プロeスポーツチーム「REJECT」は、9月16日に「REJECT GAMING BASE内覧会・事業戦略発表」を行いました。
REJECTは『PUBG MOBILE』や『RainbowSixSiege』などの部門を有するeスポーツチーム。NTTドコモが運営するeスポーツイベント「X-MOMENT」では、数少ない独立系チーム(大手資本が運営していないチーム)として注目されており、『PUBG MOBILE』のリーグ戦「PUBG MOBILE JAPAN League(PMJL)」のSEASON1 Phase1では2位以下に圧倒的な差を付け、首位を獲得しています。
また、REJECTは、選手の育成にメンタルトレーニングを導入するなど、革新的な施策も展開。今回の発表でもさまざまな新機軸を打ち出しました。
まず、新オフィスの発表です。オフィスを地上3階地下1階のビル1棟に移転し、ゲーミングルーム、スタッフルーム、コミュニケーションルーム、キッチンスペースを集約しました。
地下1階には、完全防音のゲーミングルームを3部屋用意。各部門の選手が練習する場として準備されています。通信回線も、銀行ATMなどで使用される強固で安定性のある特別なものを採用しました。回線の不具合で選手の練習の妨げにならないようにしています。
1階には、90インチの大型モニターを設置したコミュニケーションルームを用意。ゲーミングハウスとオフィスの併用だったときは、スタッフと選手の交流があまりなかったこともあり、交流スペースを設置しました。また、コロナ禍が落ち着いてからは、選手が海外遠征に行った際などに、ファンを集めてパブリックビューイングを行うことも検討しています。
2階はオフィスルーム。急拡大したREJECTのスタッフの仕事場として機能します。3階はキッチンスペース。選手やスタッフに栄養バランスのいい食事を提供するため、調理師を派遣します。
さらに屋上には、ハンモックやソファを完備したスペースも。選手やスタッフの憩いの場としての役割を担うほか、スタッフの愛犬であるチワワがREJECTのマスコットとして来社したときに屋上で遊べるようになっています。
次に事業戦略として、筑波大学との共同研究が発表されました。筑波大学 体育系 スポーツイノベーション開発研究センター 松井崇助教授とREJECTは、「eスポーツアスリートの生活(特に睡眠)と健康における課題」をテーマに、共同で研究を行います。REJECTは、筑波大学の研究に協力し、筑波大学はその研究成果をREJECTや選手にフィードバック。eスポーツやゲームのネガティブな問題である負傷、肥満、糖尿病などの関係性と対策やスポーツ科学の三大原則である運動、栄養、休養がeスポーツにも当てはまるのかなど、さまざまな観点からeスポーツを研究していくそうです。
さらに、先に説明したメンタルトレーニングの導入やフリーアナウンサーによるトークレッスンなど、ゲームスキル以外の選手として活動するのに必要なスキルをケアし、アスリートとしての価値を高めます。
そのほか、アパレルブランドALMOSTBLACKを手がけるファッションデザイナー中嶋俊太氏をディレクターに迎え、REJECTのアパレルブランドも立ち上げました。選手やスタッフが着用することはもちろん、専用サイトでの販売も行います。いわゆるチームのファングッズ展開ではなく、1つのアパレルブランドとして確立させていく予定です。
発表会後に行われたプレスツアーでは、地下1階のゲーミングルーム「REJECT GAMING BASE」を見学しました。部屋は3つに分かれており、1つめは『PUBG MOBILE』のチームが使用する個室。2つめは横並びで4人プレイできる通路兼個室。3つめはミーティングルームを兼ね備えた練習部屋です。
ミーティングルームでは、選手の気分や体調に合わせて照明の色を変更できます。まるで部屋全体がゲーミングPCやゲーミングキーボードのよう。REJECT GAMING BASEの頭文字であるRGB(光の三原色)とダブルミーニングというのもしゃれています。
もともとREJECTは、かつて選手であったオーナーの甲山氏が、選手時代にチームや運営で味わった不遇をほかの選手に体験してほしくないという思いから発足されています。新オフィスや新事業はいずれも選手のためを思い、そしてオーナー自身が現役時代にやりたかったことを体現しているように思えました。
これは独立系チームならではの発想だといえます。そしてそれを実行できるのは、今のREJECTの強さがあってこそ。選手もオーナーの気概に十分に応えており、良い相乗効果が起きているのではないでしょうか。