフォーマンスを最適化する「エフェクトマネージャー」などの新しいツールを追加した。
「Adobe After Effects(ベータ版)」では真の3Dワークスペースを導入し、コンポジションに3Dモデルをネイティブに読み込み、統合された空間上で操作しながら奥行きと深みを加えることが可能となった。イメージベースドライトを使い、任意の画像を環境光に設定し、補完的なライティングやシャドウを設定すれば、モデルをシーンにリアルに配置できる。
また、3Dレンダラーの搭載により、アンチエイリアスと透明度を併せもつ3Dモーショングラフィックスを高速に生成可能。さらに、コンポジションに2Dと3Dを合成するユニークな方法を追加。ディスプレイスメントマップ、Vector Blur、計算エフェクトなど別のレイヤーを参照するエフェクトを使えば、3Dモデルレイヤーをソースとして特有のスタイルを適用したレンダリングを作成できる。
さらに、ロトブラシツールに新しいAIモデルを搭載。手足や毛髪の重なりや透明度のあるエレメントなど、切り抜きが難しいオブジェクトも背景から簡単に分離できるようになった。
「Frame.io」は、すでに所有しているストレージの活用により、コストを削減しながらコラボレーションを活性化させる「Frame.io Storage Connect」を搭載し、Frame.ioシステムから軽量なプロキシを経由してAWS S3ストレージに直接アクセスすることが可能となる。Frame.ioエンタープライズ版のユーザー向けに今年後半に提供予定。
また、レビューおよび承認ツールを一新し、「比較ビューア」(comparison viewer)を使って動画、オーディオ、写真、デザインファイル、PDFアセットを並べて表示可能となった。Frame.ioとCreative Cloudのすべてのユーザーは、同じタイプのアセットを2つ並べて比較しながらコメントや注釈を追加することが可能。さらに、制作現場からのクラウド接続をFrame.ioとCreative Cloudのユーザーに提供する「Camera to Cloud」に新たにAtomosの新製品Ninja/Ninja UltraやSeeMo/SeeMo Proなどが追加された。
これらの機能はすべて9月14日からベータ版として提供し、今秋以降に一般提供を開始する予定だという。ベータ版アプリへのアクセス方法については、Adobe Premiere Pro(ベータ版)およびAdobe After Effects(ベータ版)のページに詳しい。