新型コロナウイルスの影響でMWC 2020が中止になる中、開催地となるスペイン・バルセロナで、当初の予定通り発表会を行ったHuawei。Huawei Consumer Business GroupのCEOであるRichard Yu氏は、発表会ではビデオでの参加となりましたが、2月初旬の段階ですでにスペインに入っていたそうで、現地には姿を見せていました。

そのYu氏は今回、欧州メディア以外では唯一、日本メディア向けのグループインタビューに参加し、報道陣の質問に答えました。

  • Huawei Consumer Business GroupのCEOであるRichard Yu氏

まずはAndroidエコシステムを尊重

Yu氏は、米政府の規制によるGMS(Google Mobile Service)の使用禁止にともなって、Harmony OSをスマートフォン向けに使用するかどうかを問われ、「Androidエコシステムへのサポートを継続したい」とコメント。Harmony OSはスマートTVやIoT向けであり、スマートフォン向けではないとしました。

GoogleからのGMSライセンスが得られることを期待しているというYu氏ですが、将来的にライセンスが得られない場合はハーモニーOSをスマートフォン向けにも採用する考えを示しつつ、その前にオープンソースのAndroidとHMS(HUAWEI Mobile Services)、HUAWEI App GalleryによってAndroidエコシステムに貢献する意向です。

Yu氏は、ローカルのアプリ開発者などとのパートナーシップや協業でApp Galleryへの参加を増やしていく考えです。

「正直に言えば、Harmony OSをスマートフォンに搭載することを検討している」とYu氏。その時期について問われて「今年のQ3からQ4には決めたい」と話しました。ただ、「まだ決定していない」とも強調しています。HMSとHUAWEI App Galleryを推進している中、Harmony OSへの移行は最終手段としたい考えがにじみます。

出荷台数は回復基調に、カメラやAI技術も後押し

現状に関しては「非常にタフな状況」とYu氏は認めつつ、米政府の規制がなければスマートフォンのマーケットシェアは1位になれていた、との自負も見せます。それでも出荷台数は回復しており、モバイルやカメラ、AIなどのテクノロジーによって近い将来に1位になることを目指しているとアピールします。

その中で、日本と韓国のサプライチェーンを有効に活用し、両国のメーカーなどとWin-Winの関係になれるような戦略を示します。

1位になるための戦略として、スマートフォン、PC、タブレット、ウェアラブルなどの製品や、サービスの連携によるAIライフ戦略がコンシューマに対して快適な生活を提供する、と強調します。

5Gの契約者、数年で4Gの契約者を抜く

Huaweiが重視する5Gの拡大について、Yu氏は中国の5Gネットワークが急速に拡大するとみています。欧州に関しては、中国や韓国ほどのスピードではなく、日本に関しては中韓と欧州の中間ぐらいのスピード、米国を含むほかの国は「それほど早くは拡大しない」との考えを示します。

「今年は5Gのテイクオフの年」とYu氏。今後、中韓は2~3年、それ以外の国では5年ほどで、4Gの契約者を5Gの契約者が抜くとの予測を示します。

5Gはスピードだけでなく低遅延などの特徴がすべての業界に影響するとします。数年前まで、3Gがあれば4Gは必要ないという声もありましたが、今はそういう人はいません。現在でも、SNSや写真、ビデオ、AR/VRといったサービスは4Gでも十分ですが、5Gになればより高精細なAR/VR、放送、高精細のライブビデオといったより帯域が必要なサービスが出てきて、5Gの重要性が増してくると話します。

新型コロナウイルスの影響「最小限にしたい」

発表会でも強調したApp Galleryへの注力については、「毎日、急速にアプリは拡大している」とYu氏。こうした成長にともなって、HMSコアとApp GalleryはAndroidエコシステムにとって重要な存在になると期待します。

日本を含む各国でトップベンダーにApp Galleryへの参加を要請して、その成長をさらに加速させたい考えです。

なお、昨今問題になっている新型コロナウイルスの影響については、特にサプライチェーンに対して影響が出ているとのことですが、最小限にしたいという考えを示しています。

最後にYu氏は、3月26日にパリで開催する、同社スマートフォンのフラッグシップ「HUAWEI P40」シリーズ発表会に関して、今回がビデオ中継だったことを踏まえて、「今度はライブで会いましょう」と笑って話していました。